リードナーチャリングの戦略立案や企画の進め方
リードナーチャリング戦略を立てる際には、企画書や提案書を書くこともあると思います。今回はリードナーチャリングの戦略を立案する時に必要な考え方をまとめました。
リードナーチャリング戦略の企画書を書く際や、クライアントへの提案書を書く際の参考にしていただければ幸いです。
リードナーチャリングが必要な理由
リードナーチャリング戦略を立てる前に、リードナーチャリングが必要な理由をあらためて確認しましょう。
リードナーチャリングとは?
リードナーチャリングとは、自社や自社の製品・サービスのファンとなってもらうことで、長期にわたる見込み客と良好な関係を築くことです。具体的には、自社の見込み客に対して、有益な情報をメルマガで届けたり、無料のセミナーで情報提供をしたりすることがリードナーチャリングにあたります。
リードナーチャリングについてもう少し詳しく知りたいかたは、「リ—ドナーチャリングはじめてガイド」に分かりやすくまとめておりますので、あわせてご覧ください。
リードナーチャリングが多くの企業に注目される理由
では、なぜリードナーチャリングに取り組み始める企業が増えているのでしょうか。理由は以下の通り3つあります。
要するに、企業や営業担当者だけが情報を持っていて、お客さまは営業担当者から製品や業界の情報について聞くという状態がなくなり、企業側もお客さま側も情報の量に大きな差がなくなってきたことがきっかけで、今すぐ買うお客さま以外とは時間をかけて関係を築く必要性が高まってきたということです。
リードナーチャリングの必要性やメリットについては「リードナーチャリングの3大必要性と4つのメリット」にまとめております。あわせてご覧ください。
リードナーチャリングの戦略を立てる前にするべき3つのこと
リードナーチャリング戦略やリードナーチャリングの企画の立て方の説明をさせていただきます。まずは、リードナーチャリングの戦略を立てる前に準備しておくべき3つのポイントをお伝えします。
リードナーチャリングの位置付けを再認識する
リードナーチャリングの戦略を立てる前にするべきことの1つめは、「リードナーチャリングの位置付けを再認識する」ことです。もう少し具体的にいうと、「リードナーチャリングの戦略を考える際には、マーケティング活動におけるリードナーチャリング施策に範囲を限定しておくという意味です。
リードナーチャリングの戦略を考えれば考えるほど、新規リード獲得や営業案件化のフローなどが気になってしまいます。リードナーチャリングの戦略を考えていたのに、新規見込み客の獲得や営業案件化のフローも考え始めてしまったということはよく陥りがちな状態です
マーケティング活動は、以下の図のように3つのプロセスに分けることができます。リードナーチャリングの戦略を考えるときは、リードナーチャリングとそれ以外の領域を明確にして、リードナーチャリングについて絞って考えるようにしましょう。
購買行動プロセスを把握する
リードナーチャリングの戦略を立てる前にするべきことの2つめは、自社の見込み客の購買行動プロセスを把握することです。
リードナーチャリングでも、見込み客の検討フェーズに応じてタッチポイントが変わってきます。自社の商材を購入する見込み客はどのような購買行動のプロセスを取るのかを考えましょう。また、どの購買行動プロセスにいる見込み客に対して、どんなリードナーチャリングをするのかを決めていくことがリードナーチャリングの戦略を考えるにあたっては大切です。
顧客の購買行動プロセスについて手早く理解するには「5分で覚える購買行動プロセスの解説」にまとめております。あわせてご覧ください。
顧客リストを一つのツールで管理する
社内に分散しがちな、名刺情報や担当者が各自でExcel管理している顧客リストを一元化することがリードナーチャリングの大前提。
リードナーチャリングの戦略を立てる前にするべきことの3つめは、社内に分散しがちな顧客リストを一つのツールで管理することです。
営業担当者が集めてきた名刺情報や、各自でExcel管理しているメールアドレスなどの顧客情報リストが、社内に分散しているということはよくありがちです。ビジネスにおいて顧客情報は資産です。社内に分散している状態から、一つのツールに一元化して管理するようにしましょう。
リードナーチャリングを始めるにあたって、知っておきたい顧客管理の必要性については「マーケティングの効果アップに必要な顧客管理の5つの方法」でまとめました。合わせてごらんくださいませ。
リードナーチャリングの戦略を立てるための3つのステップ
リードナーチャリングの戦略を立てる準備ができたら、実際にリードナーチャリングの戦略を立てていきましょう。
リードナーチャリングの戦略は3つのステップで立てていきます。
1.ターゲットを定める
まず初めにリードナーチャリングをするターゲットを定めます。
ターゲティングをする際には「属性」でターゲティングするのか、「行動」でターゲティングするのかを使い分ける必要があります。
行動でターゲティングする場合、「展示会に来た」、「製品の料金表ページを見た」、「メルマガに登録した」など、オンラインやオフラインでの行動をもとにターゲティングします。
属性でターゲティングする場合、「不動産業の課長以上」、「関東圏の従業員100名以下の企業」など、見込み客の属性でターゲットを定めます。
