イノベーター理論とは?事例やマーケティングの活用方法で学ぼう

2017年07月30日

マーケティング業務に、新製品や新サービスの導入があります。毎日数多くの新製品が市場に投入されますが、中には非常に素晴らしい技術や部材を採用しているにも関わらず、なかなか市場に広まらないことがあります。

イノベーター理論を理解しておくと、このような問題を回避できる可能性が高くなります。

マーケティング担当者ならば、イノベーター理論を理解し、イノベーター理論を応用することで、新製品や新サービス立ち上げのスキルを高めましょう。

イノベーター理論とは?

イノベーター理論とは、新製品や新サービスの市場への広まり方をあらわしたモデルです。1962年に社会学者のロジャース氏によって提唱されました。

(参考)社会学とは
社会学とは、世の中に起きる行動や社会構造の実態や因果関係を解き明かすための学問です。

イノベーター理論は、社会学の観点から生まれた、新製品や新サービスが市場に広まるメカニズムということができます。

イノベーター理論では、新製品や新サービスの市場への広まる中で、それを受け入れる人々の価値観を市場の広まりの段階別に5つに分類しました。

イノベーター理論

1.イノベーター(Innovators:革新者)

イノベーター理論の中で、新製品や新サービスに最も早く反応するのが、イノベーターたちです。好奇心が強く、ハイテク好きないわゆるオタク層で、新しいものを好んで取り入れるタイプの人が「イノベーター」と呼ばれます。

イノベーター理論における「イノベーター」は、商品の新しい技術など、先進的・革新的な特徴を重視して購買します。「イノベーター」は、商品の成り立ちや技術、使っている部品、製造方法などに大きく興味を左右されますが、商品の利用メリットなどは、ほぼ興味がありません。

イノベーター理論では、市場全体の2.5%ほどが、「イノベーター」です。

2.アーリーアダプター(Early Adopters:初期採用者)

市場のトレンドに感度が高く新しいものが好きで、アンテナをはって常に新しい情報を収集します。「イノベーター」とは異なって、新しい商品の具体的な利用のメリットに着目し、良いと判断したものを積極的に購入します。

イノベーター理論の「アーリーアダプター」は、市場への影響力が大きい傾向にあり、「オピニオン・リーダー」と呼ばれます。「アーリーアダプター」の反応の良し悪しで該当製品の市場での広まりの速さが左右されます。

市場全体の13.5%が「アーリーアダプター」です。

3.マジョリティ(Majority:追随者)

イノベーター理論では、新しい商品の購買に少し慎重である市場の大衆を「マジョリティ」としています。市場全体の68%が「マジョリティ」にあたります。文字通りマジョリティ(Majority)という言葉通り、大半の人がここに該当します。

「マジョリティ」は、「アーリーアダプター」から影響を受けて、商品の機能やメリット、コストを重視して購入します。「マジョリティ」が購入すれば売上全体を押し上げます。そのため「マジョリティ」の購入量が、市場に大きく広まるためのカギとなります。

「マジョリティ」のこのような特徴から、イノベーター理論では「マジョリティ」は「ブリッジ・ピープル」と呼ばれることがあります。

4.ラガード(Laggards:遅滞者)

イノベーター理論では、非常に保守的でイノベーションやトレンドへの関心が薄い層を「ラガード」と呼びます。

「ラガード」は、イノベーションやトレンドが十分に市場に根付いて、いわゆる文化レベルになるまで採用しません。

市場全体の16%が「ラガード」にあたります。

イノベーター理論を活用した事例

マーケティング担当者にとってイノベーター理論は、ぜひ覚えておいていただきたいフレームワークです。いわゆるプロモーションだけでなく、製品開発などのプロダクトマーケティングにも活用すべきです。

イノベーター理論を参考にしながら自社製品の仕様を検討する

イノベーター理論は、新製品や新サービスを市場に導入するときのセグメンテーションやターゲティングに非常に有効です。

セグメンテーションについて
セグメンテーションとは市場を属性や嗜好などの基準で分割(細分化)することです。製品開発のためのニーズの分類や、広告媒体やメッセージの絞り込みなどで活用しています。くわしくは「マーケターなら必ず抑えておくべきセグメンテーションの基本事項」も合わせてご覧ください。

新製品のリリース時にイノベーター理論を活用すると言うよりも、新製品の企画・開発段階において、自社の製品がイノベーター理論のどの層をターゲットにするかを考えます。例えば、これまでにない新しい技術や仕組みを市場に投入する場合には、イノベーター理論におけるイノベーターに接触しなくてはなりません。

製品のターゲット層へのメッセージを考える

イノベーター理論は、製品仕様の確定や新製品導入時のターゲットセグメントの決定だけでなく、そのメッセージの訴求にも役立ちます。つまり>製品の市場への広まりに応じて、イノベーター理論の4つの分類が好むメッセージへと変更しなくてはならないことを忘れてはいけません。

製品発売時は、その製品に特徴がある技術、製法、部品などを強調するのは、イノベーター理論における「革新者」が、そのような情報を好むからです。ハイテク技術では、フタを開けるわけでもないのに、必ず新しいチップ(CPU)の情報が製品発表時に好んでハイライトされるのは、「革新者」がそれを購入の尺度にしているからです。

製品が市場に広まるにつれて、具体的なメリットを押し出す必要があります。「アーリーアダプター」や「マジョリティ」は、製品利用のメリットに敏感です。もちろん、技術的なメリットもあるでしょうし、コストといった経済的なメリットもあります。

そして最終的に製品の衰退期に近づくにつれ、「情」に訴えるメッセージに変わります。例えば、入浴剤は既に十分に市場に広まった製品です。今ではどの入浴剤メーカーも、その成分などを訴えませんね。単純に「ほっとする、あったまる」などの情緒的なメリットを訴えています。

イノベーター理論は、セグメンテーションの設定と、そのセグメントに届けるバリュープロポジションを考える上で大変重要なモデルですね。

バリュープロポジションについて
バリュープロポジションとは、あなたの会社の製品やサービスを通じて提供する価値(コミットメント)です。バリュープロポジションこそが、お客さまがあなたの会社の製品やサービスを買う理由になります。くわしくは「良いバリュープロポジションを作る5つのコツ」を参考にしてください。

さいごに

イノベーター理論は、製品の開発・仕様検討などのプロダクトマーケティングや、販売・訴求などの販促業務に関わる全ての人に覚えていただきたいフレームワークです。

マジョリティに対してイノベーター向けの製品を販売しようとしていませんか?そんな時に役立つのが、このイノベーター理論のフレームワークです。