仕事ができる人ほど「忙しい」と言わない傾向にあります。不思議なものです。
仕事ができる人は才能が豊かであり、仕事のスキルが身についています。そのため重要かつ多くの仕事を素早くかつ正確にこなすことができるのでしょう。
仕事のスキルは仕事をすることで身につくとも思いますが、仕事のやり方を学ぶことで仕事のスキルが身につきやすくなるとも思います。
仕事から学ぶ教訓〜Lessons Learned
どんどん仕事をして、スキルを身につけ、より大きな仕事ができるようになる中で学ぶことがあります。まずは日々の仕事の中から感じるだろう「気づき」についてまとめました。
1. 時間は思ったより早く進む
朝会社に来て1日の自分の仕事の予定を立てたのに、夕方になっても予定の半分程度しか仕事が進んでいない!という経験はどなたでもあるでしょう。
1日の仕事には、予期しなかった緊急の用件などによって、やっていた仕事が中断されることもあります。
仕事の計画では余裕をもたせましょう。1日に確実にできる仕事は、およそ4〜5時間程度で完了することが見込める量なのです。
2. 大きな仕事は、小さく分割して考える
大きな仕事というものは、小さな仕事の組み合わせからできています。
例えば、会社を挙げて出店する大型展示会、多くのお客さまをご招待する会社の大型イベント、いずれも確かに大きな仕事です。こうした大きな仕事には、企画、予算策定、会期前準備、実行、会期後のフォロー、など、数多くの仕事に分解することができます。
自分の仕事も、このように分割して考えることで、大きな仕事や複雑な仕事を確実にこなせるようになります。小さな仕事をこなすことができたら、次は、これまでにできた小さな仕事を組み合わせることで、これまで以上に大きな仕事ができるようになります。
ちょっと大きな仕事を分割して実行していく際には、分割した仕事へのインプット、その仕事のアウトプット(成果物)の関係に着目しましょう。ある仕事のアウトプットが、別の仕事のインプットとなるなら、着手する仕事の順番に制約があります。
アウトプットとインプッットの関係をしっかりと見極めることができるようになれば、大きな仕事を「素早く」実行できるようになります。大きな仕事を着実にこなすコツと言えるでしょう。
3. 計画段階で6〜7割の確率で成功すると思ったら実行してみる
なにごとも、計画を立てることは成功への近道であることは間違いありません。自分自身の考えをしっかりとまとめることもできますし、実行した時のリスクもあらかじめ回避できます。
計画は完璧である方が望ましいですが、100%完璧な計画を立てようとすると、計画することに多くの時間を取られてしまうため、うまいやり方とは言えません。
計画の完成度は、6〜7割くらいの確率でうまくいく!と思ったら、実行してみましょう。その方が、結果的に短い時間で良いアウトプットにつながることが多くなります。
4. 自分で抱える仕事を減らす
「この仕事だったら自分でやった方が早い」と思う場面もあるでしょう。スキルがつけばつくほど、こう感じることが増えてくるでしょう。
自分でやる仕事が増えれば増えるほど、他の仕事になかなか手をつけられなくなります。
1つの仕事のスキルを深めるためには有効ですが、できる仕事の幅を増やすという点では再考の余地があるはずです。
他の誰かに仕事をお願いするかどうかを考えるときには、自分が想定する8割程度のアウトプットを他の誰かができることを1つの基準としてみましょう。
もしもお願いした仕事のアウトプットが不十分である、つまり8割の完成度のアウトプットを受けることができるのならば、残りの2割をあなたがこなせば良いのです。
こうすると仕事の質を落とさずに、自分の時間を作ることができます。空いた時間で別の仕事をすれば、あなたの生産性はグッと良くなります。
5. 時間と優先順位は切っても切れない
上司やお客さま、同僚などに頼まれた仕事が、予定していた期日通りに終わらない経験は誰にでもあるでしょう。
「時間がありませんでした」という理由はなかなか通用しないものです。
仕事が期日通りに終わらなかった真の理由は「その仕事はあまり重要で無いので優先度があまり高くありませんでした」ということはありませんか?
