昨今の社会情勢の変化により商談が長期化し、顧客との接点作りに課題を持つご担当者さまが増えています。
現代では、ほとんどの顧客がデジタルで情報収集するため、顧客接点をデジタル化すれば、この課題は解決できるように思われます。しかし、「あらゆる顧客接点をデジタル化しよう」と考えてしまうと、思わぬ落とし穴があります。
この記事では「顧客接点のデジタル化」という切り口から、商談の長期化に対応する方法を探ります。
顧客接点をデジタル化する必要性
顧客接点をデジタル化する必要性は、「商談の長期化」というよくある営業課題から見えてきます。コロナウイルスが営業に与える影響をまとめた、BUSINESS 2 COMMUNITYの2020年の調査レポートによると、営業担当者の55%が「商談の長期化」に悩んでいると回答しています。
商談の長期化は、主に市場や競合の変化によって現れる兆候で、自社がその変化に対応できていない場合に起こります。たとえば、顧客の情報収集手段のほとんどがWebに移行したにもかかわらず、Webへの対応が間に合っていない。このような場合は、顧客が購買の意思決定を先延ばしにする要因になり得ます。
顧客や競合といったビジネスを取り巻く市場環境の変化は、3C分析のフレームワークを使うとMECEに洗い出せます。
3Cの中で、Customer(顧客)とCompetitor(競合)は基本的に変えようがありません。3C分析は、顧客や競合の変化による競争環境の変化を捉え、「自社」の戦術を考えるためのものです。つまり、商談の長期化に対応するためには、自社の課題を解消し、市場変化に対応するしかありません。そこで、デジタルがうまく活用できます。
たとえば、顧客の大半はデジタル(Webやウェビナー、メールなど)を活用して情報収集します。昨今の社会情勢を鑑みると、この傾向はさらに加速していくでしょう。そこで、自社もデジタルに対応したアプローチを強化すれば、顧客接点を増やすことができます。
顧客接点のデジタル化は、アナログ(従来手法)との組み合わせで力を発揮する
顧客接点のデジタル化とは、すべての顧客接点をデジタルな手法に置き換えることではありません。「コミュニケーションの質」という観点では、メールマーケティングやホワイトペーパーといったデジタルな手法よりも、対面営業やお電話、個別相談会といった従来の手法に分があります。
一方「コミュニケーションコスト」という観点では、リストに対して一斉に接触したり、作業を自動化したりできるデジタルな手法が有利です。つまり、顧客接点のデジタル化とは、「顧客の見込み度に応じて、デジタルとアナログをどう使い分けるか?」を考えることに他なりません。
さらに具体的に言えば、デジタルな手法を用いて、興味関心が高まりきっていない「まだまだ客」と定期的に接触する。アナログな手法を用いて、見込み度が高い「いますぐ客」と接触し、受注確度を高める。これが、顧客接点をデジタル化する際のセオリーです。
顧客接点をデジタル化すれば、選択と集中がうまくなり、今あるリソースを有効活用しつつ受注を増やせます。
顧客接点をデジタル化する手段
BtoBマーケティングにおいて、顧客接点をデジタル化するには、以下のような手段があります。
- メルマガ(メールマーケティング)
- ウェビナー
- オウンドメディア(企業ブログ)
- ホワイトペーパー、お役立ち資料
顧客接点をかんたんにデジタル化したいご担当者さまは、まずはメルマガから始めることをおすすめします。メルマガはリストさえあればかんたんに始められるため、スモールスタートに向いています。電話や訪問、展示会といった従来の顧客接点に加えて、定期的にメルマガを配信するだけで、グッと顧客への接触頻度を高められます。
メールマーケテイングは、メールというコミュニケーション手段を用いて、「見込み客に自社や自社製品のファンになっていただく」「自社製品を購入していただける施策を展開する」ことを目的とした活動です。詳しくは「メールマーケティングとは?基礎知識から手順、成功事例までを徹底解説」にまとめてございます。
顧客接点のデジタル化に欠かせないツール
顧客接点をデジタル化して営業効率を上げるために、顧客情報の管理もあわせてデジタル化しておきましょう。Web上の行動履歴やメールの開封履歴といった「顧客の行動情報」を可視化、記録しておけば、対応する顧客の優先順位を付けやすくなります。
MA(マーケティングオートメーション)
マーケティングオートメーションは、Web解析と顧客情報管理、メール配信の機能がセットになったツールです。マーケティングオートメーションの導入目的は、「営業のための商談を作る」こと。マーケティングオートメーションで顧客情報をデジタルに管理すると、お客さまのWebサイト上での行動履歴を可視化できます。行動からお客さまのニーズを汲み取ることで、顧客対応の優先順位を付けやすくなります。
マーケティングオートメーション「Kairos3」では、顧客の行動情報や属性情報に応じてラベル(タグ)を付けられるため、視認性高く顧客情報を管理できます。
また、顧客接点のデジタル化に欠かせないメールマーケティングも、マーケティングオートメーションを使えば効率よく実施できます。
メールマーケティングによってお客さまの行動を促し、Web行動を蓄積し、行動履歴をみながら見込みのある顧客に営業活動を展開する。これで、人を増やさず営業活動をグッと効率化できます。
マーケティングオートメーションの概要から機能一覧などを「[2021年版] マーケティングオートメーション(MAツール)のまとめ」にまとめてございます。合わせてご覧くださいませ。
SFA(営業支援システム)
SFAは、顧客情報と営業の接触情報を同時に管理できるツールです。マーケティングオートメーションと連携させれば、マーケティングオートメーション側の顧客情報をシームレスにSFAに反映させられます。
受注までのリードタイムが長期化する状況では、マーケティングや営業といった部署の垣根を超えて、ひとりのお客さまに対応する場面が増えます。複数の担当者でひとりのお客さまを担当する場合、情報共有がとても大切。MAとデータ連携できるSFAを選んでおくと、情報の受け渡しが楽になります。