覚えておきたい9つの価格戦略とプライシングの手法

2016年08月26日

価格戦略は、マーケティングミックスの1つの要素であるくらい重要です。にもかかわらず、価格戦略は、あるプライシングの手法のみ多くの人がしっています。

価格戦略をしっかりと身につけることで、事業の戦略に幅ができるだけでなく、事業の利益の生み出し方も変わってきます。

マーケターや営業のみなさんもいろいろな価格戦略を覚えて、さまざまな確度から事業の利益をうみだせるように準備しておきましょう。

1.いろいろある価格設定の戦略

みなさんの会社の製品やサービスの価格はどのように設定していますか?

多くの場合は、製造などにかかった費用を基準にして、一定の利益を見込める価格設定をしているのではないでしょうか?

この価格戦略は、価格の決定プロセスが機械的になりすぎて、お客さまの価格感度や他社との競争をほとんど意識していない点が問題です。

価格戦略は、マーケティングの重要な要素の1つです。マーケティングミックスにおいても、価格戦略は、プロモーション(広告宣伝)や製品戦略と同じく重要なのです。

マーケティングミックスとは?
マーケティングミックスとは、マーケターがマーケティング業務をする際にとりかかるべき4つの領域・分野のことです。詳しくは「マーケティングミックス(4P)を実践レベルで使う7つのコツ|カイロスのマーケティングブログ」にまとめました。合わせてごらんください。

以降、代表的な価格戦略の手法を、市場セグメント、企業や製品のポジショニング、製品ポートフォリオの点で分類して説明していきます。

2.市場セグメントを重視した価格戦略

まずは市場のセグメンテーションに着目した価格戦略について紹介します。市場のセグメンテーションをうまく活用して価格戦略に反映することで、売上を伸ばす可能性を大きくすることが目的です。

2-1.値引きキャンペーンで2つのプライシングを設定する価格戦略

価格戦略として、2つの価格を同じ製品に設定することがあります。

通常は、比較的高い価格設定をしてますが、時々、キャンペーンと称して安い価格で販売をします。もちろんこれは、値引きキャンペーンを意図的に行っています。ひとつの価格戦略の手法です。

この価格戦略は、お客さまが価格の感度でセグメンテーションできる場合に効果を発揮します。あるお客さまは、購入のために積極的に情報を集めるお客さまの層と、製品価格や機能・仕様の詳細よりもこれまでの取引きやブランドに影響をうけるお客さまの層でセグメンテーションできることが必要条件となります。

この価格戦略を実行することで、積極的に情報を集めるお客さまは低価格で購入する機会が増えます。一方で、そうでないお客さまは高い価格で購入することになります。この価格戦略では、結果的に同じ製品で事実上2つの価格を設定します。

値引きキャンペーン、クーポン、キャッシュバックなどのプロモーションをひんぱんに取る企業は、この価格戦略を実行していると、とらえることができます。

2-2.製品の販売開始からの経過に応じてプライシングを変える価格戦略

お客さまの特徴に応じた価格戦略の2つ目は、製品の販売開始時に高い価格を設定し、時間が経つに連れて徐々に価格を引き下げていく方法です。

この価格戦略が有効になるためには、市場に、価格にあまり関係がなくすぐに買うお客さまと、価格に非常に敏感なお客さまの層がそれぞれ存在することが必要条件です。

この価格戦略はスキミング・プライシング(浸透価格戦略)と似ています。

スキミング・プライシング(浸透価格戦略)について
スキミング・プライシングは新製品にかなり高い価格を設定する価格戦略です。価格よりも技術や真新しさを優先するお客さまをターゲットとして販売開始します。この価格戦略には、早い段階で投資コストが回収できるメリットがあります。

お客さまの価格感度の違いで、プライシングを変えるこの価格戦略では、販売開始から徐々に生産量を増やしながら、製品の固定費を下げることで製品の利益が確保できます。

両者をターゲットとして、販売開始から生産量を徐々に増やして、平均の固定費を下げる場合に有効です。

固定費とは
固定費とは売上に関係なく一定の大きさで発生する費用のことです。製品の製造に必要な部品は売上とともに増えますが、固定費である工場や事務所の賃料は売上と関係なく一定になります。

この価格戦略では、製品販売開始の初期の方が大きな利益が期待できます。販売後しばらく時間が経つと、競合他社の新規参入によって価格競争が激しくなるような市場をねらう製品には、この価格戦略が適切とはいえません。

他社の新規参入が大いに予測できる場合には、別の価格戦略が適しています。

製品販売開始の当初から価格を低く設定して、お客さまを増やし、初期の市場シェアをできるだけ大きくします。当初の価格設定が低ければ、市場参入の魅力が下がるため、競合他社の参入を遅らせることができます。もちろん市場でのシェアが高ければ、固定費や経験曲線の観点から、市場で有利になります。

2-3.自社の提供能力に応じたプライシングをする価格戦略

この価格戦略もお客さまの特性に応じてセグメンテーションをして、それぞれのプライシングで同じ製品を提供します。

この価格戦略は、メインのターゲットセグメントがありながら、新規メンバーなど別のセグメントを設定して、メインのターゲットセグメントよりも安い価格で製品を販売します。

メインのターゲットセグメントだけでは、まだ生産能力や提供能力に余裕がある製品やサービスでは、この価格戦略をよく利用します。

例えば、映画館やバス、電車などの子供料金、時期や時間帯でプライシングが変わるホテルや飛行機の運賃、学生割引を設定するソフトウエアなどが、この価格戦略の代表例です。

