会議は会社の生産性を左右します。全員そろって会議をするよりも、少人数が集まって立ち話や、メールや電話で解決した方がずっと効率的になることもあるでしょう。
確かに会議は、みんなの時間を浪費していることもあります。また、会議は必要性というよりも文化や歴史的な背景で会議が義務化していることもあります。
会議はルールの設定や入念な準備によって、会議の参加者や会社全体の生産性を大きく向上することもあります。
マーケティングや営業部門の方は会議を開催する機会が多くあるでしょう。生産性が高い理想的な会議の運用のコツを覚えておくと損はありません。
0.代表的な会議の種類と目的を理解してこう
会議は人を集めて参加者の時間を使って行うものです。そのため、会議そのものの生産性が高く、会議を開催する価値があり、参加者を巻き込むような会議であることが理想です。このような会議には、誰にも明らかな目的があります。つまり会議の目的をしっかり設定しておくことが、理想的な会議をするための第一歩です。
会議の目的は大きく3つに分類できます。まずは会議の主な目的について理解をしておきましょう。
A.ものごとを決定するための会議
与えられた情報を元に何かを決定したり、問題点を明確にしてその打ち手を導き出したりする会議がこれにあたります。
会議で使うものごとを決定するための判断材料となるインプットとなる資料は、データを整理し、必要に応じてグラフにまとめるなどの準備をしておくことが望ましいでしょう。
同時に、会議の準備段階で、何をどのようにどこまで決めるかを決定しておきましょう。
B.創造するための会議
会議の参加者にあるテーマに対して、色々と意見やアイデアを述べてもらうことが目的で開催する会議があります。代表的なこの手の会議の手法がブレーンストーミングです。
会議の参加者が出すアイデア同士が組み合わさって、さらなる良いアイデアに変わることを目指します。1人で考えるよりも、大きな効果を期待できます。
創造のための会議では、最終的に出たアイデアを整理して、実現可能なアクションに落とし込む必要があります。
C.情報共有など伝達が目的の会議
チームや組織の現状を会議の出席者が把握し、出席者に指示を出すなどを目的とする会議です。指示があいまいな場合や指示そのものに疑問がある場合には、会議の場で確認します。
会議の議事録には、指示の内容などを書き留めておきましょう。
1.準備段階で会議の目的と開催の必要性を見極める
まずは会議の準備から始めましょう。その前に、あなたが開催しようとしている会議そのものについて、「その会議は本当に必要ですか?」と考えてみましょう。
また、「その会議を開催するために本当に必要な人だけに声をかけているか?」あらためて確認してみましょう。会議をするためには、会議の参加者の時給換算分x時間の費用が発生します。このコストは思ったよりも大きなものです。
「この会議はいつもやっているから」「顔を合わせることが重要である」という考えは、会議の参加者全員の時間を浪費してしまいます。
レポートの報告会などの情報共有は、メールなどの代替手段も活用できます。ただもし、その会議の目的が、参加者から率直な意見を聞くことである場合には、メールは会議よりも効率が良いとは言えません。
会議をキャンセルすべき代表的な場合をあげておきます。
1-1.会議に必要なメンバーが出席できない時
会議のスケジュール調整は簡単ではありません。しかし、会議に本当に必要なメンバーが出席できない時は仕方ありません。
特に、会議に参加すべき主要なメンバーが、会議における情報などのインプット役になる場合には、
会議に必要なメンバーが出席できない時。リスケは非常に痛いことだが、その主要なメンバーが参加してインプットすることが重要である場合には、リスケジュールしよう。
1-2.会議のアジェンダが事前に共有されていない時
会議の準備は主催者側だけではありません。会議の出席者も会議の準備しておくことで、生産性の高い理想的な会議を開催できます。
生産性が高い会議をするためには、会議の前に会議の出席者にアジェンダの共有ができており、会議でどのようなことを話し合うかをあらかじめ理解しておいていただく必要があります。会議のアジェンダがあってはじめて、会議の出席者は会議の準備をすることができます。
会議のアジェンダは会議の1〜3日前に会議の出席者と共有されていることが理想です。
1-3.会議の目的が明確になっていない時
会議の準備段階で、会議の目的がはっきりしていない時、会議は開催すべきではありません。
会議の準備でアジェンダを作る時に、何を(WHAT)、なぜ(WHY)、どのように(HOW)、いつ(WHEN)解決するかを明確にしておくとよいでしょう。
1-4.会議以外の方法が有効である場合
会議の目的が情報共有などの伝達である場合、メールや電話という手段を使えば会議を開催することの代わりになることもあります。もちろんこのようなケースでは会議を開催すべきではありません。
その会議には代替手段があるかどうかを考えてみましょう。
1-5.会議に必要な資料が事前に提供できない場合
会議の参加者が、会議に必要な資料を事前に見ておくことで、会議の時間を短くできるだけでなく、参加者の発言の質が高くなることが期待できます。
会議に前もって資料が共有されていない場合は、会議の準備不足と言えるでしょう。会議で発表者が資料を読み合わせてしまうと、会議の出席者の時間を有効に活用できないだけでなく、会議の出席者から質の高い発言を引き出しにくくなります。
1-6.会議の開催場所を確保できない場合
会議には会議室などの場所が必要です。会議室が確保できたとしても、プロジェクタやホワイトボードなどの必要な機材がなければ、会議の目的を効率よく達成できるとは言えません。
1-7.他の影響で会議そのものが不要になる場合
他の要因が、あなたの会議の目的を満たし、会議の目的を達成する必要がなくなることがあります。例えば、会社の方針変更により、これまであった課題に取り組まなくてもよくなる場合などがこれにあたります。
