すぐに理解できるカスタマージャーニーの解説

2015年05月01日

カスタマージャーニーはあなたの顧客をより良く理解し、長期にわたる良好な関係が重要視されるBtoBビジネスでも、必ずおさえておきたいテーマです。

長年の付き合いの中で顧客の事はよく分かっているはずですが、顧客を取り巻く環境が絶えず変化する最近のビジネスでは、カスタマージャーニーを定期的に見直すべきです。

カスタマージャーニーはやみくもに理解できるものではありません。あるポイントをおさえれば、短時間でよりよくあなたの顧客について知ることができます。そして、その結果は売上としてあらわれます。

そのためにはまずはカスタマージャーニーの概要を理解して、あなたのビジネスでの活用方法を見出す必要があります。

カスタマージャーニーとは

カスタマージャーニーとは、見込み客が購買にいたるまでに取る一連の行動や感情・意思の移り変わりを指します。

マーケティング活動や営業活動などを含む全ての顧客とのタッチポイントで、見込み客が感じている事、購買にいたるまでの動機、抱いている疑問、あなたの会社や製品に抱いている期待などがカスタマージャーニーに相当します。

カスタマージャーニーは、見込み客の購買に関わる一連の思考や活動を明確することによって、見込み客とのより良い関係を築き、継続的な売上を期待するためのツールとして活用できます。

カスタマージャーニーを、見込み客の感情の変化や一連の行動を時系列でダイアグラムや記号、絵などを使ってわかりやすく表現したものはカスタマージャーニーマップと呼びます。

カスタマージャーニーマップには、見込み客が購買を検討し実際に購買するまでの全ての経験があります。各タッチポイントで感じていること、動機、抱いている質問や疑問、そしてあなたの製品や会社に対して抱いている期待の全てを描きます。

カスタマージャーニーマップで取り扱う情報は、あなたの会社の営業マンやスタッフの販売活動のみに関わる見込み客の購買行動だけではありません。あなたのスタッフが直接関わらない、あなたの会社や製品のブランド、販売パートナー、利用者の口コミなどの情報や見込み客の反応も含みます。

カスタマージャーニーが注目をあびる理由

カスタマージャーニーは、見込み客の購買行動をよりよく理解する上で大変パワフルなツールです。

カスタマージャーニーマップを作成して、見込み客のカスタマージャーニーを明らかにすることで、あなたの会社が取り組むべき、潜在を含む顧客ニーズを浮き彫りにします。

加えて、カスタマージャーニーマップを作成することで、マーケティングから営業活動に至るまでの意思決定の方針や会社としてなすべきことのコンセンサスが取れるようになります。あなたの会社のスタッフが、カスタマージャーニーマップによって、見込み客に対して一貫した見方を持ち、社内のコンセンサスを形成します。

それでは、具体的なカスタマージャーニーマップの作り方を見ていきましょう。

カスタマージャーニーマップ作成のおおまかな流れを理解する

カスタマージャーニーを明らかにすることは、見込み客をよく知ってよく理解することにつきます。

多くの企業では、既に自社の顧客をよく理解していると思っています。したがって、改めてカスタマージャーニーマップを作る作業は、冗長であり、過去の繰り返しになるため無駄の多い作業であると考えがちです。

しかし、カスタマージャーニーマップ作成のために改めて見込み客について調査し、カスタマージャーニーマップを定期的に作りなおすことは大変意味のある作業です。

顧客側のビジネスや取り巻く環境・技術は絶えず変化します。それに応じて見込み客の購買行動も変化します。

ここ数年でも、ソーシャルメディアの活用や、スマートフォンでの情報収集など、絶えず見込み客の購買行動は変化しています。

このような見込み客の変化を反映していないカスタマージャーニーマップはとても有効とは言えません。

あなたのカスタマージャーニーマップは唯一無二である

もし過去にあなたの会社や部門でカスタマージャーニーマップを作ったことがあるなら、過去のカスタマージャーニーマップ作成のための調査で得た情報に目を通しましょう。あなたが手がけようとしているカスタマージャーニーマップを作成する上で、どの情報源にアクセスすべきかてっとり早くわかります。

