「ロングテール」を事例で学ぼう

2014年01月14日

ロングテールは、Web2.0時代のこれまでにはなかったネットを活用したビジネスを例えるモデルとして広く知られています。

ロングテールは、ビジネスモデルの例えだけではなく、「ロングテールのキーワード」や「ロングテール施策」など、マーケティング戦術を表現する用語としても利用されています。

ロングテールとは何か?事例を交えながら改めて学んでみましょう。

ロングテールとは?

ロングテールとは、ネットを活用したWeb2.0時代のビジネスの成功例を表すモデルとして名付けられました。

ロングテールの名付け親は、米「ワイヤード」紙の編集長のクリス・アンダーソンです。アンダーソン氏がWeb2.0時代のビジネスの象徴であったアマゾンやネットフリックスなどのネット企業のビジネスの成功例を説明するために、「ロングテール」という言葉を用いました。

従来のビジネスでは、パレートの法則に代表されるように売上の8割は上位2割の顧客や商品からもたらされてきました。上位の2割は、優良顧客や売れ筋商品としてビジネスの戦略的な位置づけとなります。

パレートの法則では、上位2割を大事に育てることによって安定したビジネスを目指していました。

しかしながら、Web2.0に代表される企業では、パレートの法則とは異なって下位8割からも十分に売上をあげ、ビジネスを拡大する企業も登場ました。

売上高や売上数を縦軸にとり、商品を横軸にすると、これらのWeb2.0企業では、その売上の分布は下図のように急速に減衰した後に、なだらかに左側に続きます。この形を恐竜の長い尻尾(Long Tail)になぞらえました。そしてロングテールは、アンダーソン氏の著書などを通じて、その後瞬く間に広まりました。

ロングテール

ロングテールは、パレートの法則でいう、売上が少ない8割(Long Tail)からも十分な利益をあげるモデルをなぞらえています。

ロングテールが成立するためのメカニズムとは

ロングテールは全てのビジネスに適応することができません。ロングテールがビジネスのモデルとして成立するための制約条件があります。

物理的制約とコスト上の制約から解放される

ロングテールの横軸が商品の場合、商品展示数の物理的制約と、コスト上の制約をクリアしなくてはなりません。

通常は店頭で展示できる商品数に限りがあり、ほぼ無限とも思える商品数を展示することはできません。

売れない商品(死に筋商品)を多数展示すれば、コストが売上を大きく上回るため、ビジネスを継続できるだけの利益を確保できません。

通常の店頭販売では、売れ筋商品を中心に並べ、売り場面積当たりの売り上げを最大にします。しかしロングテールでは、売り上げの規模に関係なく多数の商品を揃え販売し、利益を確保します。

顧客数のボリューム

ロングテールの横軸を顧客に置き換えても、物理的・コスト上の制約があります。

ロングテールを実現する実店舗のビジネスでは、ロングテールを実現するだけの、売り上げが小さくリピート率の低い、ほぼ無限の顧客が店頭へ訪れなくてはなりません。これにはまず商圏の問題があります。人口集中する地域ならこの問題はある程度軽減されますが、それでも限度がありそうです。

一方で、オンラインでの買い物には、店舗までの距離という概念がありません。

当然オンラインには、実店舗に無い検索ツールやリコメンデーションエンジンが、見込み客に膨大な選択肢に簡単にアクセスできます。リコメンデーションは、店員がその役目を演じることもありますが、現実にはその実現はコスト面などからもほぼ不可能でした。

ロングテールの事例

さて実際に音楽CDの販売についてロングテールを適応してみましょう。

まずは、音楽業界での以下の3つのモデルを考えます。

  • 従来のCDの店舗販売
  • アマゾンのような音楽CDのネット販売
  • iTunesのような音楽のダウンロード販売
  • iTunesでは、数百万の楽曲の取り扱いが可能です。アマゾンでは数十万規模の取り扱いが可能です。従来の店舗販売では最大でも1-2万点の在庫しか抱えられません。しかしアマゾンでは、オンライン販売故に在庫は展示無しで、来客の交通の便とは関係なく倉庫などに効率良く収納すれば良いので、コストを抑えられます。iTunesではCDという在庫管理も必要ありません。

    ロングテールでのヒット商品には、従来の店舗には取り扱われることがあまりなかったニッチ商品がいっぱいあります。これらのニッチ商品こそがアマゾンやiTunesでの売上を押し上げます。

    iTunesでは、アマゾンのCD販売でもできなかった「アンバンドル」が含まれます。シングルにもならないアルバムの個別の曲はまさにニッチ商品です。これらの商品には、サイト内検索やリコメンデーション・エンジンにて簡単に誘導する仕組みを導入しています。

    このようにロングテールを実現するアマゾンやiTunesなどのビジネスでは、販売コストを抑えているだけではなく、店舗型のビジネスでは成し得なかった品揃えを揃えています。この豊富な商品へは、興味・関心に合わせて容易にアクセスできるよう、サイト内検索やリコメンデーション・エンジンを導入しています。

    ロングテールの注意点

    ロングテールは誰でも成功するとは限りません。

    ニッチ製品の売上を作るためには、その製品への購買を誘導する仕掛けが必要です。サイト内の検索、リコメンデーション・エンジンなどこれらの仕組みや仕掛けの構築には多大な費用がかかります。

    またアマゾンなら少額購買の配送料、iTunesならデジタルの著作権の保護など、ロングテールを活用したビジネスならではの仕組みが必要です。

    これらの仕組みを構築するためには、ボリュームのある売上でニッチ商品あたりのコストを下げなくてはなりません。つまり、ある程度の売上ボリュームが必要不可欠になります。

    まとめ|ロングテール

    ロングテールは、少数の売上を組み合わせて、そのボリュームで売上を稼ぐビジネス形態を指します。ネットを活用して多数のニッチ商品の売上をかせぐ仕組みを提供したビジネスモデルが特徴的です。

    ロングテールは、パレートの法則と一緒に覚えておくのが便利です。

    • このエントリーをはてなブックマークに追加