5分で覚える購買行動プロセスの解説〜BtoB営業・マーケティング担当者なら必ず覚えるべき基本事項

2015年09月03日

BtoBマーケティングでは、人が関わる営業活動が欠かせません。販売する製品やサービスをもって営業担当者が顧客を訪問し、説明や説得を繰り返して購入にいたることが一般的です。

この現実はBtoBマーケティングの理想と異なります。

BtoBマーケティングの理想においては、営業担当者が属人的な能力によってお客さまに売り込むのではなく、お客さまから問い合わせが来るように仕掛けて、売れるようにする仕組みを作ることが重要です。

つまりBtoBマーケティングでは、お客さまを調べつくして、お客さまのニーズを探索・発見するとともに、売れる仕組みを作らなければなりません。

このようにBtoBマーケティングにおいて売れる仕組みを理解するためには、お客さまの購買行動プロセスをしっかりと把握することが重要になります。

1. BtoBマーケティングで購買行動プロセスの理解が重要な理由

お客さまの購買行動プロセスを理解した上で、どのお客さまにどのような価値をどのタイミングで考えることが、マーケティングの根幹です。

BtoCでは、100円のスナック菓子を食べることで得る経済「価値」を検討して購入するケースはほとんどありません。しかし、BtoBでは、あなたが提供する価値から生み出す自社事業の事業メリットを詳細に検討する傾向にあります。ここに違いがあります。

BtoBマーケティングについて
BtoBマーケティングは、BtoCの消費者マーケティングにはないさまざまな特性があります。くわしくは「教科書が教えないBtoBマーケティングの実際」を参考にしてください。

お客さまのニーズとあなたが提供する価値を理解するためには、お客さまの購買行動プロセスを把握することからはじまります。そして、お客さまのニーズにピッタリあった最高の価値を提供することによって、顧客満足がうまれ、お客さまのリピート購買や、知り合い・同僚への口コミによる推奨につながります。

そのためにBtoBマーケティングでは、お客さまの購買行動プロセスをしっかりと抑えておく必要があります。

2. 購買行動プロセスに関わる人を把握する

BtoBの購買行動プロセスの特徴には、BtoBの購買行動は複数人の関与者が組織的に行う点があります。BtoBの購買行動プロセスには、発注者だけでなく、案件の起案者、意思決定者、社内稟議における承認者、購買担当者、そして時には実際の利用者も関わります。

BtoBの購買行動プロセスを明らかにする理由には、お客さまの社内における購買にかかわる人たちを把握して、マーケティングや営業活動における対応を検討しなくてはなりません。

BtoBの購買行動プロセスを簡単なモデルにするために、ここでは「意思決定者」、「担当者」、「利用者」の3つの役割にまとめます。

役割 概要
意思決定者 案件の予算・購入・決裁などの最終承認を行います。
担当者 社内要求の取りまとめから要求定義、提案業者の調査と選定、導入からサポートまで、ほぼ全ての購買行動プロセスに関わります。
利用者 購買にあたって担当者に意見したり、情報提供したりします。製品やサービスの試験利用や購入後のサポートまで利用の全てに関わります。
購買行動プロセスの3つの役割
購買行動プロセスにおける役割は取り扱う商材などによって異なる場合があります。例えば、「利用者」がお客さまのお客さまであるケースもあります。また少額の場合は担当者が決裁者になることもあります。

購買行動に関わる人を把握しておくと、購買行動プロセスがより具現化し、顧客接点におけるマーケティングや営業活動でなすべきことがより明確になるメリットがあります。

3. 購買行動プロセスの概要

テレマーケティングや飛び込み営業など、お客さまの購買行動プロセスを無視した無差別かつ属人的なマーケティング活動や営業活動で、お客様の購買行動に偶然関わることもあります。これはすべて、マーケティング担当者や営業担当者の経験や勘によりますが、継続的に安定した売上の確保は難しくなります。

組織として継続的に売上を確保するためには、お客さまの購買行動プロセスの各段階をしっかりと把握し、適切なアクションを実行していくことにつきます。

ここからは具体的な購買行動プロセスについてみていきましょう。

4. ステップ1:課題設定と案件化

購買行動プロセスの最初のステップでは、自社や事業の課題を認識し、課題解決のための製品やサービス購入の検討をします。

4-1. 課題設定と案件化の購買行動プロセス

購買行動プロセスにおける製品やサービスに関する調査は、担当者が主にインターネットや業者が開催するセミナーや展示会から収集します。担当者が自分自身で情報収集できるかぎり、担当者は業者の営業と接触しないことが多くなりました。

