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マーケティングと営業の役割の違い|BtoBマーケティングをよりよく理解する

マーケティングと営業は、企業の販売活動を担う重要な機能であり、重要な部署です。

特にBtoBビジネスを営む企業において、会社や事業の規模が大きくなればなるほど、マーケティングと営業部隊を別々に設置し、マーケティングと販売のそれぞれの目標と達成すべきゴールを設定しています。

マーケティングも営業も企業にとっては重要な機能であり、マーケティングと販売のそれぞれの役割があります。

1.マーケティングと営業の役割を理解しよう

まずはおさらいも兼ねて、マーケティングと営業の役割を復習してみましょう。

1-1.マーケティングの役割

マーケティングは非常にメジャーなビジネス用語です。しかしマーケティングの定義にはゆらぎがあります。事実マーケティングの定義を調べてみると、数多くの定義が見つかります。

マーケティングの定義のまとめ
マーケティングの定義のまとめは「16のマーケティングの定義を集めました|カイロスのマーケティングブログ」にあります。日本だけでなく米国のマーケティングの定義もふくめて16のマーケティングの定義を集めてみました。

日本マーケティング協会によるマーケティングの定義は、「公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動」としています(出典:日本マーケティング協会)。

日本マーケティング協会が定めるマーケティングの定義にある「総合的活動」というフレーズには、ブランディング、商品やサービスの開発、企画、設計、リサーチや分析、広告宣伝・広報、チャネル(販路/流通)、価格、集客や営業活動、顧客情報の管理など、いわゆる「マーケティングの4P」の要素となる全ての活動を指しています。

マーケティングの4Pについて
マーケティングの4Pは有名なマーケティングのフレームワークです。マーケティング・ミックスとも呼ばれています。詳しくは「マーケティングミックス(4P)を実践レベルで使う7つのコツ|カイロスのマーケティングブログ」をごらんください。

日本マーケティング協会が提唱する「総合的活動」の定義に従えば、マーケティングは企業経営や経営戦略と同じレベルの非常に重要な位置づけとなります。

マーケティングを営業行為の意味合いをこめて使う場合や、企業の組織上の役割から見た場合、マーケティングは「マーケティング・コミュニケーション」の意味合いを強く持つ事があります。マーケティングの組織の名称(略称)上では「マーコム」や「マルコム」と呼ばれ、いわゆるプロモーション(販売促進)や広報の機能を受け持っているケースを多く見かけます。

1-2営業の役割

営業は、商品を売る行為です。営業の行為は、販売と言いかえることもできます。

営業を営業職の役割からみれば、自社の商品やサービスの購入を促進し、最終的には顧客と売買契約の締結が目的になります。もちろん販売後の顧客対応なども営業の役割になる場合もありますが、多くの場合、営業マンは営業行為を通じて商品の売買契約を締結することにあると言えるのではないでしょうか。

営業活動をマーケティングの「総合的活動」の定義で見た場合、販売行為がマーケティングに含まれています。つまり販売活動という営業行為はマーケティング活動の一部となることを意味しています。しかし、多くの企業におけるマーケティングの業務の実態は、マーケティングの狭義の意味合い、つまりマーケティング・コミュニケーションの意味合い、が強くなっています。

もちろん営業の役割は販売であり、企業のマーケティング機能が営業の販売の役割を後押しする構図となることが一般的です。

2.マーケティングと営業の違い

それでは少し話を掘り下げて、マーケティングと営業(販売行為)の違いについて考えていきます。

2-1.マーケティングと営業の対象の違い

マーケティングと営業の販売行為の最も大きな違いは、その「対象」でしょう。営業活動は、目の前に存在するお客さまに対して行われますが、マーケティングはお客さまのように具体的な実体をとらえにくい「市場(マーケット)」に対してその活動が行われます。ここはマーケティングと営業の非常に大きな違いです。

マーケティングでは市場をニーズに応じて市場をセグメンテーション(市場分類)により市場を構造化やモデル化することがほとんどです。

そしてターゲットを選定し、そのターゲットに対してプロモーションを行います。特にBtoBマーケティングの場合では、ターゲットが持つ潜在的なニーズを掘り起こすための活動が展開されます。

戦略的マーケティング活動
セグメンテーション、ターゲティングなどはマーケティングの重要な戦略的活動です。これはその頭文字をとってSTPと呼ばれます。STPの詳細は、「STP分析をマスターして勝てる戦略を見出そう|カイロスのマーケティングブログ」が参考になります。

