マーケティング・マイオピア(近視眼マーケティング)

2013年09月10日

マーケティング・マイオピアという言葉をご存知だろうか?

マイオピア(Myopia)とは、目先のことばかり考え、先見の明が無い状態をさす。

マーケティング・マイオピアは日本語では近視眼マーケティングとも訳され、目の前でおきる事象ばかりにとらわれ、自社が本来すべきマーケティング活動や社会上の使命を狭く解釈してしまうことを意味する。

マーケティング・マイオピアは、1960年に発表されたセオドア・レビット氏の論文のタイトルがオリジナルである。レビット氏は論文の中で、このような近視眼的なマーケティングを展開する事により企業は事業機会を見逃し、衰退するケースを指摘する。

マーケティング・マイオピアは、レビット氏によってマーケティングを経営の重要な機能として認識させた有名な論文だ。マーケティングによくある、陥りやすい重大なポイントに触れている。

あなたの会社は、マーケティング・マイオピアに陥っていないだろうか?

マーケティング・マイオピア(近視眼マーケティング)の概要

マーケティング・マイオピアは、企業経営におけるマーケティングの原点とも言える。この論文により、マーケティングが営業とならぶ企業の重要な機能として認識された。

マーケティング・マイオピアの例として、レビット氏の論文では「鉄道産業」をあげている。

みなさんもご存知の通り、アメリカは車社会である。アメリカにおいて鉄道は、長い歴史の中で衰退していった。

レビット氏は、鉄道が衰退した理由は産業そのものが衰退したことが原因ではなく、鉄道会社が自社が属する産業や技術を狭く定義しすぎたためだと指摘している。

鉄道会社は、自社のドメインを「鉄道産業」としてとらえるべきではなかった。「輸送産業」としてとらえるべきだった。かつての鉄道会社には、成長できるチャンスがあった。鉄道会社による輸送だけに限定する必要性はまったく無い。

まさにマーケティング・マイオピア(近視眼マーケティング)だ。

レビット氏は、鉄道産業にかけていたのは、成長のチャンスではなく経営的な想像力と大胆だ、としている。

マーケティング・マイオピアの原動力:製品至上主義

マーケティング・マイオピアはあらゆるところにある。いわゆるコモディティと呼ばれる製品や産業は、まさにマーケティング・マイオピアとなろうとしているのではないだろうか。

コモディティ産業では、コストをさげるべく大量生産が中心となる。製品をいかに早く事業上のキャッシュに変えることが最優先事項だ。

この概念は、作り手企業中心の発想である。

生産にかかるコストを限りなく抑えればなんとか利益が出るという、製品至上主義は非常に危険だ。製品至上主義の先には衰退しかない。自社の既存の製品しか目に入らずに、製品がコモディティ化していく事に気付かない。

どこにでも忍び寄るマーケティング・マイオピア

どんなに花形産業でも、必ずコモディティの陰は忍び寄ってくる。永遠の成長産業など存在しない。

一見成長しているように見える産業は、そのドメインのプレイヤーが成長のチャンスを作り出し、そこに投資できる組織を素早く作り、適切な経営を行っている企業の集合体だ。

成長のチャンスは、企業が定めるものではない。買い手が中心となって決まる。

企業活動とは、製品を生産するプロセスではなく、顧客を満足させるプロセスに重点をおくべきであることを肝に銘じておこう。

みなさんも日々のマーケティング活動で、自社の製品に関われば関わるほど見落としやすくなる。まさにマーケティング・マイオピアだ。

企業は、製品やサービスを生み出すためではなく、顧客の購買意欲を促し、その企業と取り引きしたいと思わせる活動をするためにある、と考えなければならない。

成長産業こそマーケティング・マイオピアの危険

マーケティング・マイオピアは成長している産業こそ、注意すべきである。

会社や産業が成長しているときには、どうしても生産性や拡張性など、製品や生産に関わる部分に目がいきがちになる。特に、技術が先行する市場では、優れた製品であれば自然に売れるという幻想が生まれやすいので要注意だ。どうしてもマーケティングや顧客への関わりが薄くなる。

成長の背後から、衰退が忍び寄っている。企業は、マーケティング・マイオピアへとこのようにして陥っていく。

さいごに

一生懸命に働いて、成功の味を知ったマーケターこそ、マーケティング・マイオピアに陥りやすいのではないだろうか?自社の製品やサービスを愛せば愛すほどその可能性が増えてくる。いつの間にかマーケティング担当者が、製品を事業上のキャッシュに変える活動、いわゆる販売活動に専念してしまう。

常に市場や顧客のニーズを発見し、想像し、触発し、顧客を満足させ続けよう。まさにマーケティングの基本だが、売上げに貢献したいがために、つい見落としがちである。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加


RSSとツイッターでも購読できます

カイロスのマーケティングブログは、RSSとツイッターでもお届けしています。みなさまのBtoBマーケティングにお役に立てる質の高いコンテンツの提供を心がけています。

RSS RSSで購読する       Twitter ツイッターで購読する

Facebookでの登録お願いします