新規開拓につなげる顧客満足度調査のアプローチ(前編)
顧客満足度の調査は、自社の製品やサービスの強みや弱みを明らかにする上で非常に役に立ちます。顧客満足度調査の結果は、自社の製品やサービスの機能にフィードバックし、顧客満足度アップや売上につなげます。
顧客満足度調査で得られるフィードバックは、顧客満足に直結する良いフィードバックもあれば、今すぐ自社の製品やサービスを改善すべき悪いフィードバックもあります。
顧客満足度調査を通じて得られる悪いフィードバックに対して、多くの企業で製品やサービスの改善に取り組むなど、しっかり対応ができています。
一方で、良いフィードバックは、まさに顧客が満足している点であり、新規開拓のための数多くのヒントがあります。しかしながら、顧客満足度調査の良いフィードバックは悪いフィードバックに比べて対応が十分とは言えません。良いフィードバックは自社の強みであり、これをもっと活かして自社の優位性を高めたり、マーケティングメッセージや製品・サービスのバリュー・プロポジションに活用すべきです。
顧客満足度調査の良いフィードバックをもっと活用して、新規開拓につなげましょう。
顧客満足度調査の「良い」フィードバックをビジネスに活用するために
顧客満足度調査では、お客さまのフィードバックから良い点と改善すべき点の両方が明らかになります。ここでは特に良いフィードバックについて考えていきます。
顧客満足度調査でも、他の調査やインタビューでも、お客さまは良いフィードバックについてあまり多く語ってくれません。アンケートでは、悪いフィードバックにはたくさんの情報がありますが、良いフィードバックは非常にシンプルに述べられることがほとんどです。
顧客満足度調査から得られる良いフィードバックをビジネスに活用するには、質問や設問で工夫をして、良いフィードバックの詳細をもっと知る必要があります。これから紹介する3つの方法を活用して、良いフィードバックをもっとビジネスに活かせるようにしましょう。
1. 顧客満足度調査の良いフィードバックを定量化する
顧客満足度調査の良いフィードバックをビジネスに活用するためには分析が必要です。分析では、まずテーマを絞り込んで、フィードバックの詳細を掘り下げます。そして分析に十分な情報を得るために、顧客満足度調査の質問・設問を工夫します。
質問は以下の2つのタイプに分類して考えます。
ひとつは、その回答を簡単に評価できるタイプです。アンケートなどでみられる3段階や5段階の評価は代表的なこのタイプです。既にあなたが持っている仮説の正しさの評価などに活用できます。
もうひとつの方法は、自由回答形式です。先ほどのように、設問の回答を選択肢で限定せず、自由に記述できるようにします。オープンな質問は、集計が面倒ですが、あなたが想定していなかったことが分かることがあります。
この2つの質問を組み合わせながら、できるだけ定量化できるデータを取得しましょう。
2. 顧客満足度調査を掘り下げるためにオープン・クエスチョンを活用したインタビューを実施する
顧客満足度調査で得られた良いフィードバックで、さらに掘り下げて分析・調査すべきテーマを絞り込み、そのテーマについてお客さまにインタビューしてみましょう。
インタビューでは、単純にYesやNoで答えられない、オープン・クエスチョンを活用します。顧客満足度調査のアンケートなどでわかっている内容をより深く掘り下げてオープンな質問をして、心底で思っていることを引き出します。
インタビューの内容は、録画や録音しましょう。後ほど録画や録音データを見直すと、その時は気づかなかった詳細が、後から分かることもあります。
顧客満足度調査やマーケティングに十分な予算がある企業は、フォーカス・グループをします。フォーカス・グループの結果から、あらたな市場開拓のアプローチをうみだしたり、製品やサービスの機能拡張などにつなげます。
3.お客さまの発言を一歩掘り下げるための質問をする
お客さまが何を感じているかを引き出すインタビューの質問の方法があります。お客さまの回答に対して「So what?」を投げかけます。
例えば、レストランの食事に大変満足した顧客がいたとします。「あそこのレストラン、すごくいいよ」と言うでしょう。お客さまが満足していることは確かなのですが、何に満足したかわかりません。満足したお客さまや良いフィードバックとは、このように何故か短いことがほとんどです。
このお客さまは、料理、スタッフのサービス、レストランの雰囲気のどれに満足したのかわかりません。もう一歩突っ込んだ質問で、このお客さまが満足した理由を聞いてみましょう。
顧客満足度調査などから、このように良いフィードバックを得た場合や、製品やサービスに満足しているお客さまには、必ず一歩突っ込んだ「So What?」の質問をしましょう。
常に「So What?」だけを聞いていると、失礼にあたったり、回答者が萎縮してうまく発言できなくなることがありますので、「So What?」の頻度には注意しましょう。
まとめ
今回は、顧客満足度調査で得られた「良い」フィードバックを一歩深く分析するアプローチについてご紹介しました。後日、「良い」フィードバックを売上や新規開拓につなげる方法を説明したいと思います。