【傾向と対策】展示会出展で「今すぐ」の営業案件が減っている

2013年10月21日

展示会出展は、BtoBのマーケティングでは中心となる活動である。企業では、多くの予算を確保し、展示会出展への準備のため多くの人的リソースを活用する。展示会出展を通じて、自社のブランドを露出したり、多くの営業案件をうみだしたりするためだ。

その一方で、数多くの来場者が来る展示会でも小規模の展示会でも、来場者の目的は今すぐ購入すべき製品やサービスを探すためではなく、業務に関係のある製品やサービスの情報を仕入れるなど業務に有益な情報を集めていることが多い。日本経済の停滞ややインターネットの普及がこの傾向を加速している。

このように状況が変化する中で、展示会出展者はあらためて自社の展示会出展の目的と戦術を見直す必要がでてきている。

展示会出展の効果は下降気味?

展示会出展は、特にBtoBビジネスではマーケティング活動の中心だ。展示会のかなり前から部署や会社をあげて準備に取り組む。会社の多くの予算と多くの人的リソースが展示会に投入される。

展示会で接触した来場者を、そのまま営業案件につなげる事が前提であるため、営業部門もマーケティングが運営する展示会から、良質なすぐに契約につながるリードを期待する。そのためなら、展示会の出展へは、予算も社内リソースも莫大に投入する。

しかしこのように展示会出展から営業案件につながる確率は年々少なくなっている。

展示会の出展企業に影響を及ぼす景気の停滞

展示会出展から営業案件につながる確率が少なくなった背景のひとつにマクロ環境の変化がある。

ここ10年近く、日本の経済が停滞気味であり、それに伴い各業種でも市場そのものが停滞気味だ。伸びている業界であればあるほど、展示会への出展社、十分な予算を持った来場者が多く、ブースで営業案件につながる機会が増える。

しかし停滞気味な業界では、企業の予算も例年と同じかそれより縮小し、購買の決定も慎重になる。具体的なニーズを持つ来場者は、関連する製品について調査し、関心が高い場合は、展示会の有無に関わらず直接個別に連絡を取る。興味のある製品をブースで見つけた場合でも、帰社後に情報を関係者と共有し、関連する他社製品と比較する。展示会での来場者との接触からすぐに営業案件にはならない。

インターネットの普及と企業ホームページの発展

展示会の出展の効果が伸び悩む理由としてインターネットの普及があげられる。企業でも積極的にWebサイトやブログ、ソーシャルメディアで情報を展開する。年々企業のホームページの質が良くなり、リッチな情報をインターネットで提供している。

展示会の来場者からしてみれば、わざわざ展示会に行かなくても、インターネットから同様の情報が手に入る。

企業での購買へのニーズが高くなれば、タイミングを合わせて展示会へと足を運ぶよりも、まずはインターネットで情報の検索をする。自分の都合の良いタイミングでかつ競合製品の情報まで獲得できるため都合が良い。

展示会への参加の目的の変化

展示会に出展する立場になると、展示会に来場する立場を忘れ勝ちだ。ここで展示会に来場する立場になって考えて頂きたい。あなたはなぜ展示会へと足を運ぶのだろうか?

展示会に来場する理由のほとんどが「情報収集」である。具体的な購買へのニーズが存在していない。

金曜の午後はせっかくだから展示会に顔でも出してみよう、最近は何か面白い企業や製品があるだろうか、上司に頼まれたから、などの具体化していないニーズが展示会へ足を運ぶ理由となっている傾向にある。そして、決裁者よりも現場の担当者にこの傾向が強い。

展示会出展の目的を来場者に合わせてチューニング

展示会出展する企業の思いとは逆に、展示会への来場者の変化が進む。展示会への来場者は、ニーズが具体化していない決裁権の無い現場の担当者がほとんどだ。情報収集が主な目的である。

展示会に出展する企業側はどのような目的を設定すべきだろうか?

もちろん展示会出展により接した来場者からビジネスにつながる案件を獲得する事が第一の目的であることは変わらないだろう。しかしながら、前述の環境の変化から「今すぐ」顧客になりそうな来場者に出会う確率は極端に低い。展示会で獲得した名刺情報は、すぐに営業案件にはならない。

したがって、展示会で獲得した名刺情報への展示会後のフォローアップが重要になる。展示会後も引き続き情報を提供し続け、ニーズが明確になって購買プロセスに入るタイミングを見極める。このプロセスはリードナーチャリングとして知られている。

企業の展示会出展の目的は、長期的なものと短期的なものに分けるべきだ。

長期的な視点で見た展示会出展の目的は、売上げ向上にある。展示会で接した来場者から生み出した売上げや営業案件数だ。すぐに展示会で獲得した名刺が営業案件に変わるとは限らない。展示会後のリードナーチャリングで、引き続きフォローアップしながら営業案件に変えていく。

展示会出展の評価は多少長期的な視点で見る必要があるが、売上げで評価はした方が良い。

展示会出展を短期的に評価するなら、見込み顧客の獲得数となる。

展示会への出展を通じてあなたが接する来場者は、具体的なニーズの無く、業務で役立つ情報の収集が目的であることがほとんどだ。あなたのブースに立ち寄ったなら、少なくともその分野の関心は高い。展示会で得られる見込み顧客の質は高く、展示会後も引き続き有益な情報を提供し続ければ、将来の案件につながる。

展示会後のフォローアップを前提とした見込み顧客の獲得こそが、展示会出展の短期的に評価できる指標となる。

展示会に出展してより多くの見込み顧客を獲得するために

展示会に出展する企業は多い。大きな展示会だと数百の出展者がある。しかし来場者は、全ての出展ブースに立ち寄らない。

再び来場者の立場になって考えてみよう。あなたなら展示会に全日留まるだろうか?

展示会に留まる時間は、通常は2-3時間から、長くても半日程度である。この短い時間で来場者の業務にとって必要な情報を収集するのだ。

展示会場でのパンフレットや展示会のWebサイトで出展社を確認する。業務の報告に便利な大手企業を確認し、多少興味のありそうな分野が集まるブースの場所をチェックするくらいではないだろうか?あなたの会社が大手企業でなければ、来場者が来る確率は下がる。

より多くの来場者を獲得するために、自社のWebサイトでも展示会出展の情報を掲載する。展示会のWebサイトからそのページへとリンクがあれば好ましい。トップページにちょっとだけ掲載するよりも、より具体的な展示情報を発信する特設ページを作るのが好ましい。

展示会出展の案内状・招待状を既存のリストに送付することも忘れないようにしよう。メールで展示会の案内状・招待状を送付する際には、シンプルに情報が伝わるようにする。展示会出展の準備に熱が入り、思わずメールにもその想いから長文になってしまう傾向にある。長文のメールはなかなか読んでもらえない。シンプルに展示のポイント、来場者があなたのブースに立ち寄るメリットをまとめよう。

いずれにしても、来場者が2-3時間で巡回するリストへと入れてもらうことが第一の狙いだ。

展示会出展での注意点(まとめ)

展示会出展は、あなたのマーケティング活動全体の一部と捉え、新規の見込み顧客の獲得から、リードナーチャリングの一環としても位置づけた方が無難だ。

あなたのマーケティング活動を鳥瞰的にみて、戦略的なアプローチを検討してみてほしい。

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