マーケティングオートメーション(MAツール)と名刺管理ツールを連携して利用するお客さまが、ここ最近、一気に増えました。名刺管理ツールの導入が進むに連れて、企業での名刺の取扱い方法や、顧客情報の管理方法がかわってきました。
名刺管理ツールの概要
マーケティングオートメーションの利用例を解説する前に、名刺管理ツールについておさらいしておきましょう。
名刺管理ツールとは?
名刺管理ツールとは、紙の名刺をデジタル化して名刺情報を保存するクラウドサービスです。名刺をデジタル化することで、お客さまの名刺情報を単に管理するだけでなく、社内で共有することで、営業活動を始めとするビジネスに役立てることを目的としています。
名刺管理ツールには、スマホ用のアプリと、法人で活用するクラウドサービスの2種類があります。以前から利用が進んでいたスマホ用アプリに加えて、最近では、法人で活用するクラウドサービスの利用が増えました。
名刺管理ツール以外との比較
名刺管理をする方法は、名刺管理ツールだけにとどまりません。
例えば、Excelで名刺情報を管理する方法もあります。過去のセミナーの出席者、展示会来訪者などの記録と管理をExcelにまとめている企業も多くあります。Excelの名刺管理は、コストが安いメリットはありますが、同時編集できないため複数人での利用が困難、個人情報持ち出しの危険、などのデメリットがあります。
Excelで顧客情報を管理する方法やテクニックを「Excelで顧客管理する方法とテンプレートが不要になるExcelの技」でまとめました。みなさまのご参考になれば幸いです。
Excelで名刺情報を管理する場合には、自社で紙の名刺情報をExcelに入力する必要があります。名刺管理ツールでは、名刺管理ツールのサービスにて、紙の名刺情報を名刺管理ツールへとデジタル化します。
業者に名刺のデータ化を依頼する
紙の名刺情報をデジタル化するだけの業務委託サービスがあります。展示会や自社セミナーなどで獲得した名刺をCSVなどのフォーマットにデジタル化するために、以前はよく利用されていました。作業完了まで時間がかかるだけでなく、費用も1枚あたり数十円で決して安いとは言えません。
名刺管理ツールは、業者に比べると短時間で名刺のデジタル化ができるだけでなく、費用も業者に比べると一般的に安くなる傾向にあります。
名刺管理ツールの導入が進む背景〜紙の名刺をデジタル化して共有する理由
名刺管理ツールを導入する背景を探ります。
営業活動で役立てる
名刺管理の導入を検討する背景には、紙の名刺管理の有効活用があります。多くの企業で、お客さまからいただいた名刺は、各社員の机の中にある名刺入れにしまっているだけの状態になっています。これでは、名刺情報は社内で共有できません。
名刺情報を共有することは、営業活動で大きなメリットがあります。
名刺管理ツールを使って、社員の名刺を共有すると、社内で保有するある企業の名刺情報を一覧できます。
ある営業案件で、提案がなかなか通らずに先方担当者の上司(部長)に接触して、以降や検討状況を確認し、場合によっては、直接提案もしたいところです。しかしながら、営業担当者は先方の部長と面識がありません。名刺管理ツールで先方企業の名刺情報をみたところ、社内で先方の部長と面識がある人がいました。その人経由で、先方営業部長に接触して、提案が通らない現状を打破できる可能性があります。
名刺管理ツールで、いただいた名刺情報を共有するとこのように、社員が持つ関係性を営業活動に活かせるメリットがあります。
新規案件獲得よりも、過去に接触した顧客の商談化が容易である
新規顧客の獲得は、ビジネスを継続するために欠かせません。しかし、新規顧客の獲得は、過去に接触したことのある顧客からのほうがずっと簡単です。
新規のお客さまから契約をいただくためには、あなたの会社、商品、営業担当者本人、この3つの信頼を獲得しなくてはなりません。法人営業では、長期における良好な関係の可能性を重視します。過去に名刺交換をしたことがないお客さまへの営業活動は難しいと考えられている理由です。
名刺管理ツールで蓄積する名刺情報は、過去に名刺交換をしたことがないお客さまに比べると、商談化や成約につながる可能性がまだまだあります。だからこそ、名刺管理ツールで蓄積する名刺はマーケティングや営業活動で活用すべきです。
しかしながら、社内にある名刺情報のおおよそ7〜8割には、営業を含む社員の誰もが一年間の間に接触していません。
当社は創業から2,000社以上のお客さまと接触してきました。およそ7〜8割の社内に蓄積する名刺が放置されている状況を目の当たりにしてきました。
名刺管理ツールに蓄積する名刺をデジタル化し、マーケティングオートメーションにデジタル化した名刺情報を取り込んで、マーケティングオートメーションの機能でお客さまに接触することで、新たな商談を見つける工夫を手がけている企業もあります。
マーケティングオートメーションの導入成功事例に登場するほとんどのお客さまも、名刺管理ツールを利用しています。
当社が提供するマーケティングオートメーション「Kairos3」の導入事例は、当社の「マーケティングオートメーションKairos3の導入成功事例」にまとめてございます。毎月、導入成功事例が増えています。みなさまの業務のご参考になれば幸いです。
