[2021年版] マーケティングオートメーション(MAツール)のまとめ
マーケティングオートメーション(MA)ツールが国内に登場してから5年近く経ちました。国内でマーケティングオートメーションの知名度が上がり、マーケティングオートメーションを知る人が増えました。
マーケティングオートメーションは、国内ベンダーと海外ベンダーの両方が入り混じる市場となりました。そして、国内でもマーケティングオートメーションを導入する企業が増えて、大企業だけでなく中小企業でもマーケティングオートメーションの浸透が広まってきました。
この記事では、2021年の最新のマーケティングオートメーションについて、みなさまにお届けいたします。わたし達は、カイロスマーケティングという、マーケティングオートメーション「Kairos3」を開発&提供するベンダーですが、できるだけポジショントークを少なくするように心がけたいと思っています。
マーケティングオートメーションの位置付けと役割
マーケティングオートメーションは、英語表記の省略からMAツールと呼ばれることも多くあります。マーケティングオートメーションは、「Marketing Automation」であり、単語の意味からして、マーケティングを自動化するものとして解釈されてしまうことも少なくありません。
マーケティングオートメーションは、営業により多くの商談をつくるための仕組みを提供するITツールです。
マーケティングオートメーションという言葉は、日本より先行してマーケティングオートメーションの普及が進んでいた米国からやってきたものであり、米国のマーケティングオートメーションベンダーによる造語ではないかと思っています。ですので、マーケティングオートメーションの定義は各提供社のメッセージングに委ねられる形となっており、マーケティングオートメーションの公的かつ明確な定義は見当たりません。
市場に出回るマーケティングオートメーションの機能や役割から見て、最大公約数的に言えば、「マーケティングオートメーションとは、営業により多くの商談をつくるための仕組みを提供するITツール」という表現はおよそ適切かと思います。
マーケティングオートメーションの機能
マーケティングオートメーションの機能はこれだ!という定義はありませんが、マーケティングオートメーションによく実装される機能をまとめました。
マーケティングオートメーションにおける機能の役割別にまとめてあります。
顧客情報を貯める機能
マーケティングオートメーションでは、顧客の連絡先情報に加えて、個々の顧客のホームページアクセス、メールの開封履歴、展示会やセミナーなどのイベントへの参加などの自社及び自社メディアとの接触履歴も記録します。
マーケティングオートメーションの顧客情報は「顧客カルテ」に似ています。顧客の情報に加えて、顧客の過去の行動も記録するからです。
その他、名刺管理ツールとの連携、エクセルによる顧客情報の一括登録、営業担当別・業種別・その他の方法での顧客分類、フォームやLP(ランディングページ)作成による顧客情報の取得などの機能も、マーケティングオートメーションでは一般的です。
顧客と接触するための機能
マーケティングオートメーションではメールを中心として顧客接触をします。誰でも簡単にブラウザからメールをお手軽に送ることができるように各種テンプレートが用意されています。また、ウェビナーが簡単に開催できるよう、例えばZoomとの連携機能などを充実するマーケティングオートメーションが増えてきました。
メールの件名や本文に顧客名・顧客所属会社、営業担当者名などを自動的に差し込む機能もマーケティングオートメーションにはあります。マーケティングオートメーションから一斉にメールを配信しているものの、メール受信者にとっては個別に書かれたメールを受け取っているように見えます。メールの開封率や返信率が上がると言われています。
メールの開封率については、「メルマガ開封率を1.4倍にした、開封率を上げる6つの施策と平均開封率をご紹介」が参考になります。合わせてご覧くださいませ。
マーケティングオートメーションにはシナリオというユニークな機能があります。シナリオはマーケティングオートメーションの語源にもなるような機能で、ある特定の顧客アクションにより、あらかじめ設定したメールを自動的に送る機能を指します。
特定のURL、メールの開封・未開封、特定ラベルの付与、フォームの登録など、マーケティングオートメーションの顧客管理機能で記録可能な顧客の行動をきっかけにしてシナリオを使います。
その他、一部のマーケティングオートメーションにはZoomを中心としたウェビナー連携機能、IPアドレスで企業名の推測機能があります。
顧客ランク分けの機能
マーケティングオートメーションにおける顧客ランク分けとは、営業に商談として提供できそうな顧客を自社の顧客リストから分類する機能のことを指します。
マーケティングオートメーションではスコアリング機能が最も有名な機能です。スコアリングとは、顧客の行動を点数化して、ある一定期間での行動の和を数値として示すことにより、顧客を相対的にランク分けする機能のことです。
マーケティングオートメーションを利用すると、スコアの設定にこだわりすぎてしまうという難点もあります。
マーケティングオートメーション導入時には、例えば「メルマガを3回連続で開封した」「1週間以内に料金表を見た」などの具体的な行動によって該当する顧客を抽出してインサイドセールスにて接触してみるなどのシンプルな運用が適しているように思えます。
マーケティングオートメーションは、マーケティングオートメーションの機能を全て使うよりも一部の機能に限定して使うと思ったよりも成果が出ることがあります。