営業活動には、特定の顧客が存在します。営業活動における販売の全ての活動はお客さまが中心となります。そして、商品やサービスの売買契約を結ぶ事がゴールです。したがって、自社の商品やサービスを取り扱うことが営業動活動の中心となります。

とにかく営業は「お客さま」ありきです。

2-2.マーケティングと営業の目的の違い

マーケティングと営業は目的も異なります。

マーケティングでは、市場やお客さまとの関係を重要視する傾向にあります。長期にわたってお客さまと良い関係を築けば、特定のお客さまからの安定した収益が見込めます。このようなお客さまが多くなれば、企業として安定した売上が見込めるわけです。

この考え方は顧客生涯価値(LTV)として知られています。

顧客生涯価値(LTV)について
顧客性が価値(LTV)の概要やそのおおまかな計算方法については、「LTV(顧客生涯価値)の意味と計算・算出方法の解説|カイロスのマーケティングブログ」をごらんください。

市場やお客さまとの関係は、新たに関係を構築する、すでに構築された関係を維持する、そしてその関係を強化するなど、対象とする実体の構造やモデルに応じて、また場面に応じて異なってきます。

企業がお客さまとの関係を重視する理由
マーケティングではお客さまとの関係を重視します。そのため、お客さまのロイヤリティ向上のためのキャンペーンを実施するケースもよく見かけます。お客さまとの関係が良くなればなるほど、販売にかかるコストが下がり、売上が増加する可能性が大きくなるからです。顧客ロイヤリティについては「【解説】顧客ロイヤリティを向上させるための手順|カイロスのマーケティングブログ」が参考になります。

営業活動の販売シーンでももちろん、お客さまとの良好な関係を重要視しなくてはなりませんが、組織上の営業の目的/役割として、顧客との売買契約を結び売上げをあげる必要があります。営業活動では、マーケティングが重視する顧客生涯価値といった長期的な視点よりも、短期的な売上を創出することに注力する傾向にあります。

2-3.顧客との関わりの長さの違い

マーケティングが市場や顧客との関係を重要視するため、比較的長期的なゴールと戦略が必要となります。ブランディングでもマーケティングでも、市場や顧客との良い関係を構築するためには、長期的な視野でながめなくてはなりません。

営業行為では、売買契約を結ぶことが目的であるという前提で言えば、短い方が好ましいでしょう。それが会社会社が営業部門に求めていることでもあります。

もちろん営業職として、顧客との良好な関係を長期にわたって構築する事は非常に大事です。お客さまの期待値のコントロールがうまくできれば、お客さまの満足も高くなる傾向にあります。

営業活動でお客さまの満足を高めるために
お客さまの高い満足を得るために必要な営業テクニックがあります。くわしくは「お客さま満足をグッと高める10の営業テクニック|カイロスのマーケティングブログ」をお読みいただけると幸いです。

3.マーケティングと営業は補完すべし

マーケティングと営業の違いをみてきました。企業の機能としてはマーケティングと営業はどちらも必要な企業の役割/機能です。マーケティングと営業は異なりますが、ビジネスを拡大するためには、両者の機能や役割は補完し合わなくてはなりません。

特にBtoBマーケティングでは、営業活動がマーケティング機能より重視する傾向にあります。マーケティング活動により効率的な営業活動が実現できれば、少数精鋭の営業部隊ができるかもしれません。営業の効率化にはまだまだ多くの改善の余地があるとみています。

BtoBマーケティングの実際
BtoBマーケティングには消費者マーケティングとは異なる特徴がいくつもあります。くわしくは「BtoBマーケティングで知っておくべき8つの要諦」にまとめてありますので、あわせてごらんください。

その一方で、マーケティングのIT化により、ログ解析や、リサーチ、顧客属性分析などを駆使して、市場の構造やターゲット像のモデルもより正確に描けるようになってきました。そしてWebとメール、データベースを利用し、より精度の高いメッセージを市場に展開できるようになっています。

マーケティングと営業の効率を同時に改善する
マーケティングと営業の効率を同時に改善して、企業の売上拡大を目指す「マーケティングオートメーション」というカテゴリのソフトウエア(クラウドサービス)があります。このような企業のニーズから最近では注目をあつめています。マーケティングオートメーションの詳細は「たった5分で理解するマーケティングオートメーション」をごらんください。

マーケティング側でITを駆使しながら、市場や顧客と新たな関係を構築し、構築を維持、そして強化する中で、顧客の購買意欲を高めなくてはなりません。こうしたマーケティングの活動が販売効率を高めます。十分に購買意欲が高まった潜在顧客リストを営業マンと共有し、そして営業活動につなげていけば、みなさんのビジネスはより加速すること間違い無しでしょう。