【2018年最新】マーケティングオートメーション市場動向
マーケティングオートメーションが日本で注目されるようになって数年が経ち、マーケティングオートメーションの提供者も利用者も増えてきました。
本記事では、マーケティングオートメーションの最新の市場動向を知っていただくために、マーケティングオートメーション拡大の歴史などを通じて国内のマーケティングオートメーション市場動向を中心にまとめました。
本記事のまとめ
マーケティングオートメーションが本格的に日本市場で注目されたのは2014年頃 マーケティング施策を行う上で抱える課題がマーケティングオートメーションで解決できる マーケティングオートメーションの国内での市場規模は2017年に302億円、2020年には475億円となる 導入企業では運用・改善、マーケティングと営業の連携強化が成功の鍵となる 今後の市場動向は大企業でのツールの切り替え、中小企業での導入が進む
マーケティングオートメーションの概要
マーケティングオートメーションの市場動向を知る前に、まずはマーケティングオートメーションが発展した歴史と必要性についてご紹介していきます。
マーケティングオートメーションとは
マーケティングオートメーションとは、デジタル領域において、従来の販売促進や営業に関わる業務を効率化や、従来は実現できなかったデータ連携などにより販売促進や営業活動に関わる業務を実現するためのITシステム(クラウドサービス)です。
最近は、マーケティングオートメーション(Marketing Automation)は、英語の頭文字をとって「MA(エムエー)」などと呼ばれることがあります。
マーケティングオートメーションの効果について詳しくお知りになりたい方は「マーケティングオートメーションとは?一番わかりやすい入門編」をご覧ください。
マーケティングオートメーションの登場
マーケティングオートメーションは他のアプリケーションと比べるとまだ歴史が浅く、最初のマーケティングオートメーションは、1992年のUnicaというアメリカの会社だと言われています。
本格的な拡大のきっかけとなったのは、カナダのEloqua社の成功からと言われています。2000年にEloqua社がマーケッターに必要な機能をパッケージ化して提供を開始しました。
Eloqua社の成功をきっかけとして他社もマーケティングオートメーションの市場に参入をするようになり拡大をしていきました。MarketoやHubSpotもこの時期に登場しました。
マーケティングオートメーションが注目される理由
マーケティングオートメーションに注目が集まる理由は、およそ以下の3つの理由からです。
マーケティングオートメーションに注目が集まる理由
圧倒的に不足する営業リソースをなんとかしたい One to Oneマーケティングを実現したい マーケティングオートメーションというフレームワークを利用して、これまでやっていなかったことを始めてみたい
マーケティングオートメーション導入の動機は、マーケティングオートメーションが見込み客のWeb上での行動を記録できるという機能を利用して、営業活動を効率化したり、行動セグメントによるOne to Oneマーケティングの実現などがあげられます。
デジタルマーケティングをあまり手がけてこなかった企業が、マーケティングオートメーションという枠組みを利用する、というケースもあります。
マーケティングオートメーションの国内市場
2016年のマーケティングオートメーションの日本の市場規模は 約246億円でしたが、2017年には前年比23.0%増の302億円に達すると予想されています。
日本におけるマーケティングオートメーション市場の動向を国内の調査会社が実施した調査資料を元にご紹介していきます。
広がるマーケティングオートメーションの認知
マーケティングオートメーションの市場が拡大してきた今、認知度はどのくらいなのでしょうか。
NTTコムリサーチによると、99人未満の企業では3人に1人が、100〜999人の企業では3人に2人がマーケティングオートメーションを知っていると答えています。
1,000人以上の企業になると、「内容まで詳しく知っている」の割合が増え、企業規模が大きくなるほど注目度が高い傾向がみられます。
マーケティングオートメーションを認知している層の約半分以上がマーケティングオートメーション導入に興味を示し、 全く認知していなかった層でも、マーケティングオートメーションの説明を受けた後、30%近くの人が興味関心を示しました。
企業規模別・業種別マーケティングオートメーションの導入
マーケティングオートメーションの導入は、BtoBマーケティングを営む部門を中心に進んでいます。
企業規模別のマーケティングオートメーション導入率と、業種別のマーケティングオートメーション導入率を見ていきたいと思います。
いくつかの調査データを調べてみると、企業規模が大きいほどマーケティングオートメーションの導入率が高くなる傾向にあります。
企業規模が大きな会社数はあまり大きくないものの、中小企業に比べて、資金面やマーケティングオートメーションの運用リソースに余裕があるからということが背景にありそうです。
業種では、IT・通信、製造、不動産、人材系などで積極的にマーケティングオートメーションの導入が進んでいます。
マーケティングオートメーション選定で重視すべきこと
