新規開拓を狙う営業と営業支援をするマーケターの間にあるギャップを解明する
新規開拓を狙う営業のために、十分な量と質の見込み客の獲得によって営業支援することがマーケティングの重要な役割です。
獲得した見込み客が新規開拓の営業活動に十分活用されているか非常に気になるところですが、その実態を知るとがっかりすることも少なくありません。なぜ営業部門ではマーケティング部門が獲得した見込み客の全てに新規営業開拓をしないのでしょうか?そして、マーケティングと営業のどの活動で獲得した見込み客情報が無駄になっているのでしょうか?
この問題は、営業支援を目的としたマーケティングと、新規開拓を狙う営業の間にあるギャップに関連します。まずは、パーチェスファネルを考えながら、この問題を深堀りしていきましょう。
営業支援と新規開拓のギャップ〜パーチェスファネルのおさらいする
まずはパーチェスファネルについて復習しましょう。
まずはマーケティングによって質の高い数多くの見込み客を獲得して営業活動の支援をします。見込み客の質を高めるために、MQL(Marketing Qualified Lead)として、条件に合致する見込み客を絞り込み営業部門に引き渡します。
MQLは改めて営業部門でSAL(Sales Accepted Lead)として、新規開拓の営業活動が行われます。
パーチェスファネルはこのようにシンプルです。このシンプルなパーチェスファネルのどこで、営業支援のためにマーケテイングが獲得した見込み客情報が無駄になっているのでしょうか?
特定の見込み客情報が新規開拓の営業活動に使われない理由
営業部門では営業支援のためにマーケテイングが獲得した見込み客の全てに新規顧客開拓をしないことがほとんどです。
ここには2つの理由があります。
1.営業支援で得られた見込み客の質が低い
営業支援のために得た見込み客の全てに新規顧客開拓の活動をしないひとつの理由が見込み客の質にあります。
営業マンは見込み客の情報をみて、直感的にこの見込み客は自社の製品やサービスを買う可能性が低いと判断することがあります。
もし見込み客の質が、営業支援のためにマーケティング部門で獲得した見込み客の全てに新規開拓を仕掛けない理由であるとしたら、これはあまり大きな問題とはいえません。
営業部門では、単純に売れそうな見込み客から新規開拓の営業活動を仕掛けているだけです。売れる確率が高い見込み客から新規開拓を始めたほうが、営業マンの生産性が向上します。売れる確率が少ない質の低い見込み客から真っ先に新規開拓を手がけるのは、明らかに非効率です。
営業支援と新規開拓にあるこの問題は、MQLとSALの定義のギャップにあります。したがって、マーケティング部門ではSALを満たす見込み客を獲得するために、マーケティング活動のターゲットを調整したり、異なるチャネルを利用したりします。
2.見込み客の数が多すぎて対応できない
もう一つの理由は、新規開拓を狙う営業マンの時間やリソースが足らず、営業支援のために獲得した全ての見込み客へ営業活動が展開できてないことにあります。
営業マンの時間が足らないことが原因であれば、単にリソースの問題です。マーケティング部門にリソースの余裕があれば、営業部門を手伝いましょう。
極まれに質の高い見込み客の新規開拓もできていないことがあります。これは機械損失の原因となる大きな問題です。今すぐ予算とリソースを投入し、売上アップを目指しましょう。
全ての見込み客へと営業マンが新規開拓しない理由〜営業支援の見込み客をもっと獲得すべきか?
新規開拓をする営業マンが、営業支援で得られた見込み客の全てに新規顧客開拓を手がけない理由があります。
営業は仕事の内容よりも売上で評価される
営業マンが、その仕事の内容で評価されることはほとんどありません。売上によって営業マンは評価されます。
したがって、新規開拓のために10件の見込み客を訪問することよりも、1件の良質な見込み客をクロージングするほうが重要です。売上につながる確実な結果を出し続けることが営業マンには求められています。
営業支援のために獲得した見込み客の全てに新規開拓の営業活動を仕掛けることはナンセンスになります。
営業マンには新規開拓の嗅覚がある
マーケティング部門で営業支援のための見込み客獲得の活動を通じて得られた見込み客を厳選しても、営業として確度の高い見込み客を選び出すセンスにはかないません。営業マンには売上につながる見込み客を見抜く嗅覚が備わっています。
MQLがSALと完全に一致することは難しいでしょう。確度の高い見込み客の特徴を明確に表現できれば、営業マンの質も均質化できます。直感的な判断が多く、それが出来ないのが現状です。
営業支援でマーケターができることは、数多くの可能な限り質が高い見込み客を営業部門に引き渡し、営業マンに新規開拓する見込み客を選べるほど多くの見込み客を提供することです。
営業マンは本質的に、新規開拓すべき見込み客を選ぶことが好きです。
営業支援を目的として獲得した見込み客の購買意欲が大いに異なる
メルマガに登録した見込み客と、資料請求や製品に関する問い合わせをした見込み客とでは、購買に関する関与が全く違います。メルマガに登録した見込み客を営業部門に引き渡しても、新規開拓につながる確率はほとんどありません。
見込み客の購買意欲の推測してMQLの精度が高くなれば、営業マンの営業効率がよくなります。
参考 新規見込み客に最適なリードナーチャリングのやり方~新規見込み客から有望な営業引合いを見つけ出すテクニック
購買意欲がまだまだ十分に高くない見込み客には、リードナーチャリングであなたの製品やサービスへの興味関心を徐々に高めるマーケティング活動をしましょう。
参考 リードナーチャリング完全ガイド|カイロスマーケティング株式会社
本当の営業支援をするためには、獲得した見込み客の購買意欲を推測しなくてはなりません。購買意欲の推測は「Kairos3」のようなマーケティング・ソフトウエアを使うことが一般的です。
より多くの新規開拓をすべき月のための営業支援を目指す
日本では、1月、2月、5月、8月、12月などは休みの関係上、営業日が少なくなります。この前の月に多くの質の高い見込み客が営業部門へと引き渡されていれば、売れる可能性の高そうな見込み客へ新規開拓を重点的に行えるため、より安定した売上が期待できます。
営業日が多い月には、より多くの見込み客へ新規開拓を仕掛けられるため売上を見込めます。
営業支援のためのマーケティングでは、営業マンのリソース、つまり営業日x営業マンを考えて、見込み客の獲得を調整したマーケティング活動が求められます。
さいごに〜新規開拓を狙う営業と営業支援をするマーケターの間にあるギャップを解明する
新規開拓を狙う営業マンがすべての見込み客へ対応しないことは、必ずしも悪いことではありません。
マーケティング活動が本当の営業支援となり、営業マンの新規開拓の効率と売上の両立をサポートできるよう工夫することが大切です。