BtoBビジネスではマーケティングが軽視されているのでしょうか?
顧客に直接接する営業マンが存在するBtoBビジネスでは、BtoCビジネスに比べて企業へとマーケティングの浸透が遅れてきたかもしれません。特にお客さまとの取引関係を人的な関係で維持してきた業界においては、よりマーケティングの浸透が遅れているような気がします。
企業のIT化に伴い、経営やビジネスでもデータの取得が可能となり、科学的な経営手法が取られるようになってきました。
マーケティングでも市場を科学的に分析し、マーケティングの基本的な見解や考え方を持つ企業が増えてきました。そして、データから導きだされる正しい営業・販売戦略を立案し、現場に落とし込むやり方が進んでいます。
BtoBマーケティングに役立つマーケティングオートメーションを知るための情報を1冊にまとめました。
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BtoBマーケティングを企業戦略レベルまで昇華する
あらゆるデータがBtoBでも活用できるようになり、営業や戦略、マーケティングでの分析がBtoBでも急速に進んでいます。
特にBtoBビジネスでは、BtoCと比較した場合、お客さまの購買行動が特徴的です(参考:「BtoB購買行動モデルのやさしい解説と教科書が教えない3つの特徴ーカイロスのマーケティングブログ」)。
BtoBビジネスの購買は、これまでの知見や研究から、
- 多くの意思決定者が存在する
- より論理的な意思決定プロセスがなされる
- 案件化から業者選定、提案、稟議というプロセスがあり、時間がかかる
ということが分かってきています。
BtoBビジネスでも、BtoBの購買行動パターンと照らし合わせながら科学的な分析を行い、営業活動をより効率的かつ効果的に行ことが、企業の競争力を強化します。
BtoBビジネスでもマーケティングがより重要となる3つの理由について説明していきましょう。
理由1:営業を効率化する
先ほどのBtoBビジネスにおける購買プロセスからみれば、BtoB購買プロセスの上流にある「問題の認識」や「案件の定義」では、人的な関係構築の影響度合いが小さく、広告などで一斉にアプローチした方が効率的にメッセージが伝わります。つまり対面でのアプローチより、各種媒体を利用したマーケティングの手法で展開した方が効率良くなります。
BtoBビジネスでは、多くの場合、売買契約の締結時に営業マンが必要になります。したがって、このようなマーケティング活動は、営業の前段階という位置づけにあります。BtoB企業はマーケティング活動を通じて広く世の中に知らせるだけでなく、売上げに結びつける営業活動に必要なリード(見込み顧客の情報)を獲得しなくてはなりません。BtoB企業では、セミナーや展示会で見込み顧客の情報を確保の場としてよく利用されています。
セミナーや展示会では、見込み顧客にアンケートを取る等、見込み顧客の興味に応じて、BtoBの購買行動の先に進むよう、必要な情報を提供していきます。例えば、「ソーシャルメディアの基礎」という無料セミナーへの参加者に対し、後日「ソーシャルメディアの企業での活用事例」の冊子を送ります。このようにしてBtoBビジネスでは、問題の定義、案件の定義に向けたお客さまが必要とする情報を与え、徐々に購買意欲を高めていくと効果的です。
このようなマーケティング活動から、より興味が高く購買に近い見込み顧客のみを抽出し、重点的な営業活動を行います。営業リソースを集中し、より手の厚い人的な関係を構築できるので、営業活動としてはより質があがります。
これまで人的な関係構築に頼ってきた、営業活動の上流の部分は、マーケティング活動として予算を割り振り、人的リソースも割り当てていきましょう。
理由2:ニーズを先読みする
お客さまの要望のみに従えば、企業のイノベーションはより難しくなります。世界でで有名なフォードの例があります。フォードは自動車の量産に成功しました。フォードは、自動車の生産にあたりお客の声を聞いたなら「大衆が求めていたのは、より速い馬だっただろう」、と語っています。
イノベーションとは、社会的に意義のあるかつ大きな変化をもたらす自発的な変革です。変革や革新(イノベーション)をお客さまや市場にもたらすことにより、常にお客さま企業をリードし、競合との差別化をし、そして高い利益率を確保できる可能性が大きくなります。
お客さまのニーズを追いかけ続けると、究極的にはアウトソース的な位置づけとなり、他社との差別化により高い利益率を維持することが困難になります。フォードが速い馬の確保をしていたら、今のフォードはなかったでしょう。
営業活動の出発点は「製品」にあり、そして製品を「売り上げ」ることがゴールです。そのため、お客さまのニーズは製品に対する機能要望とみなされ、製品の枠を超えた市場がみえずらくなります。
一方でマーケティングの出発点は「市場」にあります。市場を分析する事により、お客さまのニーズを先読みし、より付加価値の高い自社製品の展開の可能性が高まります。
代表的なマーケティングの分析には、「3C分析」、「SWOT分析」、「STP分析」などがあります。
理由3:ブランドを構築する
ここまではBtoBマーケティングに必要なダイレクトレスポンスや分析についてお話してきました。ここでは、マーケティングに必要なブランディングについてとりあげます。
BtoBビジネスにおけるマーケティングでは、企業間取引では信頼関係が重要視されるため、自社の強みとビジョンをリンクさせることがブランド構築の近道になります。
そしてあなたの会社の従業員も、仕事やあなたの会社への愛着や誇りを感じるため、モチベーションが高まり、結果としてより良い仕事をしてくれるでしょう。
自社の強みは、あなたの会社が戦略的に攻略すべきターゲット市場におけるポジショニングから導きだされます。分析により最適なポジショニングを導きだし、そしてあなたの会社が最も得意な技術や強みと結びつけて強いメッセージと共にあなたの会社のブランドを構築していきましょう。
まとめ:強い企業になる
BtoBマーケティングの目的は、企業をより強くする「営業効率UP」、「イノベーションのための分析」、「ブランド構築」につきます。
- マーケティングメディアをできるだけ活用し、人的な関係構築を重視する営業活動を短時間で行い案件をクロージングする。
- より多くのデータから市場を分析してより潜在的なニーズを分析し、付加価値を生産し利益率を高める
- 自社の強みと市場のニーズを結びつけ、自社の優位性を長期に渡って築くブランディングの構築
あなたの会社でまだ実践していないものがあれば、今すぐ試してみて下さい。