リレーションシップ・マーケティング(関係性マーケテイング)とは?|マーケティング用語集
インターネットが大きく企業のマーケティング手法を変えています。
インターネットの登場により、企業の製品情報やソリューションも簡単に見つけられるだけでなく、人を介した営業やマーケティング活動も徐々にメールやWebを活用した活動も積極的に採用されています。
同時に従来通りの製品中心のアプローチでは、長期にわたって十分な利益を確保することが難しくなってきました。企業ではお客さまとの関係に着目したリレーションシップ・マーケティング(関係性マーケティング)に着目しています。
リレーションシップ・マーケティング(関係性マーケティング)とは
リレーションシップ・マーケティングはそのままカタカナで使われることがほとんどですが、時には日本語で関係性マーケティングと訳されることもあります。
リレーションシップ・マーケティングは、長期に渡ってお客さまとの良好な取引を継続し、企業の利益を最大化することを目的としたマーケティング手法です。お客さまからの一時的な売上を重ねるよりも、満足していただいたお客さまからの継続した取引きを通じて、お客さまのロイヤリティや企業や製品のブランドを創りだします。
長期に渡ってお客さまとの良好な関係を構築するリレーションシップ・マーケティングの概念の根底には、LTV(顧客生涯価値)があります。
市場における競争や淘汰が進み、今では製品志向の販売やマーケティングでは、長期的に差別化したり、継続して安定した利益を確保することが年々難しくなっています。企業では、お客さまの視点をより重視し、ニーズにあった製品やサービスを提供すると同時に、購入後もお客さまの満足度を高め長期的かつ良好な関係(リレーション)を築くアプローチを取るようになりました。
インターネットがリレーションシップ・マーケティングを加速する
最近では、見込み客の獲得やマーケティングデータの取得など、マーケティングのアプローチも急速にデジタル化やインターネットの利用へとシフトしています。ソーシャルメディアの登場により、その流れはさらに加速しています。
Web、ブログ、メール、ソーシャルメディア、データベースなどのインターネットを活用したマーケティングツールはもはや企業のマーケティングには欠かせません。
企業がインターネットを活用すれば、お客さま一人ひとりに直接コンタクトできたり、ログや発言などから行動やフィードバックの取得が素早く可能になりました。
インターネットのこのような特徴を活かせば、実施したキャンペーンの結果の様子を1時間単位で把握することも難しくありません。必要に応じてマーケティング予算を変更するなどの素早くアクションができるようになりました。
それと同時に顧客獲得コストや顧客の収益性、キャンペーンのROI(対投資効果)も把握でき、企業経営の観点からも素早い意思決定が可能になりました。
このようなインターネットの特性を活かした手法やアプローチは、お客さまとの長期にわたる関係を重視するリレーションシップ・マーケティングには欠かすことができません。
インターネットがリレーションシップに与える試練
インターネットは、マーケティング担当者に新しい機会も提供してきました。
Web解析やソーシャルメディアの専門家、データベース・マーケティングやメールマーケティングまで、幅広いインターネット活用ができる一方で、インターネットの活用方法やそれに伴う専門知識と経験が要求されるようになりました。
リレーションシップ・マーケティングでは、ブランディングやマーケティング戦略、製品管理といった従来のマーケティングの専門性に加えて、展示会、セミナーといったオフラインのキャンペーンの運用管理までの全てが横断的に求められています。
当然この全てをこなせるスーパー・マーケターは、なかなか存在しません。
企業では通常、Web担当、メール担当、企画担当、製品担当、展示会担当など、マーケティング部門内の組織をそれぞれの専門担当に分けて業務を行います。
このように機能別・チャネル別にマーケティング部門内の担当者の役割分担をすると、例えばある特定業種のお客さまを対象としているにもかかわらず、オンラインとオフラインで独立したキャンペーンを実施してしまうなど、キャンペーン間の連携やシナジー効果が出せないという課題に直面します。
このような独立した機能別・チャネル別の組織構成は、新規顧客の獲得は従来通り可能です。しかし長期で良好な関係を重視するリレーションシップ・マーケティングでは、お客さまへのブランドの浸透が弱くなり、お客さまのとの長期にわたるリレーションはなかなか勝ち取れず、長期に渡る良好な関係の構築や、継続的な取引きは期待できません。
リレーションシップ・マーケティング実現のためのマーケティング組織とは
リレーションシップ・マーケティングを実現するためには、新規顧客の獲得だけではなく、他の製品やサービスの購買など、継続的な取引が必要不可欠です。そのためには、顧客のライフサイクルに着目したマーケティング体制を構築しなくてはなりません。
顧客のライフサイクルを意識したアプローチでは、Webやメール、製品や展示会などのマーケティングの機能をミックスして、あるチームは新規顧客の獲得に注力し、またあるチームは顧客の維持と深堀りに集中するような組織が必要です。
そのためには、まずはお客さまと自社の関係が、お客さまのライフサイクルのどの段階にあるかを見極め分類し、それぞれの段階の特定ニーズを絞ったマーケティング活動を展開します。購買後のお客さまのうち、自社の製品やサービスで利益率が高いものを推奨したり誘導しながら、継続的な取引きが続くような活動をします。
リレーションシップ・マーケテイングが十分に機能している企業のマーケティング部門では、新規顧客獲得、既存顧客の維持や深堀りのそれぞれのチームを形成し、各チームにはWeb、メール、ブランディング、ダイレクト・マーケティング、製品管理などの各分野のエキスパートから構成しています。
まとめ|リレーションシップ・マーケティングはお客さま志向で柔軟に
ある分野で成功している企業では、リレーションシップ・マーケティングが十分に組織に定着しています。製品別やマーケティング機能別ではなく、お客さまのライフサイクルに着目した顧客志向のアプローチを取り入れた組織構造をしています。
また、インターネットを活用して、変化に素早く反応しながら、必要に応じて組織やスタッフに新しいスキルの獲得やその活用を目指しながら、順調に事業を伸ばしています。