リソース・ベースト・ビュー〜近代の戦略論|マーケティング用語集

2014年06月20日

リソース・ベースト・ビューは比較的最近の戦略の考え方です。リソース・ベースト・ビュー以前の戦略論は、市場のポジショニングなどの企業を取り巻く外部環境に着目していました。

しかし1980年代後半から、コアコンピタンスやケイパビリティなど、企業内部のリソースに競争優位性の源泉があると論じられるようになりました。

リソース・ベースト・ビュー(RBV)は、それまで戦略論の中で対局にあった市場におけるポジショニングと自社の持つ能力という2つの戦略アプローチを結びつける戦略アプローチです。

リソース・ベースト・ビューとは

リソース・ベースト・ビューは代表的な戦略論のひとつです。

リソース・ベースト・ビューでは、「ケイパビリティ」と呼ばれる、企業の内部に蓄積されるスキルやヒト・カネ・モノなどの資源、学習経験、コア・コンピタンスやマネジメント能力に着目しており、「ケイパビリティ」こそが企業の競争優位の全てであると考えに基いています。

リソース・ベースト・ビュー以前の戦略論では、市場において自社が有利にビジネスを進められる立ち位置、つまり「ポジショニング」によって市場の競争優位が勝ち取れると考えられてきました。

ポジショニングの考え方は、企業の特徴を完全に無視したものではないにしろ、市場の構造に着目した戦略アプローチであることは間違いありません。

リソース・ベースト・ビューは、企業が持つケイパビリティ、つまり企業がその時点で持っているリソースやコアコンピタンスのレベルによって取りうる戦略が限定されることを前提とし、これらが市場での競争環境のなかにどのように位置づけられるかを分析しながら、最も有利になるアプローチを導き出す考え方です。

リソース・ベースト・ビューで着目しなくてはならない5つの要因

リソース・ベースト・ビューで、自社のある特性やケイパビリティ(リソース)だけをとりあげて、その市場価値を評価することはできません。リソース・ベースト・ビューの戦略アプローチでは、市場価値はポジショニングだけではなく、必ず市場における要因と自社の持つケイパビリティの関連の強さによって決まるからです。

自社の分析は、なんとなくあいまいで従業員や分析者の主観に左右されがちです。分析にいくつかの基準を取り入れることで、リソース・ベースト・ビューは企業戦略の決定プロセスで大きな力を発揮します。

他社がそのケイパビリティを模倣する難しさ

自社が持つケイパビリティを他社が簡単に真似できてしまうなら、そのケイパビリティの価値は一時的なものにすぎません。一方で、自社のケイパビリティを真似したり、再現することが難しければ難しいほど、市場における価値創造のカギになります。

もちろん永遠に模倣することが不可能なケイパビリティはほぼ存在しません。ケイパビリティで価値が高いほど、他社は必死にそのケイパビリティをコピーする術を探しだすでしょう。

模倣することが困難なケイパビリティの例には、

  • 真似できないほどの巨額投資によって生み出したケイパビリティ
  • エキナカなどの物理的に複製できない資源
  • 経験から得られたノウハウに基づくケイパビリティ
  • 成功の要因と企業のケイパビリティの関係があいまいな場合
  • などがあります。

    ケイパビリティの有効期限の長さ

    企業の持つケイパビリティの寿命が長いほど、競争優位を長期に渡って築くことができます。

    最近では技術の進歩や情報の流れが市場の変化を早くし、企業のケイパビリティの価値があっという間に低減してしまう傾向にあります。

    したがって、自社のコア・コンピタンスなどのケイパビリティが永続すると考え、戦略が依存してしまうことは極めて危険です。自社のケイパビリティは有効期限があるかぎり、その期間しか利益を生み出すことはできません。

    誰がその価値を受けるのか?

    ビジネスにはさまざまなプレイヤーが存在します。お客さま、販売代理店、部品調達元、広告代理店、などがあります。あなたの会社が他社が全く模倣できないケイパビリティを持っていたとしても、その全てがあなたの会社の利益につながるとは限らないのです。

    実際にリソース・ベースト・ビューでは、その会社が持っているケイパビリティが実際にもたらす価値は、ビジネスで関連するさまざまなプレイヤーの力関係によって決まります。

    優れた技術力をケイパビリティとする部品を持つ中小企業が、大きな利益の恩恵を受けないのはまさにこれが理由です。

    ケイパビリティの代替の可能性

    低価格で市場にアプローチする企業は、コンピューターシステムやインターネットを活用して人件費や中間コストを削減するなどしながら、これまでの市場リーダーが持つケイパビリティを代替してきました。

    音楽市場では、かつてのレコードがCDに取って代わり、さらにはMD、そしてファイルダウンロード型のモデルへと変革しています。旧来の良い音を出すレコード盤や再生器への技術というケイパビリティは、コンピューターシステムにとって変わってしまいました。

    このように自社がもつ独自のケイパビリティは、まったく質の違う他のものに取って代わってしまうことがあります。

    そのケイパビリティは本当に競争優位性があるのか?

    ケイパビリティを評価する際の最も注意しなくてはならないのは、ケイパビリティの評価が自画自賛となってしまうことです。

    コア・コンピタンスに代表されるケイパビリティは、社内の活動の中から見出されます。しかし、その評価は自社が競合企業に対してどれほど優れているかを測るものであり、社内身内の評価であってはなりません。

    例えば、自社の代表的なケイパビリティ(コア・コンピタンス)をマーケティング力としたとしましょう。もし他にマーケティング・スキルがある企業が在り、自社がこのコア・コンピタンスに頼った戦略をとった場合、その戦略は立ちどころに行き詰まってしまいます。

    ケイパビリティの評価では、マーケティング力のようなあいまいな定義にすべきではありません。マーケティング力を、例えば経済性、インターネットマーケティングの分析力に長けている、ブランド力、製品開発力など、詳細に分解すれば、本当の競争優位の源泉を見出すことができます。

    このアプローチでは、自社の真のコア・コンピタンスが見いだせるだけでなく、それを利用してどのような戦略が描けるかまで見えてきます。

    リソース・ベースト・ビューのまとめ

    企業の競争戦略を決定する際に、着目すべき視点を少し自社のリソースに移すリソース・ベースト・ビューについてご紹介しました。

    企業の戦略について考える際には、先を読むことが欠かせません。素晴らしいコア・コンピタンスやケイパビリティを持っている企業でも、時間の経過や競合企業の動きによって、その価値は低減していことを忘れてはいけません。

    企業のケイパビリティは、ある市場のあるタイミングでは効果があるけれども、市場やタイミングが異なればその価値はガラッと変わってしまうかもしれません。

    今いかに優れたケイパビリティに恵まれていても、継続して自社に投資をして、その価値を向上させ、魅力ある市場で競争優位を築き続けるための努力を続けていきましょう。

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