スコアリングのやり方と設計方法〜はじめてでもできるスコアリングの設計
マーケティングオートメーションのスコアリング機能は、ある手順にそって進めると、はじめてマーケティングオートメーションの経験が浅くても、使いこなせるようになります。
みなさまにも、マーケティングオートメーションのスコアリング機能を十分に使っていただけるよう、スコアリングの設計手順、スコアリングの基本、日々の運用についてまとめました。
スコアリングは、マーケティングオートメーションのデフォルト設定から始めて、目的に合わせて少しずつ設定することをおすすめします。スコアリングの特徴がよく理解できるだけでなく、自社にとって理想のスコアリングの設計がだんだんとみえてくるからです。
スコアリングの概要
スコアリングとは
スコアリングは、多数の見込み客のなかから優先して接触すべき見込み客を抽出するための機能です。
スコアリングの基本事項は「スコアリングとは?MAツールのスコアリングの基本を学ぶ」でまとめました。スコアリングの仕組みやスコアリングの設定方法、活用例までわかりやすく情報を整理しております。あわせてごらんくださいませ。
スコアリング機能をつかって、お客さまの行動や属性を数値にし、数値の高い見込み客から順番に接触します。スコアの高さは、「あなたの商品への購買意欲の度合い」を意味しています。
マーケティングオートメーションとスコアリング
スコアリングは、マーケティングオートメーションの機能です。マーケティングオートメーションが記録したお客さまの行動を、設定にしたがって数値にします。
マーケティングオートメーションとは、デジタル領域において、従来の販売促進や営業に関わる業務を効率化や、従来は実現できなかったデータ連携などにより販売促進や営業活動に関わる業務を実現するためのITシステム(クラウドサービス)です。くわしくは「マーケティングオートメーションとは?一番わかりやすい入門編」でまとめました。あわせてごらんくださいませ。
マーケティングオートメーションは、あなたのホームページへの訪問者のアクセス履歴やメールの反応、セミナーやイベントの出席、テレアポ・テレマ電話の反応などのお客さまの行動を記録します。
スコアリング機能は、マーケティングオートメーションで記録した「行動」を、設定にしたがって「数値」に変えます。
スコアリングの概要を設計する
スコアリングの設計では、高スコアを獲得したリードへの対応を決めることで、スコアリング設計がおおよそ決まります。
高スコアのリードへの対応を決める
スコアリングの設計をはじめて手がけるときは、高いスコアを獲得したリードへの対応を決めることから始めます。高いスコアを獲得したリードへの対応は、「営業が該当リードに電話をする」「インサイドセールスが、お客さまのニーズを確認する」などがあります。
高いスコアを持つリードの接触目的が営業活動であるなら、製品ページや価格・料金ページを多く閲覧したリードが高いスコアを獲得できるように、スコアリングを設計します。
高いスコアを持つリードの接触目的がセミナーのご案内であれば、製品機能ページよりも、「できること」「ソリューション」などのページを多く閲覧したリードをスコアリングによって抽出できるようにスコアを設計します。
スコアの計算対象期間を設定する
高いスコアを持つリードの対応が決まったら、スコアの計算期間を決めます。マーケティングオートメーションのスコアリング機能には、スコア計算期間の設定があります。
スコアの計算期間の設定は、マーケティングオートメーションにログインする間隔で、ほぼ決まります。
スコアリングを、営業活動やインサイドセールスに活用する場合は、マーケティングオートメーションにほぼ毎日ログインするでしょう。前日の顧客行動を確認し、当日に該当リードに連絡するため、スコアの計算期間は1日と設定します。
外出が原因で、毎日ログインできないことを考慮にいれると、スコア計算期間は余裕をもって2日に設定することをおすすめします。
高いスコアをもつリードに対して、マーケティング部でリードナーチャリングを目的としたメールを送る場合、営業活動ほど高い頻度でログインする必要はありません。1週間や1ヶ月に一度、高いスコアのリードを抽出してリードナーチャリングメールを送ることもあります。
もし1週間に一度、リードナーチャリングメールを送るなら、スコアの計算期間は1週間で対応できます。
スコアの計算期間は、高いスコアを持つリードへの対応の頻度(マーケティングオートメーションへのログイン頻度)で設定しましょう。長いスコア計算期間の設定は、接触すべきリードの抽出作業の手間を増やすだけでなく、運用ミスを引き起こす原因にもなります。
スコアリングのやり方・スコアリング設計例
