BtoBマーケティングで知っておくべき8つの要諦

BtoBマーケティングの仕事は数多くあるものの、BtoBマーケティングについて勉強する機会はあまりありません。書店に行ってマーケティング本のコーナーに立ち寄れば、BtoCに関係するマーケティングの本ばかりが目立ちます。なかなかBtoBマーケティングの本にお目にかかれません。

BtoBのマーケティングの仕事は、職人さんのように、現場の経験のみしか学べないのでしょうか?パソコンに向かって仕事をする機会が増えている現在では、それは不可能でしょう。BtoBマーケティングを学ぶチャンスはあまりありません。

そこで、BtoBマーケティングについてもっと多くの方に学んでもらえるよう、BtoBマーケティング業務に必要不可欠な8つの要諦をまとめてみました。

もっとBtoBマーケティングを学びたいと思っている方の参考になれば幸いです。

BtoBマーケティングとは

BtoBマーケティングは法人企業に向けたマーケティング活動を意味します。あなたの会社が取り扱う製品のターゲット顧客が法人企業であれば、あなたの会社のマーケティング活動は、いわゆるBtoBマーケティングとなります。

BtoBマーケティングには特徴があります。よく知られている「マーケティング」は主にBtoC(消費者)マーケティングの内容や手法が中心です。

BtoBマーケティングの理解を深めていただくために、BtoCマーケティングと特徴的な部分を比べるとよいでしょう。

BtoBマーケティング担当者が知っておくべきBtoBマーケティングの8つの要諦

BtoBマーケティングについて、代表的な要素を8つにまとめました。BtoBマーケティング担当者ならぜひ理解していただきたい要素です。

1.複数担当者で購買を最終決定する

BtoBマーケティングにおいて、お客さまの顧客購買行動プロセスはやや複雑であると言えます。

BtoCマーケティングの場合、お客さまが個人であり、多くの場合で購買に関する意思決定は本人がします。

一方でBtoBマーケティグの場合のお客さまは、個人の集まりである法人企業です。企業には、それぞれの役割もあれば専門分野も異なります。

BtoBビジネスの一般的な購買行動プロセスについて
BtoBの購買行動プロセスはBtoCとは異なります。しかし、ある程度モデル化が可能です。BtoBの購買行動プロセスは、「BtoBの購買行動プロセスの詳しい解説」でまとめております。

BtoBマーケティングに関連するお客さまの購買には、「意思決定者」「購買窓口」「利用者」「助言者」などが関わります。購入しようとする製品によって、メンバーと関係者の数が変わります。

具体的には、BtoBマーケティングに関連するお客さまの購買に関わるメンバーは、購入する製品に関する「リスク」と「価値」によって決まります。

購入する製品の「リスク」も「価値」も低ければ、おおよそ担当者が1人で購買を決定します。逆に「リスク」と「価値」の両方が高ければ、あらゆる関連する部門のスタッフが購買の決定に登場します。

「リスク」が低く「価値」が高い製品では、製品に関連する専門知識を持つ技術者が購買の決定に関わります。

「リスク」が高いが「価値」が低い製品は、法務や総務の方が関わり、リスク面について評価することが多くなります。

BtoBマーケティングで、お客さまの部署や役職が重要視される理由がここにあります。購買における役割をできるだけ明らかにして、最適な情報がマーケティング活動を通じて届けられるようにするためです。

2.担当者は想定以上に慎重に購買を決定する

BtoBマーケティングのお客さまが、感情で購買を決定することは、BtoCマーケティングと比べて圧倒的に少なくなります。

BtoCマーケティングのお客さまの場合、450円するタバコと、450円のタバコを利用することで解決する問題、害する健康リスクを経済的な価値で比べることはあまりないでしょう。単にタバコを吸いたいと思うから、タバコを買っています。

BtoBマーケティングのお客さまは、ROI(対投資効果)を最優先して購買を決定します。つまり、その製品を購入することで得られる自社のメリットを重要視します。

また、BtoBマーケティングのお客さまが導入をした結果、事業に対して悪いインパクトを与えてしまうと、購買担当者の評価にもつながってしまうことがあります。そのため、BtoBマーケティングのお客さまは、とても慎重に購買を決定する傾向にあります。

3. BtoBマーケティングのお客さまは製品仕様の詳細にこだわる

BtoBマーケティングのお客さまは、製品の技術仕様からサポートまで細部に渡って、購買の検討材料とします。

例えば生産財で、自動車のエンジンや速度メーターなどの部品の購入を検討しているBtoBマーケティングのお客さまの場合は、技術的な適合、できあがりの見栄え、安全性、など様々な面から評価します。

一方で、消費者商品の洋服などの場合、主にサイズとデザインが購買の決め手になります。生地の技術や製法、購買後のサポートはあまり気にかけません。

4.BtoBマーケティングではヘビーユーザーを特に大事にする

BtoBマーケティングにおいてお客さま数は、BtoC事業の場合に比べて比較的少なくなります。BtoBマーケティングのお客さまは、個人に比べて母集団の少ない法人企業です。その上、ターゲットとなるお客さまを絞り込むと、BtoBマーケティングの対象となるお客さま数はマスと比べると少数です。

