プル戦略、プッシュ戦略ーどちらが注目されているマーケティングスタイル?

2013年04月23日

マーケティングの戦略やアプローチには、さまざまなフレームワークや切り口がある。4Pや3C新しいBtoBマーケティングのフレームワークなど、時代や競争環境の変化により、注目されるフレームワークはさまざまだ。

マーケティングのプル戦略、プッシュ戦略もそのひとつである。マーケティングのプッシュやプルは、企業(販売元)からみた顧客の歩み寄り方を示す。企業(売り手)からの売り込み型のマーケティングはプッシュ戦略、顧客(買い手)が能動的にアプローチするように仕掛けるマーケティングがプル戦略と分類される。

最近では、プル戦略とプッシュ戦略はそれぞれ、インバウンド・マーケティングとアウトバウンド・マーケティングとして議論や比較されることが多い。プルvs.プッシュ、インバウンドvs.アウトバウンドという語句の対象的な位置づけから対比されるのであろう。みなさんも一度は耳にした言葉ではないだろうか?

モノや情報、広告がいたるところにあふれる中、時勢を追えばプル戦略やインバウンド・マーケティングが注目されているよう感じる。みなさんの会社では、どちらに注力しているだろうか?

本日は、対比的なプルとプッシュ、インバウンドとアウトバウンドと、企業のマーケティングの関係について解説していく。

マーケティングはプル戦略とプッシュ戦略のどちらがお似合い?

マーケティングにおいてここ最近、プッシュ型、アウトバウンド、プロダクトアウトといった、企業側からの積極的な情報発信や営業活動は理想のアプローチととらえられていない。プル戦略、インバウンド、マーケットインなどの言葉が、マーケティング・アプローチとして注目されている。

プル型戦略のマーケティングでは、(見込み)顧客が自ら売り手にアプローチしてくるように仕掛けるマーケティング概念である。この対比的な表現がプッシュ型戦略のマーケティングであり、従来のテレビ・コマーシャルや広告・宣伝として自ら顧客に訴えかける手法を好む。

プル型戦略のマーケティングが注目を集める理由には、時代的な背景と、メディアの変革が大きな理由だ。

インターネットが普及し、ビジネスや個々人の生活にまで浸透した。その結果、多くの情報への接触が容易になり、あらゆる情報があふれた。このような氾濫する情報の中では、広告・宣伝としてプッシュ型戦略のアプローチを行うよりも、プル型戦略の方が、コストや効率の面で効果的であると考えられている。

検索情報と広告が組合わさった最近のSEM(サーチエンジン・マーケティング)はひとつの好例だ。顧客が氾濫する情報の中から検索し、その結果に便乗する形で、顧客の求める良質なコンテンツ(適した情報・ソリューション)が提供される。つまり、特定情報に関心の高い見込み顧客にピンポイントでアプローチできる。

余談ではあるが、プル型と言っても、企業が顧客を無理矢理引っ張ってくる(プルしている)のではなく、顧客の自発的な行為を後押ししているので、ひょっとしたら(背中を)「プッシュ型」と呼んだ方が適切なのかもしれない。

代表的なプッシュ戦略のマーケティング

プッシュ戦略のマーケティング戦略を深めるために、ここでいくつか例を出して紹介しよう。

プッシュ戦略のマーケティングは企業が主体となって、半ば強制的に情報発信する。テレビCMなどの広告宣伝、バナー広告、ダイレクトメール、メール配信、FAX などはプッシュ型のアプローチである。

マスに対して露出をするマス広告モデルと、自社のデータベースにある顧客情報を元にセグメンテーションを行い、適切な情報を展開するメールマーケティングやテレマーケティングとに二分される。

前者は顧客情報が無い状態で行うマスマーケティングであり、後者は保有する顧客情報に対して情報を展開するいわゆる「アウトバウンド」マーケティングである。

代表的なプル戦略のマーケティング

プル戦略のマーケティングでは、自社の製品やサービスの宣伝が中心となる広告っぽさを全面に押し出さない。

ビジネスの課題に対する解決策を提示したり、課題そのものを認識させるいわゆる啓蒙型・教育型のコンテンツを提供するアプローチが、プル戦略で用いられる手法だ。

このような情報を自社のWebやブログを通して発信しながら、SEOやSEMで効果を高め、さらにソーシャルメディアを利用して訴求する範囲を広めたり、メッセージが市場への定着を加速するアプローチをとる。

マスに訴求する一部のプッシュ戦略のマーケティングに比べれば、そのコストも安い。

まとめ:プル戦略とプッシュ戦略は対比すべきでない

マーケティングのプル戦略とプッシュ戦略は、言葉とその内容をみれば対比できる。しかし全体的なマーケティング活動の最適化を考えた場合、どちらが良いか?という視点でみるべきではない。どのように補完すべきか検討すべきである。

プル戦略で見込み顧客を呼び寄せながら、プッシュ戦略で見込み顧客の購買意欲を高める(リードナーチャリング)組合わせも考えられる。

マーケティングの用語やフレームワーク、切り口だけを見ていると、視野が狭まり最適なマーケティング活動のアプローチを鳥瞰的に見通せなくなることもある。

マーケティングのゴールを設定し、その手法やフレームワークのトレンドを鳥瞰的にみながら、常に最適なアプローチを考えよう。マーケティング・カンパニーと呼ばれている会社では、必ず実践している。

あなたの会社でも実践すれば、マーケティング効果を最大化する結果を導く近道となることは間違いない。