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営業組織のスタイルに合わないSFA(営業支援システム)は業績に悪影響を及ぼす

営業組織のスタイルに合わないSFA(営業支援システム)は業績に悪影響を及ぼす

SFA(営業支援システム)を導入する際には、自社の営業部門の管理の方法をよく理解し、それにあったものを導入すべきです。

営業部門の管理は、2つの方法があります。結果を重視する成果主義の営業管理と、売上を得るための方法を重視する行動主義の営業管理です。

この2つの営業部門では組織の文化が完全に異なり、営業担当者とマネージャーの取るべき行動も大きく異なります。

SFAを導入する際には、あなたの会社の営業部門の管理の方法とSFAの機能の整合性をよく確かめましょう。行動主義の営業部門に成果主義型のSFAを導入するなどによって、SFAと営業部門の文化の整合性が失われれば、業績に悪い影響を及ぼします。

まずはあなたの営業部門の管理の方法を見極めて、その運用に適したSFAの導入をしましょう。

成果主義の営業部門の特徴

成果主義の営業部門では、営業成績、つまり最終的な営業結果を評価して、それに応じた報酬を与えます。営業成績には、売上、利益率、市場シェア、新製品の売上、リピート購買の回数などが評価の材料として取り扱われます。

成果主義の営業部門では、営業担当者の自主性が求められます。営業担当者が自ら営業戦略を立てて実行し、顧客を開拓するいわば社内起業家として活動しなくてはなりません。

成果主義の営業部門では、営業マネージャーは比較的少数で、個々の営業担当者をコーチングする必要が少なくなります。

行動主義の営業部門の特徴

行動主義の営業部門では、営業担当者は営業活動への貢献度合いが評価され、それに応じて報酬が与えられます。営業担当者は、知識やスキル、能力や適正などによって評価されがちです。このような評価項目は曖昧なものが多く、固定給が採用され、営業マネージャーが態度や行動、能力で変動給の部分を評価します。

行動主義の営業部門では、営業担当者は会社の方針とそれに合わせた行動をよく理解しなくてはなりません。そのため営業マネージャーが査定で考慮する可能性がある項目に関心があつまり、なるべく営業マネージャーの期待に応えようとします。

したがって、行動主義の営業部門では、営業マネージャーが日々の営業担当者の商談内容や活動、日報をていねいにケアし、適切なコーチングが求められます。

SFA(営業支援システム)の特徴を見極める

成果主義と行動主義は、両極に位置付けられるものであり、多くの企業はその中間のどこかに両者のバランスを考えた営業管理の方法をとっています。その位置は、会社のルール、戦略、企業文化、ビジョン、事業環境によって大きく異なります。

特に多国籍企業では、その国固有の文化や法規制を考慮しなくてはなりません。例えば、成果主義の営業部門は欧米諸国で多く見られるものの、日本では行動主義が多く取られています。

したがって、SFA(営業支援システム)も、その開発元の国籍によって特徴が異なると推測できます。確かに国内大手のSFAベンダーでは、日報や商談進捗管理などの機能が充実していると言えます。

ただ成果主義と行動主義は事業環境によって、その適性が異なるため、日本でビジネスをしているからといって行動主義型の営業部門を目指すべきではありません。

成果主義の営業部門を目指すべき事業環境と最適なSFAの特徴

成果主義の営業部門は、営業担当者のスキルと努力が売上を左右する事業に最適です。

成果主義の営業部門が適している主な事業環境

  • ソリューション型のビジネス
  • 新製品の販売や新規事業の立ち上げ
  • 営業担当者と顧客の関係・絆が重要な事業
  • これらの事業では顧客とのコミュニケーションスキルや提案力など、営業担当者の役割によって、その結果に大きな影響を与えます。営業担当者は自ら営業戦略を立ててそれを実行します。

    成果主義の営業部門で導入すべきSFAは、営業担当者が自ら営業戦略を立てやすく、かつ、営業活動のアウトプットを定量的に測定できる必要があります。

    行動主義の営業部門を目指すべき事業環境と最適なSFAの特徴

    成果主義と特徴が正反対の行動主義型の営業部門では、営業担当者の自主性は求められません。営業マネージャーやチームメンバーの助言やサポートが求められます。

    行動主義の営業部門が適している主な事業環境

  • 営業担当者の経験が不足している場合
  • 自社のブランドが重視される場合(誰でも同じスタイルの営業をすべき場合)
  • 営業担当者の職務が営業以外にもある場合
  • 行動主義の営業部門では、営業マネージャーの関与が重要です。営業マネージャーのコーチングを通じて、各営業担当者は「どうすべきか?」「どうあるべきか?」の両方を、営業活動の局面ごとに学んでいきます。

    行動主義の営業部門のスタイルは、将来のリーダーやマネージャーを育成したいと考える企業にも適しています。

    いずれにしても、行動主義型の営業部門では、相応の管理能力を持つ営業マネージャーが複数必要です。各営業担当者に対して、どのような行動を要求し、どのような行動をとるべきでないかを明確にして、それぞれスタッフに指示したり育成したりします。

    そのため行動主義型の営業部門では、営業活動データを全て記録できるきめ細かいSFAが必要になります。

    SFAが提供する営業活動データによって、営業マネージャーが実行しやすい営業戦略を策定したり、スタッフの業績を測定できます。

    まとめ〜営業組織のスタイルに合わないSFA(営業支援システム)は業績に悪影響を及ぼす

    SFAの導入ありきで自社の営業部門のスタイルを無視してSFAを導入すると、自社の業績に悪影響を及ぼしかねません。

    まずは自社の営業部門のスタイルを確認して、それに適したSFAを導入しましょう。