マーケティングリードから新規見込み客を定常的に見つけ出さなくては、ビジネスが安定して継続しません。そのため、多くの企業では展示会やセミナー、Webサイト構築などにマーケティング予算をかけています。
あなたのマーケティングリードの獲得は順調といえますか?
今回は、より多くのマーケティングリードをWebサイトから獲得して、営業活動につなげるまでのノウハウとプロセスについて説明します。
1.マーケティングリードとは
マーケティングリードとは、現在は取引きがない将来の見込み客を意味します。セミナーや展示会、Web集客などのマーケティング活動では、マーケティングリードの獲得は欠かせません。
現在は取引きがない将来の見込み客のこと。
BtoBマーケティングでは、継続的な営業引合いから安定した売り上げを確保することを目的として、マーケティングリードの獲得にマーケティング予算を投入します。
マーケティングリードの獲得を目的としたBtoBのマーケティング活動で、従来の展示会やセミナーだけでなく、自社のWebサイトも活用する企業が増えてきました。
Webサイトからのマーケティングリードの獲得は、マーケティングコストが安く、常時マーケティングリード獲得の機会を持てることが大きな理由です。
2.マーケティングリードの購買行動プロセス
より多くのマーケティングリードを獲得するためには、あなたがターゲットとしているマーケティングリードの購買行動プロセスを明らかにして、適切な情報やオファーを提供する作業が必要です。
また、獲得したマーケティングリードのニーズの明確さによって、獲得するマーケティングリードが今すぐの営業案件に結びつくかどうかが変わります。将来の営業案件候補となるマーケティングリードの場合、比較的数多く獲得できますが、今すぐ営業活動につなげるべきマーケティングリードの数は少なくなります。
まずは、マーケティングリードの獲得を手掛ける前に準備しておくべきタスクから整理しましょう。
2-1.BtoBの購買行動プロセス
マーケティングリードの獲得にあたって、BtoBマーケティング場合はその顧客の購買プロセスの特性を考えなくてはなりません。
BtoBマーケティングでは、購買に関与するそれぞれの役割を持つメンバーが複数おり、慎重に購買行動プロセスを進めるなどの特徴があります。くわしくは「教科書が教えないBtoBマーケティングの実際|カイロスのマーケティングブログ」にまとめました。
BtoBの購買行動プロセスは、下の図のように、それぞれの役割を持つ複数の担当者が関わり、段階的に購買行動を進めていきます。
あなたがターゲットとするマーケティングリードの購買行動プロセスの段階と役割によって、提供する情報やオファーが異なります。
BtoBの購買行プロセスの詳しい解説は、「5分で覚える購買行動プロセスの解説〜BtoB営業・マーケティング担当者なら必ず覚えるべき基本事項|カイロスのマーケティングブログ」でしております。こちらも合わせてごらんください。
2-2.マーケティングリードの獲得に最適なオファーを準備する
マーケティングリードを獲得するためには、製品資料、調査レポート、ノウハウ集、セミナー案内などの提供物(オファー)を用意します。これらのダウンロードと引き換えにWeb訪問者は、連絡先の情報などのマーケティングリード情報を提供します。
オファーの内容は、あなたが獲得したいマーケティングリードの購買に関わる役割と購買行動プロセスの段階によって決まります。
例えば、まだいろいろと調査中で情報収集を中心に進めている購買行動プロセスの初期にいる購買の担当者には、これから社内で案件化するために必要な業界の動向などの調査レポートや導入の効果がわかる事例集などが適しているといえるでしょう。
当然、このようなオファーを提供すれば、獲得できるマーケティングリードは、購買行動プロセスの初期の段階であることが多くなります。営業案件化するためには、獲得したマーケティングリードに対してリードナーチャリングなどでフォローアップしていかなくてはなりません。
マーケティングリードを獲得するための適切なオファーが思いつかない場合には、ペルソナを作ってみるのも1つの手です。架空だけど理想のマーケティングリードの人物像を描くことによって、ターゲットとするマーケティングリードが興味を引きそうなオファーが明らかになるでしょう。
ペルソナの概要とペルソナの作り方は、「誰でもできるペルソナの作り方〜マーケティングの現場で活用できる良質なペルソナを作る手順|カイロスのマーケティングブログ」が参考になります。