メールの返信、電話、トラブルなど、他の割り込み仕事のために期日通りにこなせなかったのではないでしょうか?
仕事にかける時間は、あなたの仕事の優先度と大きな相関があります。今すぐしなくてはならないのはメールの返信でしょうか?時間の活用は優先度付けそのものです。
仕事に対するプロフェッショナルの心がけ
仕事のプロ意識に関することをまとめてみました。
6. 自分の時給を認識することで仕事のアウトプットの質を高める
月給から自分の時給を考えたことがありますか?給料を働いている時間で割れば時給が計算できます。
会社から見れば、給料以外に福利厚生費用などのコストがかかっています。そのため、あなたの月給に1.4をかけた数字が会社(雇用主)からみたおおよそのコストになります。
時給に見合ったアウトプットをしているか定期的に自己評価してみましょう。
もしあなたが時給3,000円でアルバイトを雇うなら、どの程度のアウトプットを期待しますか?
あなたが主催する4人x1.5時間の会議のコストはいくらになりますか?それに見合った会議のアウトプットの設定が必要です。
7. 短時間で高い生産性を目指す
人件費は、「時間単価」x「時間」で決まります。同じ時間単価で、同じアウトプットを出すためには、そのアウトプットにかかる「時間」を減らなくてはなりません。
どんな仕事も小さな仕事に分解して、それにかかる時間を短くしながらより良いアウトプットを常に心がけることが、あなたの生産性をあげることにつながります。
8. 長時間労働よりも効率を考える
「あー、仕事が多いなぁ」というときに、残業すればなんとかなる!と短絡的に考えないようにしましょう。
まずは毎日と同じ時間内でより多くの仕事を完了する方法について考えます。
長く働くことでより多くの仕事をしようと考えると、あなたの時間あたりの生産性の向上に繋がりません。
9. 全ての仕事に締め切りを設定する
上司や同僚、お客さまから頼まれる仕事の中には、締め切りの期日がないものも存在します。
このような締め切りのない仕事にも、あなた自身で自ら締め切り日を設定しましょう。締め切りの期日があって初めて、仕事に優先順位をつけることができるからです。
10.優先順位が同点である仕事は無い
仕事が完全に同時進行できない場合は、仕事に優先度があります。完全に同時にこなすことができない複数の仕事では、優先度の「同点」はありえません。
各仕事に対して優先度の順位が同点なくつけることができたならば、その仕事の優先順位こそが、仕事に取り掛かる順番です。
あなたのToDoリストの上から順番にやるべき仕事が並ぶはずです。
11. とにかく記録できる環境を用意しておく
ある時にふと思いついたアイデアなんて、いつまでも、かついくつも覚えておくことはできません。
いつでもどこでもこまめにメモを取るようにしましょう。
メモを取るためのノートがどうしても手元にないような場合には、スマートフォンのメモ帳に記録するか、手書きメモを作ってスマートフォンで写真とるなどして記録できます。
話は少し変わりますが、仕事の期日も忘れがちです。さすがに仕事の期日の全てをメモなどの記録に残しておくのは少々面倒くさいでしょう。
仕事の期日にはToDoリストのアプリのリマインダー機能を活用します。ToDoリストを使っていないなら、カレンダーの通知機能も活用できるかもしれません。
とにかく自分の記憶なんて、そんなにあてにしないことです。
12. 昨日の成功・失敗より目の前の仕事に注力する
仕事はうまくいくこともあれば、思った結果が出ないこともあります。どうしても心に残ってしまいます。それが今手掛けている仕事に影響を少なからず及ぼすこともあるでしょう。
ただ大切なことは、あなたの目の前にある仕事です。
昨日打ったホームランで今日の試合は勝つことはできません。だからこそ今目の前にある仕事に注力しなくてはなりません。
時間をうまく活用する
時間は誰にとっても平等に1日24時間しかありません。時間をこれまで以上にうまく使うことで、あなたの価値を高くすることができます。
13. 重要な会議は早い時間に設定する
ある日の夕方、多くの人が集まるセミナーの講師を生まれて初めて体験する。こんな日は朝からソワソワしてしまうため、その日の仕事の生産性を上げることは難しくなります。
