MAmag.は、MAでマーケティングを身近にする情報を提供するマガジンです。

真の顧客ニーズを新商品開発と結びつけイノベーションを生み出す方法

真の顧客ニーズを新商品開発と結びつけイノベーションを生み出す方法

顧客のニーズを聞いて新製品・新商品の開発をすすめるアプローチは多くの企業で採用されています。新商品の開発は簡単ではありません。顧客のニーズを慎重に聞いたにも関わらず新商品の開発が失敗に終わるケースがあります。

新商品開発の失敗は多くの場合は、顧客ニーズの捉え方と新商品の開発プロセスにあります。

新商品開発における顧客ニーズ神話

顧客ニーズを満たすことは多くの企業の命題です。顧客の要望を満たした製品やサービスを提供すれば、企業の成功は間違いないと考えられています。

ところが顧客のニーズをフォーカスグループなどを通じて詳しく聞いて、顧客ニーズをしっかりおりこんだ商品を市場に投入すると失敗することがあります。これはなぜ起きるのでしょうか?

新商品開発のこの問題は、顧客のニーズを通り越して顧客の意見を聞きすぎる点にあります。

顧客の意見や要望、顧客が提案する新商品や新機能は、その情報源が他社の製品に既に備わっている機能や特徴であることがよくあります。顧客のもつ情報源には限りがあり、それを基に顧客が新商品や新機能の提案をするからです。

顧客は新商品の提案やあらたなソリューションの提案の専門家ではありません。新商品の製造過程や新商品やソリューションの情報もあなたの方がはるかに持っており、その経験も豊富です。

顧客の声に基づいてその通り新商品開発すると、イノベーションの機会を失うばかりか、新商品の開発や製造の足かせになりかねません。そのため、新商品の開発では、顧客のニーズ、つまり顧客が新商品に求めることを聞くにとどめるべきです。

理想的な新商品開発のプロセスと顧客ニーズの取り込み方について、5つのステップに分けてみていきましょう。

STEP1: 顧客ニーズから新商品のヒントを得る

新商品の開発を成功させるためには、新商品の利用シーンをプロセスや作業に分解して各ステップに顧客ニーズを当てはめる必要があります。

例えば、顧客管理システムなどのシステム製品を考えた場合、顧客情報や商談情報、案件進捗などのデータインプット、営業訪問時の過去の商談や顧客連絡先のチェック、マネージャや経営陣の営業売上予測レポートの確認など、まずは製品利用の際の各プロセスや作業に分解します。

このようにしてプロセスが定義できたら、各プロセスに直接関与する人だけに直接インタビューします。それ以外の担当者からの情報はノイズとなる可能性が大きいので注意しましょう。

STEP2: 新製品開発で必要な真の顧客ニーズや要望をつかみとる

顧客ニーズのヒヤリングの中で顧客は、新商品にまつわる機能、アイデア、要望をいろいろと教えてくれます。

こうしたほうが良いという具体的なソリューションやアイデアが出てきた際には、その背景について質問してみましょう。顧客が答える「背景」には、新商品に関する真のニーズや要望が含まれています。

STEP3: 顧客の真のニーズや要望を抽象化する

新商品開発に必要な顧客ニーズや要望をまとめる作業にをします。

まずはヒヤリングで得た真の顧客ニーズや要望をリストにし、関係のある項目をグループ化したり、抽象化するなどして整理しましょう。

複数のニーズや要望を1つのグループにまとめた場合には、そのグループに特徴を示す名称をつけて抽象化します。名称をつける作業を通じて新商品に本当に必要な機能、顧客を魅了するイノベーションの要素が見えてきます。

STEP4: 新商品開発の要素の重要度合いを見積もる

抽象化された真の顧客ニーズ別に、新商品開発の際の重要度を設定します。

各顧客ニーズ毎に、新商品開発における重要性と、その新商品に対する顧客満足度を軸にして、それぞれ点数を付けてみましょう。

顧客ニーズの重要性は、市場機会、競合との優位性、新しいコンセプトや市場のイノベーションの形成度合いから評価します。

顧客満足度は、その新商品が顧客のヒヤリング時点での顧客プロセスに与えるインパクトを評価します。

STEP5: 新商品開発のイノベーションを創る

これまでのヒヤリング結果、評価の結果をまとめて、新商品のコンセプトを組み立てます。

新商品のコンセプトを作る際には、市場機会の大きさ、セグメンテーション、自社の業界の競争力、対立するニーズに着目します。

「家で夕食をつくるのは面倒」「外食ではなく家で食事したい」などの対立する顧客ニーズは、その中間解を提示することで、新たなイノベーションが生まれることがあります。この潜在能力を市場機会とあてはめて評価すべきです。

まとめ

顧客ニーズをそのまま新商品にすれば、従来の下請け型のビジネスになり、自社の新商品で顧客を魅了するイノベーションを生み出すことができません。この問題は、新商品の開発プロセスにあります。

新商品の開発では、顧客の真のニーズに着目しましょう。顧客の真のニーズに着目してイノベーションが実現できれば、顧客の想像もつかない創造性に富んだ新商品の開発も夢ではありません。

私たちカイロスマーケティング株式会社では、マーケティングオートメーション「Kairos3」を提供しています。Kairos3の機能開発などでも、ここで紹介したプロセスで真の顧客ニーズを読み取るようにしています。