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マーケティングオートメーションの導入を成功させるための4つのポイント

マーケティングオートメーションへの関心が高まっています。当社カイロスマーケティング株式会社でも、マーケティングオートメーションに関する問い合わせが増加傾向にあります。

実査にマーケティングオートメーションを利用し始めてから、非常に大きな結果が出ている企業さまもいらっしゃれば、あまり芳しくない結果にとどまっている企業さまもいらっしゃいます。

この差はどこから来るのでしょうか?

そこで今回は、マーケティングオートメーションを導入してうまく活用できるために重要な4つのポイントについて整理してみました。

1.マーケティングオートメーションの基礎をおさえよう

まずはマーケティングオートメーションについて復習してみましょう。

1-1.マーケティングオートメーションとは

マーケティングオートメーションは、マーケティング業務の効率を良くすると同時に、自社の売上アップをねらう目的をもつソフトウエア群を称していいます。

マーケティングオートメーションは、顧客管理データベース、メール配信、各種行動履歴の記録、スコアリング、登録フォームなどの機能を持っていることが一般的です。

マーケティングオートメーションが持つこれらの機能によって、マーケティング業務の負担を軽減する(自動化する)ことができます。

マーケティングオートメーションについてもっとくわしく知りたい方へ
マーケティングオートメーションの概要については、別記事の「たった5分で理解するマーケティングオートメーション」にまとめました。こちらもあわせてお読みいただければと思います。

1-2.マーケティングオートメーションの導入にあたって知っておきたいこと

マーケティングオートメーションの導入には、マーケティングオートメーションの概要だけでなく、マーケティングオートメーションで取り扱うWebやメールマーケティングの周辺知識も必要になります。

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マーケティングオートメーションを活用してメール配信やリード獲得について理解があればあるほど、マーケティングオートメーションを導入した効果が目でみてわかるようになります。

まずは、基本的なマーケティングオートメーションの理解と、その基本的な周辺技術についておさらいしておきましょう。

2.マーケティングオートメーションの活用領域を考える

マーケティングオートメーションは、企業のマーケティング業務の効率化が元々のねらいです。しかしよく考えてみると、マーケティング業務以外にもマーケティングオートメーションが活用できる場面があります。

2-1.営業活動にもっとマーケティングオートメーションを利用する

マーケティングオートメーションが提供する機能をみてみると、マーケティング活動にもマーケティングオートメーションが活用できることがわかります。特に営業活動ではマーケティングオートメーションが活用できる場面が数多く存在します。

例えば、最初の資料請求への対応、クロスセルやアップセルの初期の段階などで、リードナーチャリングをマーケティングオートメーションで効率よく実施できます。営業担当者が、既存の顧客のクロスセルやアップセルのために1件ずつ電話営業をするよりは、営業活動がずっと効率が良くなります。

マーケティングオートメーションを導入することで、これまで営業部門の個別対応をしていた顧客関連業務が、マーケティング部門でマーケティングオートメーションを使えば、効率がよくなるだけでなく、メールの反応やWebアクセスの履歴がわかるため、より大きな効果が期待できます。

マーケティング部門では同時に、マーケティングオートメーションを活用して、十分に購買意欲が高く営業案件化しそうな見込み客だけを営業部門に引き渡すことができるようになります。つまりマーケティングが営業活動のために用意する見込み客リストの質が向上します。

2-2.その他の部門にも活用できるマーケティングオートメーション

マーケティングオートメションは、マーケティング部門や営業部門だけでなく、サポート部門にも活用できます。

例えば、ライセンスの追加購入やサポートの更新などを目的としたリードナーチャリングをマーケティングオートメーションで実行するなどの利用があります。

メールに反応しないお客さまには、同じメールを再送して注意喚起してみたり、メールに反応してもなかなか継続申し込みが無いお客さまには、割引キャンペーンなどの対象として、継続してサポートサービスを購入していただくよう促すのもよいでしょう。

2-3.全部門でマーケティングオートメーションが活用できそうなシーンを見つけてみよう

マーケティングオートメーションを導入するにあたって、自部門だけでなく、関係各所の活用シーンも考えておきましょう。

他の部門の活用については、「お客さまとの接触のタイミング」と「自動化による効率」の2つのポイントで見ていくと、マーケティングオートメーションが利用できそうな場面がみえてきます。

3.マーケティングオートメーションは小さく始めよう

マーケティングオートメーションの導入のコツは「小さくはじめる」ことです。まずは、マーケティングオートメーションが提供するいくつかの機能と利用に絞って、使い始めてみましょう。

3-1.なんでも実現可能にみえるマーケティングオートメーション

マーケティングオートメーションでは、これまで手作業中心のマーケティング業務では出来なかった、複雑なリードナーチャリングのフローを実施できるように考えがちです。

もちろん、各社のマーケティングオートメーションは機能が豊富で、やりたいことがなんでもできるでしょう。しかし、マーケティングオートメーションを導入するにあたって、大きな構想を実現するためには、時間もかかるし失敗のリスクも大きくなります。

大きな構想を描くために社内調整や稟議も含めて半年から1年かかってしまうこともあります。その間にもあなたの競合企業はマーケティングオートメーションを導入して、新規のお客さまを次々に獲得しているかもしれません。

マーケティングオートメーションは、まずは簡単なことから少しずつ始めることをおすすめします。少しずつ始めてみて1年経ってみれば、マーケティングオートメーションについて多くのことを学ぶ事ができるでしょう。