購買行動プロセスのこの段階で担当者や意思決定者が得る情報が、社内案件化のきっかけになります。社内で自発的に案件化する場合もあれば、セミナー出席や展示会など、外部からの情報や提案によって案件化することもあります。

同時に、担当者は案件化の準備として社内の要求を取りまとめます。関連する製品やサービスの利用者や、専門知識が豊富な社内の技術者などから意見を聞いたり情報をもらったりします。

最終的に担当者は、予算概算を試算し、意思決定者と予算の調整をします。意思決定者は、購入に向けた購買行動プロセスの承認をします。

4-2. 購買行動プロセスを有利に進めるために

課題設定や案件化の購買行動プロセスでは、購買行動プロセスに関わる関係者は、業者の積極的な情報提供を期待しています。

購買行動プロセスの初期の段階における対応
購買行動プロセスの初期の段階では、担当者は積極的に業者の営業と接触しません。そのため、ウェブサイトやブログ、セミナーなどで積極的に案件化を後押しする有益な情報を提供するようにしましょう。

初期の購買行動プロセスで、購買担当者や購買行動プロセスの関係者は、市場の動向や専門家の意見や知見、ノウハウなどを求めています。

課題設定と案件化で購買者が求める主な情報

  • 業界者市場の動向などの調査レポート
  • 専門家の意見や見解
  • 課題解決のノウハウやソリューション
  • 購買行動プロセスの課題設定と案件化の段階では、まだまだ購買に至るかどうか明確ではありません。しかし、購買行動の後のプロセスであなたの会社や製品がお客さまの信頼を勝ち取り、提案業者として選んでいただけるよう、この段階でお客さまの信頼を勝ち取るようにしましょう。

    購買行動プロセスの課題設定と案件化の段階では、あなたのていねいな対応や、豊富な知見やノウハウの提示、お客さまの状況や課題の理解を示すことが重要です。

    お客さまに与えるあなたの信頼は、お客さまの後の購買行動プロセスであなたに有利に働きます。

    5. ステップ2:候補となる業者の抽出

    購買行動プロセスが進んで案件化すると、これまでに得た情報を精査して、提案を受ける業者探しをはじめます。提案候補の業者となるために、製品やサービスの情報提供だけでなく、提案に値する信頼できる企業であることもアピールしましょう。

    5-1. 候補となる業者を抽出する購買行動プロセス

    認識した自社の課題を解決するための製品やサービスを探し始めます。購買プロセスにおいて、担当者は最初に、自社の課題やサービスの要件定義をします。

    購買行動プロセスにおける要件定義
    課題設定と案件化の購買行動プロセスにある見込み客に対して積極的に情報を提供する企業は、信頼を集め、購買者が企業や製品・サービス名を覚えるため、要件定義やその後の購買行動プロセスが有利に展開できる可能性が高くなります。

    購買行動プロセスでまず、購入する製品やサービスの機能や仕様に対して優先順位をつけることによって、自社の要件を定義します。

    担当者は、この要件に見合う製品やサービスを主にインターネットで調査します。社内の専門家や知り合いに意見を聞いたり、情報をもらったりすることもあります。また社内の利用者が要望を伝えたり情報を提供したりすることもあります。

    担当者は、業者一覧のリストを作成し、得た情報を整理します。そこから自社の要件定義を満たす製品やサービスを提供する業者を選び出します。

    最終的には、購買行動プロセスに関与するメンバーの合意をとって、提案を依頼する業者を決定します。大型の案件の場合は、意思決定者にも合意をとることがあります。

    BtoBの購買行動プロセスの特徴
    BtoBの購買行動プロセスでは、購買行動が組織的に進む特徴があります。BtoBマーケティングでは、この点に留意して活動を展開しなくてはなりません。BtoBマーケティングの詳細は、「教科書が教えないBtoBマーケティングの実際|カイロスのマーケティングブログ」が参考になります。

    5-2. 候補となる業者になるために

    購買行動プロセスの提案業者を選ぶ段階では、自社の要件を満たす製品やサービスを取り扱う業者を探しています。そのため、ウェブサイトなど公開している情報源を簡単に見つけることが出来る必要があります。

