ソートリーダーシップ(Thought Leadership)という言葉を耳にしたことがあるでしょうか?
BtoBマーケティングでも、ソートリーダーシップを取り入れたマーケティングアプローチや戦略を取る企業も少なくありません。
市場の伸びが鈍化している場合や、新たな市場を切り開く必要がある場合に、このソートリーダーシップ戦略を採用します。
ソートリーダーシップ戦略により、新たな考え方を市場に吹き込み、新たな議論や思想・発想を形成し、市場における自らのポジションを作り出すことを目的としています。
1.ソートリーダーシップ(Thought Leadership)の概要
それではさっそくソートリーダーシップについて理解を深めていきましょう。
1-1.ソートリーダーシップ(Thought Leadership)とは
ソートリーダーシップ(Thought Leadership)とは、特定のセグメントや分野において将来を先取りしたテーマやソリューションを示し、人々の議論や思想形成を引き起こすことにより、そのテーマやソリューションについて改めてより深く考えるようにする活動をさします。
ソートリーダーシップとは、いわゆる目的とする市場やターゲット顧客に「洞察」や「見通し」と共に解決策やソリューションを示唆する活動です。
海外や外資企業の日本法人なら、ソートリーダーシップは少なくとも一度は耳にしたことのあるマーケティングのアプローチです。
ソートリーダーシップは、マーケティング活動において
ソートリーダーシップがよく採用されるケース
全く新しいコンセプトを持つ製品を生み出す時 既存の製品やサービスに新たな変化を加える時
のような場合によく活用します。
1-2.ソートリーダーシップの例
ソートリーダーシップ戦略によって、市場やターゲット顧客に対して新しいコンセプトを生み出す例は、みなさんのまわりでもよく見かけます。
例えば、既存のコーヒーショップを「第三の場所」としたスターバックスや、家具は一生のモノから、生活シーンの変化と共に何回も買い直すものと定義した「IKEA」などが代表的な例です。
また、既存の製品やサービスに新たな変化を加えるソートリーダーシップの例は「スウォッチ」があります。
これまでは時計は時間を知る機能が中心でした。スウォッチは時計の機能をシンプルにして価格を抑え、同時に高いデザイン性を加えて、時計をファッションの一部として市場にソートリーダーシップを訴求して顧客を開拓しました。
スウォッチは自社の製品のポジショニングを成熟した時計市場からファッション市場に転換することで事業を成功に導きました。これは、「リバース・ポジショニング」として知られています。「リバース・ポジショニング」の詳細は、「リバース・ポジショニング|カイロスのマーケティングブログ」が参考になります。
これらの例であげた企業はそれぞれの分野で第一人者(ソートリーダー)となり、新たな分野の顧客を開拓しました。
1-3.同僚にも影響を与えるソートリーダーシップ
実は、あなたの身近な例でもソートリーダーシップを発揮している事があります。
あなたが新しいアイデアを思いつき、それを同僚や上司に認めてもらう際に、ソートリーダーシップと似たような活動が必要となります。
同僚や上司にあなたのアイデアを認めてもらうために、そのアイデアのテーマについて改めて深く考えてもらう事を目的として、議論を引き起こしたり、思想(アイデア)を主張したりするでしょう。この時のあなたの活動は、まさにソートリーダーシップ戦略と似ています。
2.ソートリーダーシップがもたらすメリット
ソートリーダーシップでは、実際にソートリーダーとならなければ、ソートリーダーシップの恩恵に十分にあずかれません。
あなたのソートリーダーシップ戦略が十分に機能するためには、「あなたのクライアント/お客さま」「市場」「競合」のそれぞれがあなたをソートリーダーとして、ある特定の分野での第一人者であると認めなくてはなりません。
ソートリーダーシップ戦略が機能すれば、ある分野の第一人者として認知が広まるだけでなく、その分野において、あなたの会社のブランド価値もあがります。
簡単にいえば、「○○ならあなたの会社が一番」となれば、あなたのソートリーダーシップは十分に機能しているといえます。ソートリーダーシップ戦略は、ブランドの形成にどこか似ています。
3.ソートリーダーシップ戦略を手掛けるためには
ソートリーダーシップ戦略を成功させるためには、そのテーマ選びが重要です。
3-1.ソートリーダーシップのテーマ選びのための調査の方法
ソートリーダーシップ戦略で上手に効果をあげるためには、まずあなたの製品やサービスにおける競合のソートリーダーシップ戦略を調べる必要があります。
競合と似通ったテーマやソートリーダーシップのメッセージならば、あなたがその分野で1番として認識されないため、ソートリーダーシップ戦略はなかなか成功しません。競合のソートリーダーシップを調査する際には、競合がなぜそのテーマにおいてソートリーダーシップ戦略を取っているかを分析します。
ソートリーダーシップでテーマを決めるにあたっての調査は、市場の動向、自社の強み、競合の動向を調べます。これはまさに3C分析のフレームワークです。3C分析については「3C分析の概要と3C分析のやり方|カイロスのマーケティングブログ」が参考になります。
ソートリーダーシップのテーマの選び方にはコツがあります。以下の条件を満たすテーマやメッセージが有効です。
ソートリーダーシップのテーマの上手な選び方
まだ顧客や市場があまり良く理解していないもの、気づいていない 競合が取り上げていない 社会的、世界的な課題を解決する自社のソリューションや自社の強みと結びつける
3-2.ソートリーダーシップを維持するための運用
ソートリーダーシップ戦略であなたが取りうるテーマを見つけたら、どんどんコンテンツを作りましょう。
ソートリーダーシップ戦略をマーケティング活動で実施するときには、あなたのメッセージを、世の中に広く発信しながら、お客さま、市場、競合にもあなたのソートリーダーシップ戦略でとるポジショニングを認知してもらいます。
そしてソートリーダーシップ戦略では運用も大事です。
ソートリーダーシップ戦略は、取ってつけたような戦略であってはいけません。ソートリーダーシップは、会社の文化のように従業員にもしっかりと認知してもらわなくてはなりません。
社外でソートリーダーシップ機能させるために、社内にソートリーダーシップ戦略をしっかりと浸透させることが大事です。
4.さいごに
マーケティング活動でソートリーダーシップ戦略を機能させるためのアイデアについて紹介しました。新たな市場やターゲット顧客の開拓、ブランディングにもソートリーダーシップ戦略は有効です。