3.マーケティングリードを誘導する
マーケティングリードを獲得するために作ったオファーへWeb訪問者を誘導します。あなたのWebサイトに工夫をすればするほど、もっと多くのマーケティングリードが獲得できます。
3-1.バナーを活用してマーケティングリードを誘導する
あなたのWebサイトの訪問者をマーケティングリードにするために、オファーがダウンロードできるWebページに誘導します。Web訪問者の誘導にはバナーが便利です。
ただ、やみくもにあなたのWebページにマーケティングリードを獲得するためのバナーを配置しても効果はあがりません。そのWebページの内容とバナー、つまりオファーの内容に関連性があればあるほどバナーのクリック率がよくなります。
ページ内容とバナーの内容がマッチしていなければ、あなたのバナーのクリック率が1%にも満たないことがあります。一方で、ページ内容とバナーの内容が一致すれば、あなたのバナーのクリック率が20%を超えることもあります。
3-2.マーケティングリードにオファーの内容をはっきりと伝える
あなたが提供するオファーが自分のニーズと合っていればいるほどマーケティングリードが獲得しやすくなります。
例えばあなたがWebサイトで提供するオファーをダウンロードする際に、専用フォームに連絡先の情報を書き込む必要がある一般的なマーケティングリードを獲得する方法を考えてみましょう。
あなたのWebサイトで、マーケティングリード登録用のフォームに呼び込むバナーがあります。まずWeb訪問者はこれをクリックして、フォームに登録することでマーケティングリードとなります。
Web訪問者は、あなたのWebサイトにある引き込み用のバナーに目が止まります。それは、バナーにあなたのオファーの内容を表現しているからです。このバナーでは、オファーをできるだけWeb訪問者が理解できる形にしましょう。
文字情報でオファーの内容を伝えるには、オファーの特徴を相手のメリットで伝えるバリュープロポジションのような形がよいでしょう。
バリュープロポジションはあなたの会社の製品やサービスを通じて提供する価値の確約(コミットメント)です。くわしくは、「良いバリュープロポジションを作る5つのコツ|カイロスのマーケティングブログ」をごらんください。
3-3.マーケティングリードの誘導バナーに画像を活用する
マーケティングリードを引き込むためのバナーは、オファーの内容をわかりやすくするために文字情報と画像で提供することがほとんどです。
このように、画像でオファーの内容を表現すると、テキストだけのバナーの場合よりもオファーの内容がマーケティングリードによく伝わります。
画像のリンクやボタンは、テキストのリンクよりも訪問者の注意を引きつけることができます。これによって、多くのマーケティングリードをを誘導できるようになります。
3-4.バナーの色合いを工夫してより多くのマーケティングリードを引き込む
リンクバナーの画像の色合いなどのデザインを工夫すれば、リンク用のバナーがあなたのWebページの中でもっと目立つようになります。
通常、Webページはデザイナーが設定した色合いのスキームがあります。このスキームに合わせれば合わせるほど、バナーがWebページのデザインに溶け込み、目立たなくなります。
Webページに溶け込まないバナーは、訪問者の注意を惹きつけますが、デザイナーの意と反するため調整が必要かもしれません。
4.フォームを活用してより多くのマーケティングリードを獲得する
Web上でのリードジェネレーションは、フォームを活用することが一般的です。
マーケティングリード獲得用のフォームにも工夫をすれば、コンバージョン率が改善できます。
4-1.バナーとフォームのキャッチコピーを一致させる
マーケティングリードとなるWeb訪問者が、ランディングページのバナーを見てクリックして登録フォームまでたどりついたものの、そこでのメッセージがバナーのものとかけ離れていたら当然離脱するでしょう。
マーケティングリードを誘導するバナー、ランディングページ、登録フォームまで一貫して同じメッセージを発信し続けなければ、マーケティングリードはそのプロセスの途中で必ず離脱します。
マーケティングリードを獲得するために一定以上のコンバージョン率をかせぎだすためには、バナーからフォームまで一貫したメッセージの提供を心がけましょう。
4-2.フォームの登録項目を減らしてより多くのマーケティングリードを獲得する