個人情報漏洩リスクの低減
名刺管理ツールは、個人情報漏洩のリスクを低減します。紙の名刺も明らかに個人情報です。
2017年5月の個人情報保護法の改定により、すべての企業に個人情報保護法の対象となりました。従業員がお客さまからいただいた紙の名刺を紛失した場合でも、報告義務があるうえに、罰則に対象にもなります。社員が持ち物の紛失や盗難により、紙の名刺を紛失した場合でも、これに該当します。
名刺管理ツール利用時の名刺情報の漏えいリスクは、社員の持ち物の紛失や盗難のリスクよりも圧倒的に低くなります。名刺管理ツールの閲覧やデータ取得などのアクセス制限など、セキュリティ機能も充実しています。
個人情報を正確に維持する
名刺管理ツールは、マーケティングオートメーションで活用するお客さま情報を正確にします。マーケティングオートメーションを使ってメール配信をするときに、差し込み機能を活用して、営業担当者名でメールを配信できます。
差出人やメールの本文中に、お客さま名や営業担当者名を差し込むことで、受信者の反応がよくなることが知られています。マーケティングオートメーションを利用する多くの企業で、この機能を使っています。
差し込み機能の利用する際には、お客さまの会社名やお名前の間違いは避けなくてはなりません。
しかしながら、お客さま情報を、お客さまが自ら登録した場合や、社員が手入力した場合には、差し込むお客さまの情報に間違いがある可能性は否めません。このような間違いを減らすために、名刺管理ツールを使って、お客さまの最新の名刺情報をマーケティングオートメーションに取り込む使い方が増えてきました。
お客さまの名刺情報を外出からでも社内でも検索できる
名刺管理ツールを導入する最大のメリットは、お客さまの名刺情報を検索できることにあります。
大量の名刺を整理して、会社ごと、部署ごとにまとめてくれます。また、外出先からもスマホのアプリを利用して、名刺の検索と閲覧が可能です。
紙の名刺の検索はほぼ不可能です。名刺管理ツールを使って、紙の名刺をデジタル化することで文字検索できます。
マーケティングオートメーションと名刺管理ツールとの連携活用例
うちにはリードがまったくない。という会社にも、実はリード情報が眠っているという事実がある。
定期発信するメルマガで名刺情報との接点を構築
名刺管理ツールでデジタル化しただけでは、名刺情報の8割近くに接触できない傾向にあります。この8割に効率よく接触する方法は、メルマガなどのメール配信を通じて、名刺情報と定期的に接触します。
メルマガの工夫次第で、メルマガを受信したお客さまからメールの返信をいただいて、商談につながることもあるようです。マーケティングオートメーションの導入成功事例のお客さまでも、営業が名刺管理ツールから取り込んだお客さまの名刺情報に対して、メルマガを届けるマーケティング施策を実施しています。
セミナーや展示会の来訪者をすばやく取り込む
展示会やセミナー後に、来場や参加のお礼メールを送ることで、リードナーチャリングのきっかけにすることもあります。特に展示会では、来場者は数多くのブースを回るため、あなたの会社を覚えている可能性は、ときが立つに連れて低くなります。そのため、展示会直後にお礼メールで接触する企業が増えています。
メールを送るためには、紙の名刺情報のデジタル化が必要です。紙の名刺情報をいち早く大量にデジタル化するためのツールとして、名刺管理ツールが活用できます。
当社でも名刺管理ツールを、2種類ほど活用して、イベント後に迅速にメールで接触できる仕組みと工夫をしています。
過去に失注した案件の名刺に定期的に接触する
名刺管理ツールで過去の失注案件から、商談を生み出す活用をしている企業もあります。過去に失注しても、導入した製品が不満で乗り換えを検討し、その際の選定対象としていただいただくこともあります。自社で導入しなくても、知人や取引先企業にあなたの商品を紹介してくれることもあります。
だからこそ、一度失注しても、名刺管理ツールとマーケティングオートメーションを利用して、お客さまに定期的に接触すべきです。
名刺管理ツールとマーケティングオートメーションの実際
当社での名刺管理ツールの活用をご紹介します。
導入した名刺管理ツール
名刺管理ツールは、タブレットとスキャナから構成されています。スキャナの近くにシュレッダーを置いて、スキャンした紙の名刺はすぐにシュレッダーで破棄する運用をしています。
名刺管理ツールは2種類利用していますが、利用用途を分けて使っています。
マーケティングオートメーションと連携する
マーケティングオートメーションとの連携は、とてもかんたんです。かんたんな初期設定に加えて、1クリックで名刺管理ツールから必要な名刺情報をマーケティングオートメーションに取り込めます。
さいごに
名刺管理ツールとマーケティングオートメーションの連携と活用例をご紹介しました。マーケティングオートメーションの導入活用事例や、マーケティングオートメションセミナーでも、名刺管理ツールとの連携機能や、導入事例をご紹介しております。みなさまのお役に立てますと幸いです。