顧客管理ソフトは、マーケティングの分野でほぼ必須と考えられるようになってきました。弊社でも顧客管理が可能なソフトウエアの問い合わせをよく受けます。
顧客管理ソフトの導入にはさまざまな企業の要望があります。その中でも、企業マーケティングの効果アップや売上アップにつながる顧客管理ソフトの機能や評価のポイントをまとめてみました。
顧客管理のツールや、マーケティングオートメーションを選ぶ際の基準として参考にしていただければ幸いです。
1. 顧客管理で獲得元が明確に分類できるか?
顧客管理ソフトで見込み客の名刺情報以上の情報が活用できると、売上アップにつながる質の高いマーケティングが実現できます。
顧客管理ソフトで取り込んだ名刺情報の全てにメールを一斉配信するなど、これまではいわゆるマス型のマーケティングが主流でした。しかし最近の傾向は全く異なります。
最近では、顧客管理ソフトで見込み客のニーズを推測して、見込み客のニーズにあった情報をメールなどで提供する企業マーケティングがBtoBビジネスでも進んでいます。
企業が獲得した見込み客の全てに自社の広告やセミナーの宣伝などのメールを一斉配信した場合、受信者のニーズとメール配信内容が合わなければ即座に受信拒否されてしまい、今後コンタクトできなくなります。
BtoBマーケティングでは、展示会出展やセミナー開催など、費用をかけて獲得した見込み客が一瞬にして台無しになってしまうため、このような事態はできるだけ避けるべきです。
そのため獲得した見込み客をニーズ別にセグメンテーションしてメールなどでコンタクトを試みるようになりました。
見込み客のニーズの把握は、見込み客獲得の際の行動履歴がヒントになります。
フォームからの問い合わせの場合、問い合わせフォームの内容から見込み客のニーズは推測できます。見込み客がフォームで提供する情報以外にも、問い合わせフォームにアクセスする前に閲覧していたWebページに見込み客のニーズのヒントが隠されています。
あなたの製品の特定の機能をみて、そのまま問い合わせページから問い合わせした場合、その製品の特定の機能が見込み客のニーズに大きく関係する可能性があります。
セミナー登録、特定展示会来訪、なども同様です。セミナーや展示会来訪も、そのテーマに興味があってあなたの会社に接触しています。ここには潜在的なニーズ情報があります。
顧客管理ソフトウエアでは見込み客の情報だけでなく、リードの獲得元も明確にしておけば、見込み客のニーズに合わせたマーケティング施策を展開できます。売上アップにつながるマーケティング活動ができるだけでなく、せっかく獲得したリードを一瞬にして無駄にすることはありません。
2. 行動履歴を記録し、可視化(スコアリング)が顧客管理ソフトウエアで可能か?
リード管理システムで分類できる業種や役職、地域などのリードの属性でセグメンテーションを設定してマーケティング活動を展開しても、以前より営業活動につながる見込み客を獲得することは難しくなりました。
見込み客のニーズは、リード管理システムにある見込み客の属性に加えて、見込み客の購買行動を知る必要があります。特にBtoBの購買行動プロセスは、購買の前半と後半では購買に必要となる情報が異なるため必要なマーケティング活動も異なります。
参考 BtoBの購買行動プロセスの詳しい解説|カイロスのマーケティングブログ
見込み客のニーズは見込み客の行動から判断します。
顧客管理ソフトはメール配信の仕組みが備わっているものが多くあります。
マーケティングに活用できる顧客管理ソフトのメール配信機能は、受信者のメール開封やメール本文内のリンクのクリックの有無をレポートで報告します。
参考 メール配信|マーケティングオートメーション「Kairos3」の機能
メール本文内のリンクのクリックから、見込み客のニーズが推測できます。見込み客は興味のあるリンクをクリックするからです。しかしこの仕組だけでは十分とは言えません。
顧客管理ソフトにある見込み客にメールを送り、メール本文中にあったあなたの製品Aのリンクがクリックされたとします。見込み客は「製品A」のページを見た後で、サイドバーにあった「製品B」のリンクをクリックします。その後、製品Bの導入事例や料金表、そしてよくある質問までじっくり閲覧していたとしましょう。
製品Aに関心があることはメール配信のレポート機能から推測できますが、この見込み客が「製品B」に関心があることはわかりません。しかしこの見込み客は明らかに「製品B」に興味があります。
顧客管理ソフトは、このような見込み客を取りこぼしてはいけません。見込み客の情報に加えて、メールの開封・リンクのクリックだけでなく、見込み客のWeb上での行動履歴も追跡できるべきです。
また、顧客管理ソフト上にある全ての見込み客の行動履歴を、管理者が目でチェックするのは不可能です。BtoBの購買行動プロセスに深く関わりのある行動に着目したり、重要な購買行動を示す見込み客はスコアリング機能などで抽出&可視化する運用が一般的です。
3. 顧客管理ソフトのリードの行動履歴がリードナーチャリングで活用できるか?
