ネットワーク外部性は、極端に高い市場シェアを獲得する製品やサービスによく見られます。いわゆる「デファクトスタンダード」と呼ばれる製品やサービスの多くでは、ネットワーク外部性の効果が影響しています。
市場で高いシェアを狙う場合や継続的に安定したビジネスを立ち上げるためには、ネットワーク外部性の理解を深め、あなたの製品やサービス戦略に組み込んでいきましょう。
ネットワーク外部性とは
ネットワーク外部性とは、製品やサービスの利用者数や利用率が増えるに従い、その製品やサービスの質やメリット、利便性が利用者そのものに還元される性質や現象です。
ネットワーク外部性の現象がみられる製品やサービスでは、利用者はその製品やサービスの過去や現在の市場シェアだけでなく、今後の市場シェアの流れにも注意を払います。
ネットワーク外部性が働く製品やサービスでは、利用者はその利便性を追求するため、常に市場の流れに敏感になる傾向にあります。
そのため、ある規格やサービスが優位になる気配が見えれば、製品やサービスの市場シェアが急に変動することがあります。
ネットワーク外部性において、利用者数や市場シェアがそのまま利用者のメリットや製品・サービスの質の高さにみられる効果は、ネットワーク外部性の直接的効果と呼ばれています。
一方で、利用者数や市場シェアが間接的に働く場合もあります。ネットワーク外部性によってある製品やサービスの利用者が増えれば、それに関わる製品やサービスが増えて購入しやすくなったり、価格に影響するなど、その製品の価値を間接的に左右することがあります。これはネットワーク外部性の間接的効果と呼ばれています。
ネットワーク外部性の例
ネットワーク外部性の具体的な例をみてみましょう。
ネットワーク外部性の直接的効果の例
ネットワーク外部性の直接的効果の代表例には、SNSや特定電話サービス、オンラインゲーム(対戦型や協力型など)などの通信サービスがあります。
SNSの場合、利用者が増えれば増えるほどサービスの質や利便性があがります。友達数人のみが使うSNSよりも、ほぼすべての友達が利用するSNSの方が、使っていて楽しいはずです。
もう一つの例は、携帯電話などの無料サービスです。同じ通信事業者同士なら通話料が無料の場合、同じ通信会社のサービスを使っている人が多ければ多いほど無料通話できる場面が増えるため、利用者が感じるサービスの価値が高くなります。
ネットワーク外部性は、将来的にあるサービスが優位になるとみると利用者が一気に移動するため、似通ったサービス同士の闘いの場合では市場のシェアが急に大きく動くことがあります。
SNSのトレンドの移り変わりの早さは、ネットワーク外部性が影響していることも大きな要因です。
企業ではネットワーク外部性の直接的効果を意識して、急速にシェアを拡大しながら顧客維持するための製品やサービスの仕様を戦略の柱にしています。
ネットワーク外部性の間接的効果の例
ネットワーク外部性の間接的効果の例も数多く存在します。
例えば、Windows vs MAC OS。
まだまだビジネスで利用者が多いWindowsでは、ワープロや表計算アプリなどビジネスで利用する多くのアプリケーションがあり、家電量販店などに行けば、比較的簡単に手にはいります。Windows の利用者が多いため、数多くのソフトウエアベンダーがWindows対応製品を優先して開発・販売しているためです。
ゲーム機もハードウエアの普及が進めば、対応したソフトウエアが増えて、利用者がどこでもすぐに買えるだけでなく、より多くの種類のゲームを同じハードウエアで楽しむことができます。ゲーム機に関連するゲームソフトは、まさにネットワーク外部性の間接的効果です。
クレジットカードやプリペイドカードもなどの決済手段も保有者が増えれば、決済できる店舗が増えます。これもネットワーク外部性の間接的効果です。
ネットワーク外部性の間接的効果も同様に、我々の身の回りでいろいろとみることができます。
以下の例も、ネットワーク外部性の間接的効果と関係が強いと考えられています。
その他のネットワーク外部性の間接的効果
シェアの高いサービスはその分質が高いと考えられ、普及や利用が進む ある規格が優勢であると聞くと、バンドワゴン効果により、それをサポートする製品の市場シェアがあがる
参考 バンドワゴン効果とはー用語の解説と活用例|カイロスのマーケティングブログ
ネットワーク外部性の間接的効果では、言語としての英語も当てはまると言えます。英語の楽曲や書籍などは最もよく売れますね。ビジネスの標準言語も英語です。
まとめ〜ネットワーク外部性とは
ネットワーク外部性は、間接的効果も含めて考えると、市場シェアが高くデファクトスタンダードと呼ばれているほぼ全ての製品やサービスにネットワークの外部性が影響していると言えます。
あなたもマーケターとしてヒット商品やサービスを開発するなら、ネットワークの外部性は必ず考慮にいれて検討すべきです。