ランチェスター戦略は、営業や販売促進などの戦略にも活用できる市場での戦い方において、非常に参考になります。
市場には必ず競争相手がいます。その競争相手から顧客や市場シェアを奪うのは、ビジネスの最優先事項です。
販売戦略やマーケティング戦略を企画立案する立場なら、ぜひ覚えておきましょう。
ランチェスターの戦略の基本
ランチェスター戦略は、ランチェスターの法則をビジネスにおける企業どうしの戦い方へと応用し、その戦い方をモデル化したものです。中小企業が大きな市場シェアを占める大企業との戦い方や、中小企業が取るべき戦略などを示唆しています。
ランチェスター戦略の元となるランチェスターの法則は、今から100年近く前に提唱されました。当初は軍事目的に利用されており、戦う2つの軍隊の戦闘力を数式にモデル化されたものでした。
ランチェスター法則には、2つの法則があります。それぞれランチェスターの第一法則、ランチェスターの第二法則と呼ばれています。
以下、ランチェスターの2つの法則のポイントを簡単に説明します。
ランチェスターの第一法則
ランチェスターの第一法則は、いわゆる古典的な戦闘、つまり兵士同士の1対1の戦いを前提としています。いわゆる接近戦です。
ランチェスターの第一法則は、兵数が同じである局地戦の場合、個々の兵力が相手よりも勝る場合、兵力が多いと軍事力が高くなることを示しています。
ランチェスターの第一法則はすんなり理解できると思います。
ランチェスターの第二法則
ランチェスターの第一法則を近代的な戦闘モデルに応用した、ランチェスターの第二法則があります。
ランチェスターの第二法則では、武器(兵力)によって広域戦をすることが前提です。例えば、航空機による空中戦などが該当します。
ランチェスターの第二法則では、双方の軍事力を二乗した兵力によって、戦闘の勝敗が決まります。つまり広域戦になると、その武器力よりも兵力が戦闘の勝敗を大きく左右するということを示しています。
ランチェスターの法則から導き出されるランチェスターの戦略とは
ランチェスター戦略は、ランチェスターの2つの法則から導き出されます。
ランチェスターの法則では、兵力がカギを握っていました。それを企業経営や営業戦略に当てはめ、兵力がある強者とそうでない弱者との戦い方へと応用します。
一般的には、強者は経営資源が豊富にある大企業、弱者が経営資源に限りのある中小企業になります。強者と弱者との間には「兵力」に大きな差があります。
弱者のとるべきランチェスター戦略
兵力の差によって戦闘(=市場競争)で負けないためには、ランチェスターの法則にしたがうと「局地戦」を展開すべきです。
局地戦とは、各兵力が1人で複数の兵士を攻撃できないような状況です。地域を限定する、商材を販売する、などの施策によって対象となる顧客セグメンテーションを限りなく絞り込むなどの戦略が必要です。
セグメンテーションとは、区分けや分割することをさしており、文字通り市場をより細かく分類することを意味しています。くわしくは「セグメンテーションとは?事例で学ぶ基礎と活用方法」にまとめました。あわせてご覧くださいませ。
企業のための戦略で「初期は本当にニッチなターゲットに絞り込むべき」というアドバイスをよくみかけますが、このアドバイスもランチェスターの第一法則から導き出されたランチェスター戦略であると言えます。
ランチェスター戦略の弱者におけるセグメンテーションは、その分野で自社が完全に勝つくらいまで小さくするか、大企業が目もくれないような小さなニッチ市場を攻略します。
兵力で劣る弱者は、武器力と1対1に持ち込みやすい領域で勝負する必要があるからです。
強者のとるべきランチェスター戦略
一方で、資金力に余裕がある強者が市場で戦う場合には、ランチェスターの第二法則が有効です。強者は広域戦・総力戦を取るべきです。
強者のランチェスター戦略は、総力戦で相手と武器力を同等にし、兵力を活かした戦いを展開します。例えば、広く利用が見込める製品やサービスで、模倣戦略をします。その上、大規模な広告や展示会の出展を繰り返してお客様を獲得し市場のシェアを拡大していきます。
一方で、中小企業などは、ニッチすぎて大企業が気にもとめないような市場にリソースを投下して市場を攻略します。このニッチな市場で、大企業よりも良い武器(ソリューションや製品など)をもって、1対1の接近戦を目指します。
弱者のランチェスター戦略は、強者に差別化できる武器(製品やソリューション、技術など)を持ち、絞りこまれたニッチなターゲットで戦いをしなくてはなりません。
さいごに
ランチェスター戦略は、企業の資産や資金、営業力に応じて市場のシェアを獲得するアプローチ(戦略)が異なることを伝えています。
ランチェスター戦略は、マーケティングでもキャンペーンやマーケティング戦略、マーケティング計画を書く上で活用できます。ぜひ覚えておきましょう。
(この記事は、2014年3月4日に書かれたものを編集しました)