調査で得た情報には目を通すものの、過去のカスタマージャーニーマップや他社が作成したカスタマージャーニーマップそのものは参考にしません。

企業や製品が持つブランドの市場での認知やステータス、流通チャネル、スタッフ、企業文化を含めて全く同じ会社は存在しません。したがって、カスタマージャーニーマップは製品や企業によって全く異なります。類似する競合製品を取り扱う会社同士でもカスタマージャーニーマップには違いがあります。

2つの視点でカスタマージャーニーマップの精度を高める

見込み客のカスタマージャーニーを明らかにするためには、あなたの会社の見込み客や顧客の行動に関する調査や分析が必要です。この作業には、2つの側面があります。

続く2つの章で詳しく説明します。

Webログ解析の1次データでカスタマージャーニーの傾向を見極める

カスタマージャーニーマップを作成する上で、手に入れやすく最も有効なデータはWebログです。

Webログから、訪問者が訪問したページ、アクセス元のサイト情報などから、あなたのWebサイトで探している情報と、訪問の目的を明らかにしていきます。

訪問者の目的を知る上で、検索サイトの検索キーワードや、サイト内検索ボックスに入力したキーワードも利用できます。検索サイトの検索キーワードは、Web解析ツールやグーグルのウェブマスターツールで詳しく調べることができます。
参考 ウェブマスターツールの使い方〜基本編|カイロスのマーケティングブログ

これらの情報から、訪問者のあなたのWebサイトへの訪問目的、抱えている問題や購買のためのモチベーションを推測します。その結果から、カスタマージャーニーマップの青写真ができてきます。

カスタマージャーニーマップのためのWeb解析では、データの読み間違えに注意しましょう。

訪問者あたりのクリック数の多さや滞在時間の長さは、必ずしも良い傾向とは限りません。もしかしたら訪問者は目的とする情報が見つからずに、あなたのWebページを何ページも回遊している恐れもあります。

1次データから推測を進める〜仮説の設定

カスタマージャーニーマップを作る上で、Webアクセスなどのデータは決定的な証拠になります。しかしながらWebアクセスのデータは、訪問者がその行動をした背景にある理由については語ってくれません。そのため、得たデータを推測してカスタマージャーニーの全貌を作り上げる必要があります。

このようなアプローチでカスタマージャーニーマップを作り上げるために、いくつかの仮説を設定します。ここで設定した仮説を1つずつ検証すると作業がスムーズになります。

例えば、あなたのWebサイトの特定ページで訪問者の離脱が非常に多くカスタマージャーニー上でボトルネックになっていることが明らかなページがあるとします。Webログは、訪問者がこのページで離脱する理由を語らないため、離脱する理由をカスタマージャーニーマップ作成のための仮説が必要です。

ここで多くの訪問者が離脱する理由の仮説を、Webページで提供する情報の不足とします。もう少し具体的に言えば、多くの訪問者が価格情報を探すために価格ページにやってきたものの「価格情報はこちらのフォームからお問い合わせください」となっており、訪問者にとって必要な情報がないため情報検索をあきらめたことが、離脱の理由として設定できる仮説です。

仮説は、あなたの製品や会社のターゲット層毎に設定しなくてはなりません。技術担当者と運用担当者、現場での利用者と部門長ではもちろん必要な情報が異なります。

カスタマージャーニーを考える上で設定する仮説の抽出には、ペルソナが便利です。ペルソナは理想の顧客像です。ペルソナになりきって、仮説を設定してみましょう。
参考 ペルソナの作り方〜マーケティングの現場で活用できる良質なペルソナを作る手順|カイロスのマーケティングブログ