続いて、マーケティングオートメーションを選定する際に重視されることにはどんなことがあるのでしょうか。導入前層と導入済層、2つの層の調査結果を以下に示しています。
マーケティングオートメーション導入前の企業は、マーケティングオートメーションの選定に際して、初期費用や月額費用を重視します。続いてサポートの充実度を重視します。
一方で、マーケティングオートメーション導入後の企業では、サポートの充実度や自社との相性を重視します。マーケティングオートメーション導入前と導入後では、重視するポイントが多少異なることがわかります。
マーケティングオートメーションを実際に活用して、自社での運用イメージを強く持てるようになるにつれ、条件の優先度が変わっていったのではないかと考えられます。
マーケティングオートメーション導入企業にみる主な変革
多くの企業でマーケティングオートメーションの導入が進む現在、マーケティングオートメーションを導入した企業ではどんな変化が起こっているのでしょうか。
思ったよりシンプルに使いながらKPIにこだわる
マーケティングオートメーションの導入事例を見ると、マーケティングオートメーションをシンプルに使うことと、マーケティングオートメーションの特徴である「行動によるセグメンテーション」を使いこなすことが重要であることがわかります。
特にマーケティングオートメーションの機能の中でも、シナリオやスコアリングといったマーケティングオートメーション特有の機能を使う企業もありますが、まだまだこれからという感もあります。
マーケティングオートメーションを利用する企業では、まずはマーケティングオートメーションをシンプルに使って、マーケティングの計測指標(KPI)を達成するための努力をする傾向にあります。
マーケティング・営業プロセスの再構築
マーケティングオートメーションを使いはじめて営業引き合いが生まれてくるようになると、マーケティングオートメーションに合わせて、マーケティングや営業のプロセスに手を加える場合があります。
ホームページからの問い合わせはこれまで営業部門が対応していた場合など、インサイドセールスがまず初期対応として電話でヒヤリングをかけ、営業部門に引き渡すことがあります。インサイドセールスという新しいポジションを社内で新設する企業もあります。
インサイドセールスとは、内勤でお客さまとコミュニケーションをしながら、お客さまの購買意欲を刺激して商談を進める役割を持ちます。くわしくは「インサイドセールスとは? なぜ多くの企業から注目が集まっているのか」が参考になります。合わせてごらんくださいませ。
営業がマーケティングオートメーションを自ら活用し、営業組織の中でマーケティングの機能を持つ場合もあります。これは意外に多く見られるマーケティングオートメーション導入後の組織の変化です。
マーケティングオートメーションの今後の展望
2017年に302億円に到達する国内のマーケティングオートメーション市場ですが、2020年には475億円になると予測されています。
日本に本格的にマーケティングオートメーションが広まり出した2014年の約168億円と比較すると約2.8倍まで市場が拡大すると見込まれています。
マーケティングオートメーションの乗り換えが増える
マーケティングオートメーションを導入して1年も運用すると自社のマーケティングオートメーションの運用が確立する一方で、「あの機能が足りない」などのニーズが出てきます。一方で「こんなに多くの機能は使わないからもっとシンプルなものでいい」というニーズもあります。
マーケティングオートメーションはクラウド型のサービスが主流です。初期費用も小さく、乗り換えしやすいという特徴があります。
自社に最適なマーケティングオートメーションを探して、乗り換えを検討する流れは今後ますます加速すると考えられます。
中小企業でのマーケティングオートメーション導入拡大が進む
マーケティングオートメーションは、販売促進(マーケティング)だけでなく、営業活動にも十分に使うことができます。
マーケティングオートメーションを営業活動で活用して、営業担当者の不足という課題を解決することができます。くわしくは「マーケティングオートメーションが営業活動でも使えるってホント?」でまとめました。ご参考になれば幸いです。
マーケティング部門がない中小企業でも、マーケティングオートメーションを利用して圧倒的に不足する営業リソースを解消することができます。
また、中小企業でもお手軽に使えるマーケティングオートメーションも増えてきました。機能面に加えて、コスト面でも中小企業がマーケティングオートメーションを導入する機会が今後ますます増えてくるでしょう。
中小企業におけるマーケティング戦略について詳しくお知りになりたい方は「中小企業のためのマーケティング戦略立案のレシピ」をご覧ください。
BtoC企業でのマーケティングオートメーションが進む
BtoB企業にとどまらず、BtoC企業のマーケティングオートメーション導入も加速すると予測されます。
BtoC企業におけるマーケティングオートメーション運用は業種ごとに独自性が高く、まだまだノウハウの蓄積フェーズにあると考えられますが、徐々に成功事例が認知され利用の拡大が見込まれます。
さいごに
マーケティングオートメーションの市場動向を各調査会社の調査結果を元にご紹介してきました。これから導入を検討している、導入したが最新の市場動向を知りたいというみなさまに、お役立ていただけますと幸いです。
(この記事は、2018年1月1日に書かれたものを再編集しました)