そのためBtoBマーケティングにおけるお客さまの売上高や購買数には、パレートの法則がよくあてはまります。

パレートの法則
パレートの法則は、元々経済学者が発見した法則です。現在では、経済学だけでなくビジネスでも幅広く活用できる法則であることがわかっています。詳細は「パレートの法則をあなたの仕事で活用するために覚えておきたいこと」を参考にしてください。

5.対面コミュニケーションを大事にする

BtoBマーケティングではお客さまとの関係づくりが欠かせません。営業が初対面のお客さまに比較的簡単に会えるのは、営業活動の前段にあたるマーケティング活動で築いた信頼からなる関係性が大きく寄与します。

BtoBマーケティングの予算はBtoCと比較すると、かなり少ないでしょう。しかし両者の営業経費を比べると、BtoBの営業の接待費や交際費はかなり多いはずです。

BtoBビジネスでは、対面のコミュニケーションで顧客と長期にわたる良好な関係が大事だからです。そのため、BtoBマーケティングでは、展示会やセミナーは今でも重要視されています。

BtoBマーケティングでは、例えば展示会やセミナーなど、社員とお客さまが接触できる活動が施策に含まれる理由です。

6.BtoBマーケティングでは設定できるセグメンテーションの自由度が小さい

BtoBマーケティングでは、BtoCに比べて、お客さまのニーズを元にしたセグメンテーションの自由度が小さくなります。

ニーズを元にBtoBマーケティングのお客さまをセグメンテーションした場合、3〜4種類程度となってしまうこともあります。

BtoBマーケティングで分類すべき基本的なセグメンテーションは以下のようにまとめられます。

BtoBマーケティングでも、マーケティングの一般的なセグメンテーションは有効です。ただ、一般的なセグメンテーションを使っても、一般的なマーケティング施策につながるため、他社の差別化になりません。この点にはご注意くださいませ。

一般的なセグメンテーションのまとめ
一般的なセグメンテーションについて「セグメンテーションの基本事項とその手順〜マーケターが覚えておくべきセグメンテーションの手法」にまとめました。合わせてごらんくださいませ。

BtoBマーケティングの担当者は、自社の特性と自社の強みを見極め、正しくセグメンテーションしていく必要があります。

セグメンテーションの質を高めるために
セグメンテーションは市場の機会と自社の優位性を組み合わせて、その軸を考えるべきです。セグメンテーションの質を上げるためには、3C分析が便利です。3C分析については「3C分析の概要と3C分析のやり方」が参考になります。合わせてご覧くださいませ。

7.BtoBマーケティングには偶発的なイノベーションの機会がほとんど無い

BtoBビジネスはリスクをあまり取らないため、業界のイノベーションが起きるきっかけが少なくなります。

BtoBマーケティングのお客さまは、購入に際してROIを計算し事業リスクをおさえる傾向にあるため、自社のビジネスの安定性を重視します。そのためイノベーションのきっかけとなる製品はなかなか選定できません。イノベーター理論でも、その傾向を示唆しています。偶発的にイノベーションが起きる機会は、BtoC事業に比べて少なくなる可能性は否めません。

イノベーター理論について
イノベーター理論とは、新製品や新サービスの市場への広まり方をあらわしたモデルです。1962年に社会学者のロジャース氏によって提唱されました。くわしくは「イノベーター理論とは?事例やマーケティングの活用方法で学ぼう」でまとめました。

BtoBマーケティングは、だからと言ってイノベーションできないわけではありません。しっかりと調査、計画をしてねらえばBtoBマーケティングでもイノベーションを起こすことは可能です。

8.自社ブランドの育て方が異なる

BtoBマーケティングでも当然ブランドは重要ですが、製品ではなく企業のブランドの重要性が高いことがBtoBマーケティングにおける1つの特徴です。

BtoBマーケティングのお客さまは、購買者の技術力が高く知識も豊富であるため、製品のブランドよりも製品の機能や仕様を購買の際に重視します。

BtoCマーケティングのような製品のブランドや、製品カテゴリーのサブブランドの考え方は、購入者の混乱をひきおこす可能性があるため、あまりおすすめできません。

専門性が重視されるBtoBマーケティングは、これは購買者に専門的な知識が少ないBtoCマーケティングとの特徴的な違いであると言えます。

またBtoBマーケティングでは、マーケティング部門だけでなく営業担当者も顧客と接します。フロントにいる営業担当者に高い技術知識や業界知識を兼ね備えていなければ、せっかくの会社のブランドが台無しになることもあります。社員の教育もBtoBマーケティングのブランドの課題となります。

さいごに

BtoBマーケティングは、多大な予算を使うよりも、知恵と頭を使って戦略を絞り出す作業が多くなります。イノベーションやブランディングなどをとっても、教科書だけでは学べません。実践あるのみです。

このブログの記事では、みなさんのBtoBマーケティングのスキルアップに参考となる情報を集めました。役に立つと思ったら、同僚やお知り合いにもご共有ください。

(本記事は、2015年6月8日に書かれたものを編集しました)

この記事の参考資料

業務ですぐに活用できるよう、使い方と注意点を解説しています。