ブレイクアウェイ・ポジショニングとは?
ブレイクアウェイ・ポジショニングは、製品やサービスの特徴を全く異なる分野の製品などと属性を一体化させ、製品やサービスのポジショニングを一気に修正し、既に売上が頭打ちになっていた状態から成長期へとシフトさせるアプローチです。
製品ライフサイクルでは、製品は釣鐘状の曲線(ベル・カーブ、製品ライフサイクル曲線)を描いて、市場への投入から、成長、成熟、衰退へと体系的に推移します。
製品ライフサイクルは、BtoB、BtoCにとらわれず多くのマーケターが活用するフレームワークです。製品のライフサイクルの各段階に応じて、自社の製品のポジショニングを設定します。
ブレイクアウェイ・ポジショニングでは、製品ライフサイクルにとらわれない斬新なポジショニングで、買い手の認知や評価を変えます。市場の成熟にしたがって、売上が頭打ちになった製品やサービスに有効です。
ブレイクアウェイ・ポジショニングとは
ブレイクアウェイ・ポジショニングは、リバース・ポジショニングと合わせて覚えると簡単です。
リバース・ポジショニングは、同一市場内でこれまで当然であると思われていた機能や効用を削ぎ取り、新たな機能・効用を付け加えることで独自のポジショニングを確保するアプローチです。リバース・ポジショニングでは、新たなポジショニングを築きますが、その製品が同じ市場内にポジショニングすることには変わりありません。
ブレークアウェイ・ポジショニングでは、異なる市場の製品の機能や効用を取り込むことによって、当該製品は従来の市場から抜けだして、新しいカテゴリーを生み出します。新たな機能や効用によって得られるデザイン、販売チャネル、プロモーションや価格などの形態を取り、新しい市場でのライバルと競争します。
製品がブレークアウェイ・ポジショニングをすることによって、従来の市場を飛び出し別の市場製品として認識されます。これにより、該当する製品は、新しい市場で新しい競争関係を生み出すと同時に、売上が低迷しがちな成熟期から、伸び盛りの成長期へと製品ライフサイクルの曲線上を逆行します。
ブレイクアウェイ・ポジショニングの例
ブレイクアウェイ・ポジショニングの最も知られた例がスウォッチです。MBAの授業でもよく取り上げられます。スウォッチとはファッション性が高く遊び心にあふれた腕時計です。
スウォッチ以前のスイス製腕時計は、宝石として取り扱われていました。お客は高価な耐久性の高い腕時計を1つ購入し、ほぼ生涯使っていました。ところがスウォッチは、遊び心いっぱいのデザインでかつ安い価格帯で市場に提供し、従来の腕時計の使い方を根本から変えてしまいました。
多くの消費者がスウォッチを衝動買いしたりして、複数個のスウォッチ腕時計を持っていることも珍しくありませんでした。その日のファッションに合わせて、スウォッチをするためです。
スウォッチは従来の宝石・時計のカテゴリーから飛び出して、ファション・アクセサリーという時計の中のサブカテゴリーに移動し、競争のない市場でスウォッチブームを巻き起こし、数多くのスウォッチを世の中に輩出しました。宝石・時計は成熟期にありましたが、ブレークアウェイ・ポジショニングによって、一気に成長期へとシフトしました。
まとめ|ブレークアウェイ・ポジショニング
ブレークアウェイ・ポジショニングでは、製品の特徴を他のカテゴリーに溶けこませることによって、全く新しいカテゴリーを創出し、成熟製品のポジショニングを成長製品へと修正して、その成長を促進します。
ブレークアウェイ・ポジショニングは、消費財に向いていると考えられています。