顧客管理ソフトで管理する見込み客にリードナーチャリングをして見込み客の購買プロセスを加速させます。
参考 リードナーチャリング完全ガイド|カイロスマーケティング株式会社
顧客管理ソフトで管理する見込み客へのリードナーチャリングは、見込み客の購買プロセスを加速することを目的として、見込み客の興味関心に合わせた情報を顧客管理ソフトなどのメール配信機能で提供します。そのために、リードナーチャリングの対象となる見込み客は、見込み客の行動履歴から推測されるニーズでまとめたセグメンテーションで絞り込みます。
顧客管理ソフトを活用したリードナーチャリングは、メール配信システムのステップメール機能と比較されますが、両者は大きく異なります。
ステップメール機能は、あらかじめ設定されたターゲットとなる見込み客に対して、見込み客の反応に関係なく設定されたメールを送ります。ステップメールで連続して送られてくるメールが見込み客のニーズに合わず不要とみなされれば、見込み客によってすぐさま配信拒否(オプトアウト)されてしまいます。せっかくコストをかけて獲得した見込み客にも関わらず、以後メールを送ったり、企業側からコンタクトをとることができません。
リードナーチャリングも連続してメールを送る点では同じですが、見込み客の反応にあわせた最適な内容のメールを送るため、ステップメールとは大きく異なります。
リードナーチャリングでは、各メール配信前に配信リストをチェックし、突然の顧客トラブルのため特定会社へのメール配信を取りやめたり、個別に営業担当などからメールを送信するなどの運用をする企業も多くあります。
両者を比較すると、リード獲得に労力やコストがかかるBtoBビジネスには、ステップメール機能よりも見込み客のニーズを慎重に見極める運用をするリードナーチャリングが適していると考えられます。
リードナーチャリングでは、興味関心があるメールをタイムリーに見込み客に送るため、自社の宣伝が多く含まれるメールに関わらず、「ちょうど探していた情報だったので助かります」と感謝されることもあるようです。顧客管理ソフトの機能を使ってステップメールのように自動送信するよりも、運用者の目で確かめながら慎重な運用が取られるリードナーチャリングの特徴ともいえます。
リードナーチャリングによる見込み客の反応は、顧客管理ソフトの見込み客の行動履歴として保存されることが望ましいです。
4. 顧客管理ソフトから営業活動の効率を改善するための情報が提供できるか?
顧客管理ソフトが今すぐ営業活動すべき見込み客を適切に抽出できれば、あなたのマーケティング活動が営業活動を加速できます。
そのためには、顧客管理ソフトが見込み客のコンタクト情報や属性情報以外に、見込み客の行動履歴を記録する必要があります。
記録された見込み客の行動履歴は、BtoBの購買行動プロセスの中でも重要な行動を抽出します。見込み客のすべての行動はスコアリング機能によって、その見込み客の購買意欲や興味関心の度合いを数値化します。著しくスコアが高いリードは、今すぐ営業活動をすべき見込み客として顧客管理ソフトによって抽出されるべきです。
顧客管理ソフトから抽出した今すぐ営業活動すべき見込み客の情報を営業担当者に引き渡す時、情報を引き受けた営業担当者が通常のアポ取り以上の活動を引き出すための情報を提供できるかどうかがカギになります。
顧客管理ソフトが上図のように見込み客の購買行動が記録すれば、その行動履歴から潜在的なニーズが把握できます。今すぐ営業すべき見込み客の潜在ニーズがわかれば、アポ取りのコンタクト前に会話の組み立てを考えたり、関連する必要資料を準備したりと、営業活動を確実にクロージングするための入念な準備が可能です。
参考 顧客管理機能|マーケティングオートメーション「Kairos3」の機能
5. 優先して取り組むべきマーケティング活動を顧客管理ソフトから見いだせるか?
顧客管理ソフトの見込み客をスコアリング機能とBtoBの購買行動プロセスから、購買意欲や興味関心の度合いによって見込み客を分類します。
例えば、顧客管理ソフトの見込み客のほとんどがあなたのキャンペーンに反応しているウォームリードであるにも関わらず、今すぐ営業すべきホットリードが少ない場合、ウォームリードを増やすためのマーケティング活動をすべきです。
関連する製品の事例集を送ったり、キャンペーンで今月末までの注文を値引きするなど、さまざまなマーケティング活動が考えられます。
顧客管理ソフト上の見込み客をスコアとBtoBの購買行動プロセス上から分類すれば、あなたのマーケティング活動の優先順位を決定できるだけでなく、営業引合いを多くうみだすなど、売上アップにも貢献が可能です。
6. 顧客管理ソフトは十分に使いやすいか?
顧客管理ソフトの機能も大事ですが、操作性や運用の簡単さも顧客管理ソフトを選ぶ上で重要な要素になります。
顧客管理ソフトを導入するにあたって、専門のトレーニングコースを受講したり、分厚いマニュアルを読み込まなくてはならないと、お金の面の導入コストに加えて、労働力のコストも強いられることになります。
マーケティング業務目的で採用する顧客管理ソフトは、画面上でその操作が直感的に分かるような工夫のされたソフトウエアを選ぶようにしましょう。
まとめ〜担当者必見!顧客管理ソフトの導入でここだけは検討すべき6つのポイント
顧客管理ソフトは顧客を管理するだけでは、マーケテイングの現場では不十分です。マーケティング活動を強化する目的で選ぶ顧客管理ソフトでは、見込み客の情報に加えて行動の記録は必須条件です。
スコアリング、リードナーチャリングなどの売上につなげるための機能や、簡単に利用できることも顧客管理ソフトを選定する際にはチェックする必要があります。
参考 顧客管理機能|マーケティングオートメーション「Kairos3」