3.企業のポジショニングによる価格戦略

次に、企業や製品のポジショニングによってプライシングを変える価格戦略について説明していきます。

3-1.高いプライシングと値引きを組み合わせる価格戦略

新聞広告などで、メーカー小売希望価格に目がいきませんか?メーカー小売希望価格を見ることで、その製品の品質を瞬時に判断してしまうこともあるでしょう。

この心理を利用した価格設定があります。

市場では、高品質の製品が高価で、低品質のものを安価で販売することが一般的です。しかしながら、低品質の製品に対して高価な価格を設定して、値引きによって購入価格をコントロールする価格戦略がこれにあたります。

製品に関する情報が不十分であり、その製品の品質を見分けることが難しい場合、お客さまは価格でその製品の品質を推測する傾向にあります。この購買行動の傾向を利用して、実際はあまり品質の良くない製品に高い価格をメーカー小売希望価格などとして販売すると、その製品の品質が実際よりも高く感じるようになります。

この価格戦略では、実際の購入の場面では、値引きするなどして、ターゲットとした価格で販売します。

例えば、ある有名なブランドの製品が10万円で販売しています。一方であまり知られていないブランドの製品のプライシングを15万円に設定します。

購入時には、有名ブランドの製品は5,000円の値引きで、95,000円。無名ブランドの製品は80,000円の値引きで、70,000円で販売しているケースは、まさにこの価格戦略を採用しています。

お客さまは、大幅な値引きによる魅力に加えて、通常価格の20万円からその製品の品質が高いと連想してしまいます。

この価格戦略は、市場でシェアの小さな製品を持つ企業や新規参入の企業が、短期的な売上アップを目指して市場シェアを獲得したい場合によく利用します。

3-2.市場シェアの獲得を目的とした価格戦略

この価格戦略では、プライシングに敏感なお客さまがいるだけでなく、他企業の市場参入が予想できる場合に、まずは市場シェアをできるだけ獲得して、競争を有利に進めたい場合に用いる価格戦略です。

この価格戦略は、他の価格戦略と比べて少し長期的な視野を必要とします。

市場参入当初は、製品の価格を下げて、市場で多くの方に使っていただけるようなプライシングをします。この時点では、薄利多売の低価格であり該当事業自体の魅力が小さくなるため、他企業の参入を引き止めたり、遅らせたりすることができます。

その一方で、低価格で販売することから、ターゲット市場の外にいたお客さまの購買も期待でき、市場そのものを大きくする機会をもたらします。

その後市場シェアが拡大すると、生産に係るノウハウなどの経験がたまるため、他社よりもコスト面で有利に展開できるようになります。

この価格戦略は、生産に経験効果が強く働いて競争企業よりも豊富な経験を持つことが期待できる事業でありかつ、お客さまが価格に敏感な場合に非常に有効となります。参入当初は生産コスト以下の価格で攻撃的に製品を販売するも、後半は経験効果によって、生産や販売コストが押し下がり、十分な利益を期待できるようになります。

3-3.地域別にプライシングを設定する価格戦略

この価格戦略では、地域別に異なったプライシングを設定します。

地域によって競争が激しい場合は価格を下げて、競争が少ない地域では高い価格を設定します。この価格戦略では、事業の利益をもっとも競争が少ない地域でねらいます。

この価格戦略の有名な例には、飛行機の運賃や、BtoBビジネスにおける各種サービスなどがあります。

4.製品ポートフォリオを意識した価格戦略

ここまで、市場セグメンテーション、他社と自社のポジショニングについての価格戦略を紹介してきました。次の価格戦略では、自社の製品どうしの関係に着目して、売上を拡大するアプローチをとります。

4-1.価格でイメージを創りだす価格戦略

製品の品質が似通った製品に別のブランドをつけて、複数のブランドを持ち、プライシングをする価格戦略があります。この価格戦略では、一方の製品は広告などでイメージを高めて、より高いプライシングを設定します。

この価格戦略では、異なるプライシングと広告宣伝を設定することで、似通った製品であるにも関わらず、お客さまに全く異なる価格の品質イメージを持っていただくことがポイントです。

もちろんこの価格戦略では、高価格の製品で十分な利益を拡大しながら、全体の販売規模を拡大することで、より大きな利益を追求していきます。

4-2.複数の製品を抱き合わせる価格戦略

この価格戦略は言いかえれば、価格バンドリングです。複数買うと、単品で買うよりも合計価格が安くなるプライシングを設定します。

この価格戦略で取り扱う製品は、バンドル価格として提供する製品はお互いに補完性があることが多い。有名な例では、パソコンとソフトウエアがあります。

この価格戦略の注意点は、バンドルした製品同士は、お互いにどの製品がどれだけ安くなっているかわからなくなります。そのため、それぞれの製品の市場価格を押し下げてしまう可能性があります。

4-3.本体と消耗品を組み合わせた価格戦略

主製品の価格を安く設定して、付属製品や消耗品の価格を相対的に上げる事で十分な利益を確保する価格戦略があります。

コピー機、プリンター、ひげ剃り(本体と替刃)などは、この価格戦略の代表例です。お客さまが使えば使うほど、十分な利益を確保することができます。

この価格戦略は、本体と消耗品だけでなく、基本料金と変動する利用料金の組み合わせもあります。電話料金や遊園地では、基本料金と利用料金を組み合わせた価格戦略を、よく見かけます。

5.さいごに

事業に使えそうな価格戦略についてまとめてみました。あなたの製品やサービスですぐに使えそうな価格戦略がありましたら、ぜひ活用してみてください。

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