スコアリングの設計は、6つの手順にわけて考えます。6つの手順にわけて考えることで、マーケティングオートメーションの専門家の知恵を借りずに、自分でスコアリングの設計ができるようになります。
1.デフォルト設定から始めよう
マーケティングオートメーションを始めて導入するなら、デフォルトのスコア計算期間が経過するまでは、マーケティングオートメーションのデフォルトのスコア設定で運用します。まずは、マーケティングオートメーションのスコアリング機能を体感します。
スコアリング機能を体感することで、自分の理想のスコアリング設定がわかります。
マーケティングオートメーションの過去にスコアリングの運用経験があり、やるべきスコア設定が決まっている場合は、いきなりスコア設定しても構いません。
2.スコア計算期間を調整する
続いて、スコアの計算期間を設定します。スコアの計算期間の長さは、高いスコアを持つリードへの対応頻度を基準として設定します。
スコアリング機能を営業目的で利用するなら、およそ毎日マーケティングオートメーションにログインするため、スコア計算期間の設定を2日にするとよいでしょう。
このように、高いスコアを持つリードへの対応を考慮してスコアの計算期間を設定すると、スコアリングの設計がかんたんに決まります。
3.問い合わせ対応などの特定の行動を除外
次は、スコアの加点・減点の設定をします。
スコアの高さに関係なく、必ず対応するリードの行動があります。例えば、ホームページからの問い合わせがこれに該当します。
このように必ず対応するリードの行動には、スコアを加算する必要はありません。スコアの加点対象から外して、スコア加点をゼロにしておきましょう。
ホームページからの問い合わせ以外にも、資料請求、セミナー申し込みに対する受講票の発行などのアクションは、スコアリングの設定から外しておくと良いでしょう。高いスコアを持つリードに対する運用がとても効率よくなります。
スコアが加点されないリードの行動も、マーケティングオートメーションが該当するリードの行動履歴に記録していますので、心配する必要はありません。
4.リードの属性をフィルタする
いよいよ高いスコアのリードを抽出します。抽出したリードを確認するためには、マーケティングオートメーションにログインが必要です。
営業担当者が複数人いる場合は、高いスコアを持つリードのうち自分が担当するリードに興味があるはずです。フィルタ機能を使って、自分が担当するリードを探します。
マーケティングオートメーションには、便利な機能があります。通知機能です。例えば、自分が担当するリードのうち、スコアが高いリードのみをフィルタリングして、メールでその一覧をあなたに届けます。
自分が担当するリード、業種、役職など、通知する条件を絞りこむと、営業担当者の業務効率がよくなります。
リード属性情報はスコア設定で数値に換算するよりも、マーケティングオートメーションのフィルタと通知機能を組み合わせて使と便利です。
5.不要な購買行動をスコア加点から除外
スコアリング機能を使ってマーケティングオートメーションを運用すると、接触をすべきではないが、高いスコアを持っているリードの存在に気づきます。営業目的でスコアリング機能を使っているなら、採用ページやIRページなどの閲覧のみで高いスコアをもつリードは、これに該当します。
目的にあったリードのみをスコアリング機能で正確に抽出するためには、購買行動とは関係がないと考えられる、採用ページやIRページの閲覧は、スコアの加点から除外するスコアリングの設定が必要です。
マーケティングオートメーションでは、スコアの加点からある特定の行動を「除外」できるだけでなく、スコアの「加点を小さくする」ことができます。
ある特定の行動のスコアの加点を小さくするときは、他の行動のスコア加点の半分程度に設定しておくとよいでしょう。デフォルトのスコア加点が10点なら、スコアの加算から除外したい行動のスコア加点を5点に設定します。
6.加点する行動を吟味する
スコアリングの目的を決めてスコア計算期間を設定し、スコア加算から除外するリードの購買行動を決めると、スコアリングの設計はほぼ完了です。
スコアリング機能で抽出したリードに営業活動をすると、リードのある購買行動と成約率の高さの相関に気づくことがあります。例えば、機能詳細ページを多く閲覧したリードは、料金表を多く閲覧したリードよりも検討期間が短く成約率が高い、などがあります。
このような場合は機能詳細ページの閲覧に対するスコアの加点を高くすべきです。加点の度合いは、減点と同じく追加で5程度を追加して、スコア計算期間で様子をみましょう。
さいごに
スコアリングの具体的な設計手順についてまとめました。
スコアリングの設計は、いきなり全体を定めるよりも、少しずつスコアリングの設定を改善する流れをオススメします。スコアリングの設計としてシンプルであるだけでなく、スコアリングの設計が簡単になります。