名前とメールアドレスを入力するだけの登録フォームと、名前、部署、電話など10項目以上の必須項目がある登録フォームでは、当然マーケティングリードのコンバージョン率が異なります。
マーケティングリードの獲得を目的としたフォームでは、必須の登録項目数が少ないほどコンバージョン率が高くなります。フォームの項目数が半分になると、マーケティングリードの獲得数が4倍になる可能性もあります。
フォームのコンバージョン率の平均や登録項目数の違いによるコンバージョン率の変化などは、「コンバージョン率の目安と業界平均値|カイロスのマーケティングブログ」を参考にしてくださいませ。
マーケティングリードの獲得を目的としたフォームでも、ねらっている購買行動プロセスの段階によっては、必須項目数が多くてもさほどコンバージョンに影響しません。
あなたの会社にデモや説明依頼を求めようとしている訪問者は、フォームの必須項目が多くても、高い確率でコンバージョンします。逆に、一般的な情報収集をしている訪問者は、必須項目が多数あると離脱する傾向にあります。
4-3.マーケティングリードの獲得を目的としたフォーム内の余分なリンクを削除する
ブランディングが目的で、Webサイトのデザインをある程度統一することは一般的です。Webサイトのメインメニューやフッターなどのリンクも統一します。
製品や商品の紹介ページでは、このようなリンクがあると訪問者にとってナビゲーションしやすく便利です。しかし、マーケティングリードを獲得するためのフォームにも同様にナビゲーションを設置すると、マーケティングリード獲得のコンバージョン率が下がることが知られています。
せっかくマーケティングリード獲得用のフォームまで来たにも関わらず、他のWebページと同様にバナーやナビゲーションリンクがあるため、注意が分散してしまうためだと考えられています。
Web訪問者は1度では簡単にマーケティングリード獲得用のフォームに登録しません。他のページに行って情報を確認してから戻ってきたり、しばらく時間をおいたりなど、2,3度フォームを訪れてから登録するマーケティングリードを少なくありません。
例えば、上の図のように、メインメニューやグローバルメニューを思い切って外して、マーケティングリード獲得用のフォームをシンプルなデザインにしてみてはいかがでしょうか?
5.マーケティングリードへのフォローを忘れない
獲得したマーケティングリードの全てが確実に営業引合いになるとは限りません。より多くの営業引合いを生み出すために、登録後のマーケティングリードへのフォローアップを必ずするようにしましょう。
5-1.マーケティングリード獲得用フォームの登録完了画面を活用する
獲得したマーケティングリードをフォローアップする最も有効な方法は、マーケティングリード獲得用フォームの「サンキューページ」にメッセージを表示することです。
マーケティングリード獲得用のフォームの「サンキューページ」の閲覧率はほぼ100%のはずです。ここに単に登録のお礼だけでなく、マーケティングリードに次にとっていただきたい行動をうながしてみましょう。
マーケティングリードのフォローアップでリードナーチャリングしようと思っている場合には、マーケティングリード獲得用のフォームのサンキューページもコミュニケーションの1つとして考えると良いでしょう。
マーケティングリード獲得用のフォームの「サンキューページ」は、メールなどでわざわざフォローアップする必要がない上に、必ず表示するものであるとマーケティングリード側にも認識があるため、情報を届ける手段としては最も自然な方法であるといえます。
5-2.マーケティングリードの登録完了メールを活用する
マーケティングリード獲得用のフォームのサンキューページに続いて自然なコミュニケーションの取り方に、登録完了後に送信するサンキューメールがあります。このメールもリードナーチャリングの一環と考えて、マーケティングリードのフォローアップの手段として活用しましょう。
マーケティングリード獲得用フォームに登録後に送信するサンキューメールは、開封率が高いメールの1つです。単に登録に対する感謝の意を伝えるだけでなく、あなたの製品やサービスをもっと気に入ってもらうための情報を届けるようにしましょう。
サンキューページとサンキューメールを活用すれば、マーケティングリードに2回も情報を提供することができます。
これらのコミュニケーションでは、あなたの製品やサービスのバリュープロポジションを手短に伝えるようにしましょう。