3-2.マーケティングオートメーションを小さく始めるメリット

最初から大きな構想を描くと、費用がかかるだけでなく、導入失敗のリスクも大きくなります。まずは簡単にできることからマーケティングオートメーションを始めれば、学ぶことが多いだけでなく、費用と失敗のリスクをおさえて、安全にマーケティングオートメーションが利用できるようになるでしょう。

マーケティングオートメーション導入の失敗談
マーケティングオートメーションを導入するにあたって、SFA(営業支援システム)や自社のCRMとのデータの自動連携を目指しても、その構築だけで半年もかかってしまう例もみうけます。

マーケティングオートメーションを導入して、最初はデータ連携などは手作業で始めるのもよいでしょう。自社にとって、ベストなやり方を見つけてから自動化にチャレンジしましょう。

例えば、十分に購買意欲が高くなったホットリードを営業支援システム(SFA)に引き渡す場合も、担当者によるチェックは欠かせません。競合企業や既存顧客、ひやかしなどがホットリードに紛れているかもしれません。

4.マーケティングオートメーションで利用するデータを準備する

さて、いよいよマーケティングオートメーションで取り扱うデータについてみていきましょう。

4-1.自社の顧客情報をセグメンテーションする

マーケティングオートメーションにも顧客(リード)管理機能があります。顧客管理に関しては、マーケティングオートメーションを導入する前に既に手がけている企業も多いでしょう。

マーケティングオートメーションを上手に使いこなすための大事なことは、「セグメンテーション毎に適切なメッセージを送ること」です。したがって、自社の顧客データベースを顧客ニーズに分けてセグメンテーションする必要があります。

セグメンテーションについて
マーケティングオートメーションを使うにあたってセグメンテーションの理解に不安がある場合には、「マーケターなら必ず抑えておくべきセグメンテーションの基本事項」が役立ちます。セグメンテーションに関して覚えておきたいポイントをまとめました。

4-2.マーケティングオートメーションの利用が進むにつれて利用したいセグメンテーション

マーケティングオートメーションでは、業種や役職などの見込み客の属性に基づくセグメンテーションに加えて、メールを開封した、特定URLを閲覧したなどの行動に基づくセグメンテーションが役立ちます。

マーケティングオートメーションで活用したい行動セグメンテーション

  • 製品機能や価格などの特定URLを特定期間に閲覧した
  • リードナーチャリングのメールを開封した、リンクをクリックした
  • 資料請求後に送信したPDFファイルをダウンロードした
  • マーケティングオートメーションを利用した初期の段階では、行動によるセグメンテーションをあまり活用しません。属性によるセグメンテーションをし、それぞれのキャンペーンを実施しながら、見込み客の反応を確かめます。

    マーケティングオートメーションを使いながら、購買行動に重要なWebページの閲覧やオンラインでの行動がある程度わかるようになってきて初めて、行動によるセグメンテーションを導入するとよいでしょう。

    最初からやみくもに行動によるセグメンテーションを導入して、そのセグメントに属するリードが20未満になる場合は、統計的にもその動向を判断するのが難しくなります。

    4-3.ワンランク上のセグメンテーションのために

    マーケティングオートメーションにとって、セグメンテーションは非常に重要です。

    しかし中には業種や業界、役職でセグメンテーションしずらい商材を取り扱っているケースもあるでしょう。こんな場合に有効なセグメンテーションのためのアプローチがペルソナです。

    ペルソナについて
    ペルソナの詳しい説明とペルソナの作り方については、「誰でもできるペルソナの作り方〜マーケティングの現場で活用できる良質なペルソナを作る手順」で説明しております。是非参考にしてください。

    4-4.マーケティングオートメーションのためのデータを準備する

    最後にマーケティングオートメーションで最初に利用するデータを準備してみましょう。マーケティングオートメーションのほとんどが、投入する見込み客データに基づく課金となっています。そのため、マーケティングオートメーションに投入する見込み客情報数について把握しておくと良いでしょう。

    マーケティングオートメーションに投入する見込み客情報も一度整理しておきましょう。メールアドレスがわからなかったり、退職や転職などでメールアドレスが既に有効でないケースもあります。また、データが重複している場合もあるかもしれません。

    4-5.コンテンツを考える

    マーケティングオートメーションを使うためには、メールやWebなどのコンテンツが欠かせません。ターゲットとなるセグメンテーションのみ込み客の購買意欲をかきたてる情報を届けなくてはなりません。

    これからマーケティングオートメーションを活用しようとしている領域で、メールやWebのコンテンツを用意することができそうでしょうか?(おそらくほとんどの場合は、YESでしょう)

    用意しておきたいコンテンツと購買行動の関係
    まだまだ情報収集段階にいる見込み客に製品やサービスの詳細を伝えても、不要な情報になってしまいます。購買行動と提供すべきコンテンツを考える場合にはカスタマージャーニーを描いてみるのもよいでしょう。カスタマージャーニーの詳細は「すぐに理解できるカスタマージャーニーの解説」が参考になります。特に後半のBtoB向けのフレームワークを読んでみてください。

    5.さいごに

    マーケティングオートメーションの導入のためのポイントをまとめてみました。ここにスコアリングの設定の仕方は含めませんでした。

    まずは、マーケティングオートメーションを導入して、ターゲットとなる見込み客の反応をみながらスコアリングを始めても良いでしょう。スコアリングは最初はマーケティングオートメーションのデフォルトの設定でも構いません。

    とにかくマーケティングオートメーションは「まずは使ってみること」「小さく始めること」が成功パターンです。