3C分析とは?3C分析のやり方がわかる入門編

3C分析は、企画やマーケティング部門では広く知られた分析のフレームワークです。3C分析は、各Cの要素と、その変化に着目すること。そして、日常から3C分析を使う訓練をしておくこと、が大切です。

今回は、3C分析の概要、3C分析から有効な戦略を導き出すためのテクニック、日々3C分析の練習する方法についてお伝えします。

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3C分析の概要

3C分析は、3Cと呼ばれるフレームワークを使って、みなさんが参入する市場の競争環境の理解を目的として実施します。

3C分析とは?

3Cは、「市場・顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」のそれぞれの英単語の頭文字をとったもので、それぞれのCは市場を分析する重要な要素となっています。3Cは市場環境を分析するためのフレームワークです。

3Cは、ビジネスの環境には、市場(=顧客)という買い手、自社という売り手、そして競合が売り手として存在するという事業環境におけるプレイヤーの構成要素に着目しています。3Cのそれぞれの要素を調べることで、事業環境を分析できます。

3Cは、元マッキンゼー、現ビジネス・ブレークスルー代表の大前研一氏が提唱したフレームワークであるという説があります。

3Cなどのビジネスフレームワークについて
マーケティングの現場やビジネスでよく利用するフレームワークは「利益を作る分析力がつく!ビジネスフレームワーク集25選」にまとめて解説しました。ご興味のある方は無料でダウンロードができます。

3C分析を使うタイミング

3C分析は、事業戦略を策定するプロセスで使います。マクロ環境分析で、政治や経済など、自社だけの努力では制御ができない要因を分析してから、市場のミクロの分析するときに3C分析を利用します。

3C分析は、新規業界参入時の事業計画策定以外でも利用します。事業撤退の検討、既存事業の戦略転換などでも3C分析をします。

3C分析では自社が事業を行うビジネス環境での成功要因(KSF)を導きだすことで、戦略の方向性と戦略目標の設定につながります。

3C分析の目的

3C分析の目的は、3C分析を行う局面(タイミング)によって代わりますが、おおよそ、大きく2つになります。

3C分析をする第一の目的は、これから新規に市場参入する場合に、市場のニーズと競争構造を見た上で、事業機会を見つけ出すこと。これによって、自社の市場参入の戦略構想をねります。

3C分析の第二の目的は、事業の戦略を見直すときに、市場の変化にうまく対応している競合企業のやり方を学んで、自社の弱みを補うことです。

3C分析のやり方・手順

3C分析のうまいやり方やその手順について説明してまいります。3C分析のそれぞれの要素を、わかる範囲で箇条書してみた、とならないように注意しましょう。

3C分析はどこから手を付けるべきか?

3C分析は、どの「C」から始めるべきでしょうか?多くの3C分析は、自社(Company)から始めているのではないでしょうか。なぜなら自社の情報が最も多く、調査・分析が簡単だからです。

3C分析でしっかりと戦略を作り出すためには、自社の分析こそ最後に手がけるべきです。

3C分析では、まずは、市場や顧客ニーズに着目します。この変化をとらえることが最も重要だからです。3C分析は市場(=Customer)から始めましょう。

3C分析の市場分析で、市場や顧客ニーズの変化をつかみとり、その変化に追従するための競合の対応を鑑みた上で、自社が事業機会をつかみとるための成功要因(KSF)を見出します。これが3C分析の流れです。

3C分析の市場分析ではなにをみるか?

3C分析で市場の「変化」に着目するということは、3C分析の「キモ」だと考えています。うまい3C分析をするためには、3C分析の市場分析で、とにかく、「変化を見つけること」にこだわってください。

3C分析の市場分析では、3つの要素に着目します。

マクロ環境の変化のうち、業界構造や自社の収益構造に変化を与える可能性がある要因を調べます。主にPEST分析によって政治・経済・社会・技術などの各要因をモレなく調べることが大切です。

PEST分析について
PEST分析とは、みなさまの事業計画や経営戦略、マーケティング戦略を作るときに、自社ではどうにもならない事業環境が自社の事業の収益におよぼす影響を分析するためのフレームワークです。くわしくは「PEST分析の手順とノウハウを実例で学ぶ」でまとめました。合わせてごらんくださいませ。

3C分析の市場分析における市場競争環境の変化をとらえるためには、ファイブフォース(5F)分析が便利です。市場の競争要因を5つにわけたフレームワークを活用します。

ファイブフォース(5F)分析について
ファイブフォース分析は、企業の経営戦略やマーケティング戦略など、戦略策定で必要な情報を得るための分析です。くわしくは「ファイブフォース分析とは?ファイブフォース分析の概要と手順を解説」で、概要・手順についてまとめました。

3C分析における顧客分析で明確にしたいことは「自社の現状の顧客像は?それが今後どのように変わりそうか?」「購入する理由(購入しない理由)は?」の2つです。

3C分析の市場分析では、市場や顧客のニーズの「変化」に着目します。どの分析でも同じですが、やはり3C分析の市場・顧客の分析にも当てはまります。

3C分析の競合分析

3C分析の競合分析では、競合が市場の変化に対してどのように対応しているかを知ることが目的です。3C分析の競合分析では、市場シェアや売上など競合企業のビジネスの結果と、その結果を導きだした理由の二点に絞り分析を進めます。