バリュー・プロポジションについては、「良いバリュープロポジションを作る5つのコツ|カイロスのマーケティングブログ」を参考にしてみてください。
5-3.リードナーチャリングでマーケティングリードの購買意欲を刺激する
獲得したマーケティングリードの大半は、まだ購入をこれから検討する購買行動プロセスの段階にあるのではないでしょうか。
このような場合、より多くのマーケティングリードを営業引合いにするために、リードナーチャリングが効果的です。
リードナーチャリングでは、マーケティングリードの購買行動プロセスに応じて、購買行動プロセスを前に押し進めるために必要な情報をメールなどでマーケティングリードに提供します。
例えば、まだ情報収集段階にいるマーケティングリードには、自社内の課題の整理や案件化に必要となる業界のトレンドの情報や、課題解決のためのヒントになる情報を送ります。
リードナーチャリングはクロージングに営業担当者が必要なBtoB、BtoC問わず全ての業種に活用できるパワフルな方法です。リードナーチャリングは「リードナーチャリング完全ガイド」でまとめてあります。是非参考にしてください。
リードナーチャリングには、専用のマーケティングオートメーションのツールが便利です。個々のリードのメール開封やWeb訪問などの履歴から、リードナーチャリングの次のステップが適切に選択できるようになります。適切な情報をマーケティングリードに届ければ、獲得したマーケティングリードからより多くの営業引合いを生み出せるようになります。
6.重要なマーケティングリードを見極める
獲得したマーケティングリードのフォローの後は、確実に営業活動をクロージングできるための工夫をしましょう。
6-1.マーケティングリードの行動履歴を確認する
マーケティングリードの行動には、マーケティングリードがあなたに語らないニーズに関する情報がたくさんあります。
例えば、あるマーケティングリードがあなたの製品情報のWebページを訪問したとしましょう。あなたのWebサイトには製品の機能、価格、利用例、実績など多くの情報があります。マーケティングリードが全ての情報を閲覧したとしても、閲覧の順序にそのニーズが隠れています。
まずは製品概要をみたマーケティングリードが次に価格情報にアクセスした場合には、おそらく価格が購買の決定要因の最も重要な要素かもしれません。
この情報はメールの開封やクリックだけではわかりません。
マーケティングオートメーションのソフトウエアでは、マーケティングリードの行動履歴を記録できる機能があります。
これらの行動履歴を確認しながら、営業活動を展開するマーケティングリードの情報を営業担当者に引き渡す際に、一緒に共有すれば、営業担当者は該当するマーケティングリードに連絡を取る前に、営業トークを組み立てたり、必要な資料を用意したりするなど、営業活動の効率化につながります。
6-2.リードスコアリングでマーケティングリードを自動的に評価する
マーケティングリードの購買行動を記録して、それを確認しながら営業担当者に引き渡すマーケティングリードを選ぶ方法が最も質の高いマーケティングリードを営業担当者に引き渡す方法です。
しかし営業担当者に引き渡すマーケティングリードが増えてくると、マーケティングリードの全ての購買行動をチェックすることは大変な作業になります。
マーケティングリードの購買行動を、購買意欲に合わせて自動的に数値化すればこの作業が簡単になります。その方法はリードスコアリングと呼びます。
リードスコアリングで、例えば価格表や導入のFAQページのチェックなど、購買に大きく関連する重要な購買行動に高いスコアを設定します。ある一定期間に大きなスコアの増加があるマーケティングリードは、今すぐ営業活動をすべきマーケティングリードと推測できます。
スコアリングを活用しながら、パーチェスファネルのモデルを作り上げて、パーチェスファネルの下の方にあるマーケティングリードを定期的に営業担当者に引き渡せる仕組みができれば、あなたのマーケティング業務が効率よくできるようになります。
リードのスコアリングは、Web解析ツールだけでは時間がかかりすぎてしまいます。マーケティングオートメーションを使うと、その標準機能でリードのスコアリングが自動的にできるようになります。(参考リンク)スコアリング機能
7.さいごに
マーケティングリードを獲得するための施策として参考になりましたでしょうか?
まずはすぐに着手できそうな部分からでも着手すれば、マーケティングリードの獲得数に変化が生まれてくるでしょう。