CRMの導入で顧客ロイヤリティと顧客満足度を向上するための方法

2015年06月04日

CRMは顧客満足度や顧客ロイヤリティの向上を狙うための有効なツールです。

CRMの導入に成功すれば、企業にもたらすメリットや効果は絶大です。

CRMの導入によって、あらゆる顧客のあらゆるデータが簡単に収集できるようになります。その結果、長期的に重要である顧客層の見極め、自社の既存顧客と似た特徴をもつ潜在顧客の獲得、顧客の要望に応じて製品やサービスを改良し顧客満足度や顧客ロイヤリティを改善、事業コストの削減などの効果が期待できます。

ところが、CRMを導入してもすべての企業でこのような効果があらわれません。このような事態はなぜ発生するのでしょうか?

CRMに対するよくある誤解

CRMのソフトウエアの導入に成功して業績を伸ばす企業もあれば、そうでない企業もあります。

さまざまな調査で、顧客管理や業務系システムの中で、CRMに対する満足度は低い傾向にあります。この傾向からみてもCRMの導入はそんなに簡単では無いことがわかります。

なぜCRMの導入がうまくいかないのでしょうか。

まずはCRMの本質について考えてみましょう。

CRMは顧客管理を目的としたソフトウエアとして多くの人がとらえています。しかし、CRMの導入を「ソフトウエア(技術)」の導入と考えてしまうと、CRMの導入がうまくいかなくなるようです。

CRMの導入による効果は、顧客情報というデジタルデータの管理手法の効率化だけではありません。顧客に関わる全てのあなたのビジネスプロセスを改善し、顧客ロイヤリティや顧客満足度の向上に貢献します。

そのため、CRM導入時には、顧客情報のデータ管理だけでなく、あなたのビジネスにおける顧客に関わるビジネスプロセスの全体を考慮し、場合によってはビジネスプロセスそのものを再構築する必要があります。

ビジネスプロセスとは?

ビジネスプロセスは特定の顧客のために、あなたの製品やサービスを創りだすための関連する仕事(作業)や企業活動です。

CRMで取り扱う顧客情報は、あなたの製品やサービスのマーケティング活動から販売活動、契約、サポートまで関係があります。

製品やサービスを販売する事業では、製品やサービスの開発に顧客のニーズを取り込まなくてはなりません。したがって、製品開発もCRMに関わるビジネスプロセスの一部になります。

このようにCRMに関わるビジネスプロセスは、単なるマーケティングや営業活動だけでなく、思っている以上にビジネスのあらゆる場面で登場します。

CRMを導入する真の目的

CRMを導入して長期に渡って顧客ロイヤリティや顧客満足度の向上が実現できれば、収益性の高いビジネスを実現します。これがまさにCRMの目的です。

CRMの導入によって、中長期における顧客ロイヤリティや顧客満足度を高めながら、最終的には収益率の改善を継続的におこないます。最終的にあなたの顧客戦略とビジネスプロセスが一体化します。これを手助けすることがCRMの役割であり、CRM導入の目的です。

CRMの導入は、CRMという技術の導入でもなければ、単なるCRMソフトウエアの導入でもありません。技術やソフトウエアはあくまでもあなたの目的を支援するための手段であって、目的ではないことを肝に銘じておきましょう。

CRMは顧客情報データを管理する、いわゆる「ソフトウエア」であるという捉え方は一考の余地があることはあきらかです。

CRMを単なる顧客情報データの管理ソフトウエアとして考えれば、確かに導入は1ヶ月もあれば終わります。しかし、あなたの顧客戦略とビジネスプロセスを一体化させるためのソフトウエアとして考えれば、CRMの導入は1〜2年かかることは当然と言えます。

ここからは、一般的に想定できるCRM導入の失敗例とその対策をみていきましょう。

1.具体的な顧客戦略が無いままCRMを導入してしまう

CRMは、長いあいだ未解決であった企業の顧客管理にまつわる問題を自動的に解決してくれるソフトウエアかのようなメッセージをよく耳にします。

CRMは利益率が高い「優良」な顧客を自動的に抽出したり、顧客ロイヤリティや顧客満足度を勝手に向上したりしません。

CRMを導入して顧客ロイヤリティや顧客満足度の向上を目指すには、顧客のセグメンテーションが欠かせません。

CRMで取り込んだ顧客情報のデータを属性や購買の傾向などに基づいてセグメンテーション分けし、セグメンテーションの特徴に応じてマーケティング目的を達成するようにキャンペーンを設計して、CRMを使って実行して初めてCRMがあなたの目的に沿った形で動き出します。

そのため、顧客情報データを元にセグメンテーション分析をしていなかったり、CRM導入に関わるマーケティングの目的がなかったりすれば、CRMの導入効果は期待するほどではないでしょう。

CRM導入の前に、もしくはCRM導入のタイミングで、自社の顧客分析と顧客アプローチの戦略をしっかりかためておくことはCRMの導入には必要不可欠です。

また、契約したCRMのソフトウエアに自社の顧客戦略を合わせたり、CRM導入後にソフトウエアベンダーに顧客管理戦略のアプローチを問い合わせたりするなど、本末転倒な行動を起こすケースもみかけます。

CRMは導入企業が狙う顧客アプローチの戦略に合わせてカスタマイズできるため、そもそもCRMソフトウエアの仕組みや仕様から顧客戦略を導き出すことは難しいと考えたほうが無難です。

2.顧客ロイヤリティや顧客満足度を目指す組織になっていない

CRMソフトウエアは顧客情報を管理します。CRMを導入する企業は、顧客管理や顧客へのアプローチの改善を狙う、もっと言えば、CRM導入によって顧客重視型の組織に生まれ変わろうとしているはずです。