ビジネスの結果は、競合企業の売上げや営業利益(率)、コスト、広告宣伝費を含む販売管理費用に着目します。言い換えれば、競合企業は投資(広告宣伝費や販管費)から、ビジネスとしての結果(売上もしくは営業利益)をどれくらい大きく出せたかによって判断します。

競合企業が上場していないなどが理由で決算報告がない場合には、市場シェアや従業員数などの情報を調査レポートや企業のWebサイトから入手して、できる限りの情報を集めます。

競合分析では次に、競合企業の結果の出し方に着目します。言い換えれば、売上げやリソース効率を高める仕組みについて明らかにします。

3C分析の競合分析ではもう1つ大切なことがあります。それは、競合企業のバリューチェーンです。製品の開発、仕様、製造工程、販路、物流、マーケティング、営業、サポートなど、ビジネスに関連するあらゆる仕組み(バリューチェーン)を調査し、さきほど調べた売上げや高い効率化の主たる理由となる仕組みや仕掛けを探し出します。

バリューチェーンについて
事業活動は、例えば、仕入れ・製造・流通・販売・サポートと、その活動を機能別に分解することができます。分解した各機能が生み出す価値の関係性を明らかにするためのフレームワークが、バリューチェーンです。くわしくは「バリューチェーンとは?一番わかりやすい入門編」でまとめました。あわせてごらんください。

3C分析の競合分析でも「変化」に着目しましょう。競合企業が市場の変化に対してどのように対応しているか?そしてうまく対応できているところは?課題は?といった形で競合企業を評価します。

3C分析:自社分析

3C分析の自社分析は、これまで3C分析を通じて行ってきた、市場分析、競合分析のまとめです。つまり、市場の変化と競合企業の市場の変化への追従・対応と自社を比較するだけです。

3C分析の最後に自社分析を行いながら、競合企業の良い点を取り込み、競合企業がカバーできていない領域に進出するなど、自社のビジネスが該当市場で成功するための要因(KSF)を探ります。

3C分析を進める上での注意点

3C分析は事業分析のためのフレームワークです。フレームワークというと、どうしても3つのCについてわかることから順番にうめてしまいがちです。とりあえず3C分析をやった、という状態に陥りやすいため、注意が必要です。

3C分析で重要なこと(コツ)は、たったの2つです。これから3C分析を手がけるかたは、この2点には十分に留意してください。

3C分析は市場・競合・自社の順で進める

本記事の中でも繰り返し触れてきましたが、3C分析は、市場(Customer)→競合(Competitor)→自社(Company)の順に進めましょう。

3C分析は、一番情報が多い自社の分析からはじめがちです。自社の分析から始めてしまうと、現状見えていない部分の分析を見落とすことが多くなるため、おすすめできません。

3C分析では「変化」に着目すること

3C分析の、市場・顧客では特に「変化」に着目してください。これまで起きてきた変化と、これから起きうる変化に分けるとうまくいきます。

3C分析の競合では、これまで起きてきた変化に対して競合がどうやって追従しているかを知ることが重要です。ここまでうまく進めることができれば、3C分析の最後の自社の分析がうまくできるようになります。

3C分析の例

3C分析は、新規市場参入や、既存市場での戦略見直しのときに使います。

新規市場参入や既存市場での戦略見直しの機会に、3C分析を使いこなせるように、日常から3C分析を使う練習をしておきましょう。3C分析の練習は、「ある市場の構造を理解する」ときに最適です。

3C分析の例として、山奥の旅館に挑戦してみましょう。

3C分析では、市場の分析から始めます。
・近年は山ブームで、宿泊を伴う山登りをする人が増えてきた
・1人ではなくグループで山登りを楽しむ人が以前よりも増えてきた

次に3C分析の競合について調べます。
・近隣に旅館は無い(変化なし)
・別地域の観光地が競合にあたり、PR活動を積極的にする観光地が増えてきた(新規顧客の確保)
・山登り以外の娯楽を観光地として提供する地域が出てきた

最後に自社について調べます。
・料理がおいしく、リピーターが口コミで新規顧客を連れてくる強みがある(新規顧客をリピーター化させる仕組みができている)
・料理人の高齢化にともない、事業継続できない可能性

上記の3C分析は、5分で実施しました。変化に着目して、市場・競合、そして自社の順で分析します。競合が市場の変化にうまく対応している部分をみながら、自社が競合にどのように対処するかを検討します。

この3C分析なら、自社の旅館でもPRすることで新規顧客を呼び込み、リピーター化する可能性がありそうです。ただし、料理の質の担保か、それ以外の顧客満足度を高める付加価値サービスが必要です。

3C分析を使いこなすためには、このような日々の訓練も十分にしておきましょう。

さいごに

3C分析の概要とやり方についてまとめました。良い3C分析をするためには、市場(Customer)→競合(Competitor)→自社(Company)の順で分析することと、「変化」に着目すること。この2点に注意しましょう。

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