マーケティングオートメーション「Kairos3」の機能説明会がありました。多数あった機能説明のうち、このブログ記事では、フォームに登録した見込み客を自動でフォローする仕組みを試しました。
ある業務を想定し、その業務とマーケティングオートメーションを使って効率化した後とを比較します。マーケティングオートメーションによって短縮される業務時間、人件費も合わせてお伝えしたいと思います。
想定する通常の運用:フォローメールを手動で管理
お客さまの属性に応じて、フォローメールを手動で管理する場合の課題点を見ていきましょう。
フォローメールの管理〜とある運用の例
この運用では、資料をダウンロードしたお客さまに、フォローメールを送ります。BtoCのお客さまか、BtoBのお客さまでカスタマージャーニーが異なるため、フォローメールの内容を変更します。資料のダウンロードから2日後に活用事例のご紹介、4日後にセミナーのご案内メールを送ります。
資料ダウンロード登録は、説明をわかりやすくするために、1日10件と想定しました。
フォローメールの反応をみて、その後のリードナーチャリングをしているため、送付履歴を管理ています。メール送付の履歴は、Excelを使って送信先、送信日、送ったフォローメールの概要を管理します。マーケティングの仕事には、このような地道なアナログのタスクがまだまだたくさんあります。
資料をダウンロードいただいた後で、1回目のフォロー(活用事例のご紹介)が終わったらフォロー1にチェックを入れ、2回目のフォロー(セミナーのご案内)が終わったら、フォロー2にチェックを入れる運用をしています。
運用の課題・悩み
この運用の課題は、運用が煩雑である点と、運用に時間がかかる点です。
この運用では、運用担当者は資料ダウンロードフォームのお問い合わせリストから顧客情報のCSVファイルを入手し、Excelのファイルを最新の状態に更新する必要があります。Excelファイルの更新手順は、2つの手順に分けられます。
まずはダウンロードしたCSVファイルから、顧客データの差分を抜き出し既存のExcelシートに統合します。その後、BtoBとBtoCでソートして、登録日時で降順に並び替えます。
メール配信タイミングの計算もしなくてはなりません。休日を挟む場合、配信のタイミングがずれますし、4日後のところを誤って3日後に配信してしまった、などの人為的ミスが起こり得ます。
運用の課題と問題点をまとめると、以下の図のようになります。
Excelでの顧客管理は、あらためてとても大変であると実感しました。
マーケティングオートメーションで作業を自動化・効率化する
マーケティングオートメーション「Kairos3」の機能説明会で紹介された機能を使って、本記事で想定した作業をできるだけ効率化しました。
マーケティングオートメーションとは、デジタル領域において、従来の販売促進や営業に関わる業務を効率化や、従来は実現できなかったデータ連携などにより販売促進や営業活動に関わる業務を実現するためのITシステム(クラウドサービス)です。くわしくは「マーケティングオートメーションとは?一番わかりやすい入門編」でまとめました。みなさまのご参考になれば幸いです。
自動セグメンテーション機能でメール配信を自動化
お客さまの資料ダウンロード後のフォローアップ作業を効率化するために、運用担当者は「BtoCとBtoBのお客さまの仕分け作業」と「メール配信作業」の2つの作業を自動化する必要があります。Kairos3は、フォーム問い合わせ内容による分類と、分類に応じた自動メール配信の双方を自動化できるため、想定していた業務は大幅に効率化できそうです。
資料ダウンロードをしていただいたお客さまのセグメンテーションの自動化では、お客さまのフォーム入力内容に応じて、あらかじめ設定したリードタグをKairos3が付与します。ここでは、「BtoB」「BtoC」というリードタグを付与する設定をしました。
マーケティングオートメーション「Kairos3」のリードタグは、セグメンテーションとして活用できます。
メール配信の自動化は、マーケティングオートメーションのシナリオ機能を使います。シナリオとは、見込み客の行動に合わせて、自動的にメールを配信する機能です。
マーケティングオートメーションのシナリオとは、マーケティングオートメーションの複数機能を連動させて、自動実行する機能です。マーケティングオートメーションという名のとおり、「自動実行(オートメーション)」するために利用します。くわしくは「マーケティングオートメーションのシナリオ機能とシナリオ設計とは?一番かりやすい入門編」でまとめました。あわせてごらんくださいませ。
思ったよりもはるかに簡単に自動化できる
マーケティングオートメーションを使った運用は、2つの手順を経て実現することを想定しました。
1つ目の手順は、フォームの入力内容をもとに、見込み客を自動でセグメンテーションすること(タグルールの設定)です。
2つ目の手順は、セグメンテーションに応じて自動でメールを配信すること(シナリオの設定)です。
マーケティングオートメーションというと、シナリオや自動化、ある特定の条件設定はプログラミングっぽくて難しい印象があります。Kairos3では、マウス操作を中心にシナリオや特定条件の設定ができるため、多くのお客さまにフォーム機能やリードタグ機能をご利用いただいております。
まずは、資料をダウンロードした人が、「BtoB」の業界なのか「BtoC」の業界なのかによって、自動的にセグメンテーションされるようKairos3を設定します。
タグルールを登録すれば、資料のダウンロードフォームに入力された回答をもとに、Kairos3がBtoBまたはBtoCというタグを自動付与します。
次は、付いたタグによって自動的にメールが配信されるように、「シナリオ」の設定をします。今回の運用のメール配信を自動化するシナリオは、3つの手順で作成できました。
シナリオの発動条件は、「BtoC」のリードタグが付与されたときとします(上図1)。次に、「どんなメールを配信するのか」と「いつ配信するのか」を設定します。今回は、2日後にBtoC業界向けの活用事例、4日後にセミナーのご案内を自動配信するよう設定しました(上図2)。最後に、出来上がったシナリオを確認して終了です(上図3)。
BtoB向けのシナリオも、上記と同様に設定します。
マーケティングオートメーションが120時間も作業時間を削減しました
前章までで、マーケティングオートメーションを使って実際に想定される業務を効率化してきました。それでは具体的に、マーケティングオートメーションでどのくらいの時間が短縮できるのでしょうか。実際に計算してみました。
私が実際に、資料ダウンロードのフォローメールを手動で管理する運用を試したところ、顧客データの更新に約10分、相手の名前を差し込んだメールの作成に、1通あたり約1分かかりました。1日あたりの送信メール数が20通とすると、顧客データの更新と合わせて少なくとも1日あたり約30分の時間がかかります。
競合のメールアドレスが入っていないか、メールの誤字脱字はないかなどのチェックも含めると、さらに時間はかかるでしょう。
1日30分という時間は、1ヶ月(20営業日)に換算すると10時間に当たります。1年で換算すると120時間にもなります。120時間は、標準的な人件費に換算すると、約50万円近くに相当します。
120時間の作業削減によって、あなたが毎日30分早く仕事を終わって家に帰れます。
マーケティングオートメーションでほんの小さな仕事を自動化するだけで、仕事が確実になるだけでなく、オフィスの人件費をおさえてくれる効果があります。
おわりに
マーケティングオートメーションを使って、ある運用例が、どのくらい業務が効率化できるのかを調べました。みなさまのご参考になれば幸いです。