みなさんにもこんな経験があるでしょう。
これは会議でも同じことが言えます。夕方にある重要な会議が気になって、その日の仕事の生産性が低くなってしまうことがあるからです。
あなたが開催できる大事な会議はできるだけ1日の早いうちに設定し、会議以降の時間は優先度の高い仕事に集中し、あなたの生産性を高める工夫につながります。
14. 会議はできるだけ連続して設定しよう
他の部門と仕事をする機会が多い営業やマーケターにとって会議は避けられません。
会議とデスクワークを交互に入れてしまうと、会議と会議の間に入るデスクワークで長時間集中することは経験上難しくなります。
もしも一日に複数の会議が入るならば、会議と会議をできるだけ連続して設定するようにしましょう。
あなたの仕事で、長時間集中する時間帯を作ることができることに加えて、会議の時間がズルズルと伸びない上に、会議の間に別の仕事で中断されることもありません。
15. スキマ時間をうまく活用する
あなたの1日の時間を、例えば30分単位にして計画を立ててみましょう。そして、小分けにした30分のうち25分を仕事に当てて、残りの5分を休憩やメール処理などのすきま仕事にあてます。
例えば、提案書の仕上げに60分を計画した場合、50分(25分x2)を実際の仕事にあてて、残りの10分を休憩や緊急のメール返信にあてます。
こうすることで、計画に入れにくい日々の業務をスキマ時間でうまくこなせるようになり、1日の仕事の計画をうまく実行できるようになります。
16. 日や週単位で緩急をつける
仕事には波があります。展示会やセミナーの前日など、どうしても仕事が集中しがちです。このような仕事の波はなかなか避けられません。
忙しくなる日をあらかじめ見越し、該当する忙しい日には12時間でも徹夜でも働けるよう、早く寝たり飲み会を控えたりと、鋭気を養っておくよう週単位でのスケジュールを設定しましょう。
土日が試合になるプロスポーツ選手などもこの方法を取っています。
仕事の効率を改善する
最後に、限られた時間の中で生産性を極限まで高めるためのスキルや工夫をまとめました。
17. マルチタスクを避ける
マルチタスクとは複数の仕事をほぼ同時に行うことです。マルチタスクは過去の研究からも集中力が散漫になり仕事の生産性があまり上がらないと知られています。できるだけある一定の時間は1つのタスクに集中できるようにしましょう。
タスクの気分転換としてマルチタスクを入れることは有効です。時間帯によってはマルチタスクをOKとする計画を立てるのもよいでしょう。
18. テンプレートを活用する
仕事でいつもやり方が決まっている場合など、共通化したりテンプレートしたりしましょう。メールでも書き出しや内容など定型化できるものはテンプレートとして、メールソフトの署名としてしまいましょう。
会議の開催通知、議事録、週報、お客さまへのアポ取りなど、用途に応じて文章のテンプレートを作成し、ミスや見落としを減らし、効率よく仕事ができるようになります。
19. 準備運動(仕事)をする
早朝一番からマーケティングの年間計画を検討する、などの大きな仕事は避けましょう。
まずその前にメールの返信やニュースで情報収集するなど、簡単なルーチン型のタスクで仕事の調子を上げてから大きな仕事に取り組むと、仕事の生産性があがります。
通勤電車の中でメールをチェックして、会社に着いたら一気に返信を始めるのも1つの手です。
20. 頭を使う仕事と手を使う仕事を分ける
アイデアを絞り出すなどの創造的な仕事と、メールの返信や文書作成などの手を使う仕事は明確にタスクを分けて時間を振り分けたほうがあなたの生産性が高くなると言われています。
一般的には午前中に集中して創造的な仕事をし、午後に手を使う作業をすると良いとされています。
ただし職務や仕事内容によって異なる事も知られています。みなさんに取って最適な時間の使い方を早く見つけましょう。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
「これは使えるかも!」というものがありましたら、部分的にでも早速仕事のやり方に取り入れてみましょう。
(この記事は2014年05月28日に書かれたものを再編集しました)