マーケティングオートメーションが適応できる分野
マーケティングオートメーションはBtoBビジネスを営む企業の利用がほとんどです。ただ、BtoC市場でもマーケティングオートメーションを活用する例もあります。
マーケティングオートメーションは、およそ営業担当者がいる事業を営む企業が対象となります。BtoBビジネスの中でもECサイト向けの事業でマーケティングオートメーションを使うことは難しいです。なぜなら、マーケティングオートメーションは、営業のためにより多くの商談をつくるためのITツールであり、営業が介在しないECサイトのような事業ではマーケティングオートメーションは向いていません。
BtoCの場合は、不動産関連、保険や高額な教育系商材、塾や人材系でマーケティングオートメーションの利用が進んでいます。これらの業態にはBtoCでも営業担当者が介在するケースがほとんどです。
マーケティングオートメーションで解決できそうな課題
マーケティングオートメーションが営業により多くの商談をつくることを目的としたITツールであるため、マーケティングオートメーションで解決できそうな課題は、営業のための商談の数を増やすことと、営業に渡す商談の質を上げること、が中心となります。
マーケティングオートメーションの機能を考えると、例えば、「セミナーの運用を効率化する」「営業におけるコールドコールの最適なタイミングを知る」など、部分最適化になる課題の解決が考えられます。ただ、機能を中心に考えてしまうと、マーケティングオートメーションを導入しても、営業活動の部分最適化になることがあるので注意が必要です。
マーケティングオートメーションの費用対効果
費用対効果の計算方法から説明します。
マーケティングオートメーションの費用対効果の計算も、およそ他の費用対効果と変わりません。
当社のマーケティングオートメーション「Kairos3」を導入して、Kairos3によって毎月追加で10万円の利益を創出する例で計算すると、1年における費用対効果は200%になります。
マーケティングオートメーションの利用者が取り扱う商品によって費用対効果は大きく変わります。月額10万円以下のマーケティングオートメーションを使う場合は、分子の売上や利益が少しだけ増えれば、おそらく費用対効果としては100%を超えてプラスになるでしょう。
マーケティングオートメーションの費用が月額10万円を超える場合や、マーケティングオートメーション専任のスタッフの採用や、外部コンサルタントを雇う場合は費用対効果の分母が大きくなるため注意が必要です。中長期的に費用対効果を考えていく必要があります。
マーケティングオートメーションの選び方
マーケティングオートメーションは、営業に商談をつくることを目的としたITツールです。
あなたのマーケティングオートメーションを導入検討する目的が、営業に商談をつくることであれば、どのマーケティングオートメーションも費用対効果の観点でいえば、分子側が選ぶマーケティングオートメーションによって大きく変わることは無いでしょう。マーケティングオートメーションの機能の良し悪しによって売上高が大きく変化することは考えにくいからです。ニーズや効果をたくさん生み出す機能があれば、間違いなくマーケティングオートメーション各社が実装するからです。
マーケティングオートメーションを選ぶ際には、ツールの機能だけでなくサポートも大事です。最近のマーケティングオートメーションは機能がとても豊富で、自社にとって必要な機能や設定を探すのも大変です。
マーケティングオートメーションを初めて導入する場合には、標準料金の中で電話でのサポートを受けながら使い方のアドバイスを受けられるサービスがあると良いでしょう。マーケティングオートメーションは、他のSaaSとは異なりサポートがある・ない、よりも、サポートが親切である、知見がある、電話でも対応している、質問した同日中に回答がいただける、などサポートの質を判断材料に入れることをお勧めします。
マーケティングオートメーションの導入コンサルティングや有償のサポートを利用する場合には、前述の費用対効果の分母に大きな影響を及ぼしますので、導入前に費用対効果について十分に検討してもよいでしょう。
マーケティングオートメーションは、クラウドサービス(SaaS)が中心です。年間契約のマーケティングオートメーション以外なら、まずは導入してみることをお勧めします。月額10万円以下のマーケティングオートメーションなら、マーケティングオートメーションを導入しないで費用対効果のメリットを先送りして機会損失してしまうことを考えたなら、とりあえず半年程度、試験導入して試してみることも検討してみましょう。
マーケティングオートメーション導入までのスケジュール
マーケティングオートメーションの導入には、課題認識、目的の明確化、要件の定義など、プロジェクトのように半年以上かけて進めていく方法もあります。ただ、マーケティングオートメーションが月額10万円以下のSaaSであることを考えたら、まず始めてみるという流れでも良いと思っています。
まずはエクセルで顧客リストを整備して、メルマガに活用できそうなネタを集めておく。この程度の準備でマーケティングオートメーションの導入は可能であると考えています。この場合だと、早ければ1週間程度で導入が可能になるのではないでしょうか。
マーケティングオートメーションを学ぶために
当社が用意するセミナーや、マーケティングオートメーションのガイドブックも合わせて活用ください。セミナー出席や資料ダウンロード後に当社から売り込みなどの電話は致しません。