2.会議に必要な準備をする
会議の準備では会議の目的の設定と、会議の目的に合わせたアジェンダの作成は欠かせません。
会議のアジェンダによって、開催する会議の構成や構造が決まります。会議のアジェンダを作成するためには、もちろん会議の目的は明確になっていないといけません。
2-1.会議に必要な要素の確認
会議のアジェンダを作成する時には必ずOARRを確認するようにしましょう。会議に必要なOARRとは、
会議のアジェンダに必要なOAAR
会議の目的(Objectives) 会議のアジェンダ(Agenda) 参加者の役割(期待する役割)(Role) 会議のルール(Rule)
会議に必要なOARRは、会議のアジェンダを作る時には必ず考慮しておく必要があります。参加者の目的とアジェンダは、比較的多くの会議で実行できています。
参加者の役割は、言い換えれば参加者に期待することです。司会進行、議事録係、ホワイトボードへの意見取りまとめ、などがあります。それ以外にも、ある立場から意見や資料をまとめていただく、発表や発言していただくなどの役割があります。
会議のルールは、会議進行のための決まりごとです。例えばブレーンストーミングをするような会議では、事前にアイデアを用意してきてもらう、他人の意見を否定しない、などが会議のルールにあたります。
2-2.会議のアジェンダを作成しよう
会議の準備におけるアジェンダの重要性はこれまで繰り返し述べてきました。会議のアジェンダの目的は、会議の参加者に対して会議の趣旨や会議の目的を明確に共有することです。
会議のアジェンダでは、会議の趣旨や会議の目的を実現するための項目を整理します。会議のアジェンダはダラダラと長い文章を書くのではなく、簡単な表現で短い文章にまとめます。
会議のアジェンダの例
議題:時期開発項目の優先順位づけ
開催日時・場所:サボテン
出席者:(司会、議事録係などを明確に)
アウトプット:(本会議において決定したい事項)
会議の論点:現状の進捗の報告(10分 by HD) 問題点の洗い出し(15分 by HD) 問題点の原因と分析(20分) 今後の対応について(10分) 配布資料:プロジェクト現状のまとめ
2-3.必要に応じて会議中の担当を決めておく
会議の進行に必要な担当者を会議のアジェンダを作成する段階で決めておくと便利です。例えば、会議の司会進行、議事録を取る人(書記)、タイムキーパーなど、どの会議にも必要な役割はあらかじめ担当を決めておいて、会議のアジェンダの作成時にお願いしておきましょう。
ブレーンストーミングなどの会議では、ホワイトボードを利用することもあります。ホワイトボードに意見を書く担当者も決めておくと便利です。
3.会議の詳細なルールを決める
会議の効率や効果を高くするためには、会議を運営するリーダーがその役割をしっかりと果たしていることにつきます。会議も組織と同じく、会議のリーダーがしっかりしていることで良い会議を実施することができます。
3-1.会議の進行
会議の中で、会議の目的を達成するための適切な議論が時間通りに進んでいるか、みんなが会議に参加しているか、もし会議の議論が脱線してしまったら「それは面白いですね。しかし会議の目的とは少しずれる話題ですので、後ほどこの話題に戻ってきましょう。」などとうまく会議をファシリテーションできると良いでしょう。
3-2.会議の参加者から建設的な発言をうながす
会議は参加者同士のコミュニケーションです。会議では会議の参加者に何らかの発言をしていただくことは重要です。会議中に会議の参加者の意見を集約したり合意をとったり、場合によってはグループに分けて議論をしても良いでしょう。
アイデアがひどかったとしても、そのアイデアをすぐに却下するようなことは避けよう。
心からの発言ができる環境を作りましょう。
4.会議の締めくくりに必要なルール
会議が終わりに近づき、会議のアウトプットをまとめます。同時に、次の会議をよりよく開催できるために工夫をしてみましょう。
4-1.アクションプランをまとめよう
まずは会議で決めたことを議事録としてまとめましょう。会議の中で決定できなかったことや、議論を次回以降の会議に先送りすることも議事録として残しておきます。
会議での合意事項や結論をまとめると同時に、会議の後で実施するそれぞれのアクション(ToDo)を明確にしておきましょう。アクションは誰がいつまでにやることを明確にしておくことが重要です。
会議で決まったことを必要な人と共有しましょう。会議を開催することは簡単です。しかし会議の責任者であるなら、会議で決まったことを誰と共有して、その後しっかりとフォローアップすることで、会議の質を高くします。ぜひ会議のルールに盛り込んでおきましょう。
4-2.会議のレビューをする
もっと生産性の高い会議を運営するためには、参加者からのフィードバックも欠かせません。会議の最後に、会議に参加した方から、その会議が有用だったかを確認することを心がけましょう。
会議の有用性チェックのポイントの例
会議のゴールがあらかじめ設定されており達成できたか? 会議に必要な資料が事前に配布されていたか? 会議で参加者が活発に議論できていたか?十分に協力できていたか? 会議は予定時間内に終了したか? 会議の進め方は適切であったか?
会議の参加者からのフィードバックを元に、改善するポイントが明らかになれば次回以降の会議のやり方を工夫しましょう。会議の参加者からのフィードバックは、あなたの会議を運営するテクニックやスキルを向上するために欠かせません。
5.ワンランク上の会議を運用するために
会議の形式ばかりに着目して会議をやることが目的になってしまうと、会議の内容をしっかりと煮詰めることができません。また、会議の時間や回数だけに着目している会議も本質的であるとは言えません。
会議の準備や会議のルールをしっかり定めて、それらを改善するための工夫をしていれば、会議の生産性はグッとよくなります。会議のルールが組織全体に定着できるよう、会議の方法やルールを決めても良いかもしれません。