CRMは導入企業の組織の構造を変えるソフトウエアではないため、あなたの顧客戦略に合わせて組織を顧客重視型へとCRM導入前に作り変える必要があります。

CRM導入することで、顧客満足度が高くロイヤリティの高い顧客と長期にわたって良好な関係を築き、継続的な売上を見込みたいなら、営業活動から受発注、そして販売後のサポートに至るまで、顧客に関係する重要なビジネスプロセスを改善することになるでしょう。

そして、ビジネスプロセスに関わるスタッフの職務内容や評価方法、報酬制度、研修や教育のプログラムに至るまで、組織そのものとビジネスプロセスの両方が、顧客満足度を向上し、顧客ロイヤリティを高め続けるよう編成しなおさなければなりません。そうでなければ、CRMを導入しても効果はあらわれません。

CRM導入にあたって、あなたのビジネスプロセスを全く変更しなければ、CRMを導入しても大きな改善は全く期待できません。

CRM導入における顧客戦略では、顧客ロイヤリティや顧客満足度向上に関わるビジネスプロセスのみを検討だけでは不十分です。CRM導入を気楽に考え、自社の組織の構成とそれぞれの役割、必要に応じて社内の制度を変更する必要があることをどうしても見落としがちです。

3.CRMの機能や技術を過信しすぎてしまう

CRMに新しい技術や仕組みが多い方が良いと誤解してCRMソフトウエアの選定をするケースもあります。

極端な例で言えば、CRMを導入しようとしているビジネスプロセスに関係するスタッフの目を顧客ニーズにより目を向けさせるといった非常に単純な手段でも、CRMの目的に近い効果があるかもしれません。

営業スタッフが顧客面談毎に手書きでお礼状を書くなど、技術無しでCRMが引き出す結果の一部を演出することも十分にありえます。

CRMの導入や選定で、CRMソフトウエアが持つ技術で問題を解決しようとしたり、新しければ新しいほど良いと考えたりすると、予期せぬ問題を引き起こす原因となります。

CRMの導入の際には、まずはソフトウエアの技術を使わないで現状の手段の延長で現状の問題を解決できる可能性があるかを検討してみましょう。その施策を実施したあとで、プロセスの効率化や効果の演出を狙って技術を導入しても一定の効果があるはずです。

顧客ロイヤリティや顧客満足度の向上を高め、優良顧客との関係を強くするために必要なことを徐々に明確にしましょう。このプロセスにはCRM技術はあまり関係ありません。

4.顧客を自社の想いで囲い込もうとする

あなたの製品やサービスで今後追加してほしい機能や変更して欲しい仕様についてアンケートを取ったことがあるでしょう。このような方法で実際に顧客の声を聞くと、意見や要望は思ったよりもバラバラだった経験はありませんか?

この事実は一見信じがたく、アンケートの内容やアンケートの対象が良くないと無理やり結論付けてしまうかもしれません。必ず一意の結果が出てくると思い込んでいる担当者にしてみれば、いたしかたない行動ともいえます。

しかし、顧客の意見や要望がバラバラであるという事実を無視すると、いつまでたってもマーケティング活動の対投資効果(ROI)は改善しません。

CRMの顧客リストに対して、全員があなたの特定製品に興味があると信じてダイレクトメールやメルマガを送り続ける行為はまさにこの例です。

見込み客にとってあまり興味が無い情報を送りつけて、無理やり自社の顧客になってもらうように迫っているかのようなマーケティング活動をしてしまいます。その結果、見込み客にあなたの会社の行為が心地よく感じてもらえず、あなたの会社からのマーケティング活動を行為にしません。

CRMを活用しているつもりでも、顧客戦略や顧客の視点からみれば完全に逆効果です。

CRMを導入している企業に、あなたの情報を登録してみると、企業の顧客ロイヤリティキャンペーンがこのような実態であった経験はありませんか?毎週届くセミナーの案内や、興味関心が無い新製品情報でメール本文がいっぱいになっているメールは、なかなか最後まで読む気になれません。

CRMを導入して、あらゆる顧客に一意に接すればよいわけではありません。どの顧客セグメントにどのように接するかは、あなたの会社の顧客戦略に従うべきであり、CRMソフトウエアの機能に答えを求めてはいけません。確かに、CRMソフトウエアは手作業では難しいメールの一斉配信などが簡単にできますが。

まとめ〜CRMの導入で顧客ロイヤリティと顧客満足度を向上するための方法

CRMの導入のカギは、CRMの技術ではなく、あなたの会社の顧客戦略とCRMを使ったビジネスプロセスがうまく噛み合っていることです。

CRMの導入で今までのビジネスプロセスに比べて、社内の優秀な人材をいかに競争優位や、顧客ロイヤリティや顧客満足度の向上を通じて高業績を生み出す活動に割り当てれば、CRMの効果が目に見えるようになるでしょう。

そのためには、時間をかけてあなたの顧客戦略を練り上げることに始まります。この作業はCRM導入前にすべきです。

そして社内のスタッフに顧客戦略と各ビジネスプロセスの目的、その理由をできるかぎり理解してもらうのと同時に、CRM技術よりもあなたのビジネスプロセスを顧客戦略に合致されることを徹底的に行いましょう。

CRMの技術は、顧客戦略に基づいたビジネスプロセスをスムーズにするための支援ツールにすぎません。これが見落とされた瞬間に、CRMは顧客ロイヤリティや顧客満足度を向上するという本来の趣旨から大きく外れ、逆効果を生み出しはじめます。

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