ターゲティングについてマーケターとしてもっと理解を深めておきたい方は「タ—ゲティングの基礎のやさしい解説」に、ターゲティングの概要からその手法までをまとめていますので、あわせてご覧ください。
2.リードナーチャリングのシナリオを作る「2T2C」
ナーチャリングするターゲットを定めたら、リードナーチャリング全体のシナリオを作りましょう。
リードナーチャリングのシナリオを作る際に抑えるべき4つのポイントを「2T2C」と称してご紹介します。
リードナーチャリングのシナリオを作る際には「どんなターゲットをナーチャリングするのか」「どんな頻度で見込み客と接点を持つのか」「どんな情報を提供するのか」「どんな条件で次のステップに移るのか」という4つのポイントを抑えることが大切です。
見込み客育成のシナリオの作り方については、「はじめてでも結果が出せる見込み客の育成方法」で詳しく説明しています。あわせてご覧ください。
参考:リードナーチャリングの代表的な2つの手法
リードナーチャリングの代表的な2つの手法をご紹介します。「ドリップ型」のリードナーチャリングと「エンゲージ型」のリードナーチャリングです。
「ドリップ型」のリードナーチャリングは、自分で設定したターゲットの中から、特定の行動を示す見込み客を探し出すことを目的としています。つまり、営業案件につながりそうな行動を示す見込み客を探し出すために短い期間で行なうリードナーチャリングです。
「エンゲージ型」のリードナーチャリングは、購買行動プロセスの初期の段階にいる見込み客の自社や自社製品に対する興味・関心を高めることを目的としています。つまり、ドリップ型に比べると比較的長い時間をかけて顧客との関係性を構築していくリードナーチャリングと言えるでしょう。
リードナーチャリングのシナリオはマーケティングオートメーションを使うと効率的に実行することができます。マーケティングオートメーションでのシナリオ設計については「マーケティングオートメーションの失敗しないシナリオ設計の始め方」をごらんください。
3.リードナーチャリングの結果をスコアで評価する
リードナーチャリングの戦略を立てるためのステップの3つめは、リードナーチャリングの結果をレビューすることです。
リードナーチャリングの結果は、最終的な目標にたどり着いた見込み客の数が分かる場合にはその数で判断できます。例えば、営業案件化数や問い合わせ件数などは最終目標到達数が明確に分かります。
しかし、必ずしも最終目標到達数が分かるわけではありません。シナリオ全体としての評価しかできず、タッチポイントごとの分析や評価をすることは難しいのです。
そこでタッチポイントごとの分析や評価はスコアリングを使って行なうと便利です。
スコアリングの基礎について知りたいかたは「スコアリングの基礎」に詳しくまとめておりますので、あわせてご覧くださいませ。
見込み客の行動や属性に対して、点数をつけることでシナリオのタッチポイントごとの評価がしやすくなります。例えば、資料請求のような購買に近い行動をした見込み客には10点を、Webサイトを見ただけの見込み客には1点というように点数をつけます。シナリオに設定した見込み客との接点によって、見込み客の点数が上がっていればそのタッチポイントは上手くいっていると言えますし、想定よりも上がっていなければ改善の余地があることが分かります。
また、スコアリングをするためにはマーケティングオートメーションが欠かせません。
リードナーチャリングの戦略を実行に移したら気をつけるべき3つのポイント
最後にリードナーチャリングの戦略を立てて、実行に移し始めたら気をつけるべきことを3つご紹介します。
小さく始める
リードナーチャリングを実行する際に気をつけるべきポイントの1つめは、リードナーチャリングの施策を小さく始めることです。自社がアプローチすることができる見込み客全てに対して、一度にリードナーチャリングをすることはできません。
リードナーチャリングの企画を複数同時に実行してしまうと、どの施策が影響したのか分かりづらくなり、効果の検証が難しくなってしまいます。
また、一人の見込み客に複数の施策が実施されないように管理しようとすることも複雑すぎて非常に困難です。ですから、まずは購買に最も近いターゲットからリードナーチャリングの施策を実行していき、成功パターンを探しながら範囲を広げていくことをおすすめします。
効果検証を定期的に実施する
リードナーチャリング実行の際に気をつけるべきポイント2つめは、効果検証の頻度についてです。
リードナーチャリングの効果検証は定期的にやりましょうとお伝えしました。施策の内容に合わせて、適切な頻度で効果検証をしましょう。
施策の内容にもよりますが、週に一度は数値をレビューすることをおすすめします。
売り急がない
リードナーチャリングのゴールは施策ごとに異なります。セミナーなどのオフラインのイベントへの呼び込みだったり、問い合わせの増加だったり施策ごとにゴールが異なります。ついつい資料請求を促すといった売上げに近い施策を案内したくなりますが、当初設定したシナリオのゴールを見失わないようにしましょう。
ただし、定期的な効果検証の際にそもそものゴールを見直す事があった場合は柔軟に変えてもよいでしょう。
さいごに
この記事の下に「リードナーチャリングの手引き」という無料のガイドブックをご用意しました。リードナーチャリングを始める際に非常に役立つノウハウ集となっております。ぜひダウンロードしてお使いください。