    情報提供においては、購買行動に関与するメンバーの合意を取る担当者の立場や責任をよく理解して十分な情報の提供をするだけでなく、ていねいで確実な対応も必要です。

    提案業者になるための情報提供とは
    提案の候補となる業者を探し出す購買行動プロセスの段階では、購買行動プロセスの初期の課題設定や案件化のために提供する情報とは異なります。あなたの製品やサービスの価値、価格、費用対効果、業者としての信頼を示す情報などを提供します。

    また、BtoBビジネスの場合、企業間の取引きはたった1回にとどまらずその後の継続的な取引きにつながることも多くあります。

    そのため、提案を依頼する前に、その業者は今後も継続的にお付き合いできる企業であるかどうかも評価します。ウェブサイトの企業情報で、一般的な企業情報に加えて、その企業のビジョン、理念、沿革なども担当者は目を通します。

    提供すべき情報

  • 担当者の立場をよく理解した情報提供
  • 信頼おける企業であることを示す企業情報
  • 業者選定につながる製品やサービスの情報の提供
  • 6. ステップ3:業者提案の評価と購入のための選定

    購買行動プロセスの次のステップは、購入する業者からの提案の評価と、購入する業者の選定です。

    6-1. 評価と選定の購買行動プロセス

    評価と選定の購買行動プロセスでは、業者からの提案をうけて内容の評価をし、最終的に購買する製品やサービスとその納入業者を決定します。

    提案の内容についての質疑応答、提案内容と自社の要件の照らし合わせ、価格の評価をしながら、購入する業者を選定します。選定にあたって、利用者が製品やサービスを評価のためのテスト利用することもあります。

    最終的に現場の決定を下し、社内稟議を通じて意思決定者の承認を得ます。

    BtoBの購買行動プロセスでは、提供価値と価格を比較します。導入による事業の経済的効果は、最終的な評価・選定の最も大きな指標です。

    6-2. 評価と選定における業者がすべき対応

    評価と選定の購買行動プロセスでも、業者はわかりやすいていねいかつ迅速な対応で、担当者の信頼を勝ち取る必要があります。それにくわえて評価と選定の購買行動プロセスでは、技術や仕様に関して専門性の高さから感じる信頼性も、評価と選定のポイントになることに注意しましょう。

    業者を評価・選定する購買行動プロセスにおける業者の対応は、担当者や利用者が感じる導入後のサポート品質に直結します。

    また、生産財やカスタマイズ可能なシステムなどの場合には、規定製品の仕様に対してカスタマイズの要求、評価利用の依頼などがあります。担当者のこれらの要望にも柔軟に対応する必要があります。

    7.BtoBの購買行動プロセスのまとめ

    ここまで説明してきたBtoBの購買行動プロセスを表にまとめました。

    BtoBの購買行動プロセス

    BtoBの購買行動プロセスは、購入する製品やサービスによって千差万別です。ここでは、最も一般的なBtoBの購買行動プロセスを説明しました。

    紹介した代表的な購買行動プロセスを参考にして、あなたのお客さまの購買行動プロセスをまとめてみましょう。あなたのお客さまの購買行動プロセスが明らかになれば、あなたがすべきことも明らかになります。

    8. 導入・利用時のサポートが次の購買行動プロセスに影響する

    長期に渡って良好な関係づくりを目指すBtoBビジネスでは、導入時そして導入後のサポートも欠かせません。導入後の顧客満足が次の取引きにつながったり、知り合いや業界関係者への口コミにつながるからです。

    導入時・導入後のサポート

  • 利用に関する製品説明がわかりやすくていねいである
  • 納期についてお客さまの要望を満たしている
  • 想定していた以上の効果が体感できた
  • バージョンアップや関連する新製品に関する有益な情報を継続的に提供してもらえる
  • 上記は代表的な例ですが、購買行動プロセスは、導入後にも影響を及ぼします。「買ってみたけど思っているほどじゃなかった」などと噂が口コミで広まると、確実にマイナス効果につながります。

    • このエントリーをはてなブックマークに追加


    RSSとツイッターでも購読できます

    カイロスのマーケティングブログは、RSSとツイッターでもお届けしています。みなさまのBtoBマーケティングにお役に立てる質の高いコンテンツの提供を心がけています。

    RSS RSSで購読する       Twitter ツイッターで購読する

    Facebookでの登録お願いします