カスタマージャーニーマップ作成のための仮説を検証する

カスタマージャーニーマップを完成させるためには、これらの仮説を検証します。仮説の検証には、インタビューが欠かせません。

仮説の検証にはグループインタビューが便利です。しかし多くの場合、あなたの時間にも予算にも限りがあるため、時間とコストのかかるインタビュー方式は採用できません。

簡単な仮説の検証には、いくつかの既存のお客さまにインタビューしてみたり、ユーザに近くいつもお客さまに接している営業担当者などに意見を聞いたりしてみるのも1つの仮説検証方法です。

カスタマージャーニーマップは、あなたが設定するペルソナの数だけ必要です。ペルソナ分のカスタマージャーニーマップを作る時間と予算が無ければ、優先するペルソナを設定して、そのペルソナに関係する仮説の検証を優先して行いましょう。

優先するペルソナに関連する仮説の検証は、できるだけお客さまや現場に近い社員の声から検証すべきです。それ以外のペルソナに関しては、営業担当者や各部門の関係者で推論しても構いません。

確かにこのアプローチは、カスタマージャーニーの仮説を検証する上で、十分に質が高い議論ができない可能性があります。しかし、全く何も調査しないよりずっと確実なカスタマージャーニーマップが作成でき、あなたの見込み客について深く理解できます。

カスタマージャーニーマップの仮説検証のためのチームの組み方

カスタマージャーニーの仮説の検証で社内のメンバーを招集する際には、あなたがいつも仕事で接している以外の人にも声をかけてみましょう。いつも仕事を一緒にしていないメンバーは違う考え方や視点をもっているため、新しい発見につながることがあります。

カスタマージャーニーマップを作るための時間と予算が十分に取れない場合は、このようなアプローチが有効です。売上アップに十分に貢献したり、マーケティングのROI(対投資効果)が十分に改善できたりすれば、もっと時間と予算を使うことができるようになります。

これでいよいよカスタマージャーニーマップを実際に作る知識と準備ができました。次から、カスタマージャーニーを実際に作っていきましょう。

カスタマージャーニーマップを作る

カスタマージャーニーマップの作り方に正しい方法はありません。ここで紹介する方法で参考になる部分は、みなさんがカスタマージャーニーマップを作る上で取り入れてみてください。

カスタマージャーニーマップ作成の一般的なアプローチ

カスタマージャーニーマップは、見込み客のカスタマージャーニーを時系列でアイコンやダイアグラムを使いながら作っていく方法が一般的です。

一般的なカスタマージャーニーマップはペルソナ別に、時系列に軸をとって、タイムライン(カスタマージャーニーの段階)、タッチポイント、チャネル、ペルソナの感情&感想を書いていきます。

カスタマージャーニーマップによく含むべき項目

  • ペルソナ理想のターゲット像。仕事、役職、信条(考え方や生きざま)などを織り交ぜて、架空だが実在する人物としてイメージできるレベルで。
  • タイムラインカスタマージャーニーにおける購買行動プロセスの段階。時間軸に沿って具体的な期間(例えば1週間)などがあると望ましい
  • 感情&モチベーションカスタマージャーニー(購買行動プロセス)の中で感じる不満や不安などの心理的描写
  • タッチポイントあなたの会社や組織と見込み客との接点。
  • チャネルタッチポイントが発生するメディア
  • カスタマージャーニーマップは、たった1回の議論では完成しません。作成するカスタマージャーニーマップを何度も加筆・修正しながら完成形に近づけていきます。最初はホワイトボードに書き出しながら始めたり、ポストイットを使ってみたりすると修正が簡単で、効率よく作業できます。

    まずは現状のタッチポイントをベースにカスタマージャーニーマップを作り始めてみましょう。どんなタッチポイントで何が起きているかを把握します。

    そして現状を知った上で、あるべき姿を考えます。足らない部分をブレーンストーミングしながら補って、理想のカスタマージャーニーマップに近づけていきます。

    一般的なカスタマージャーニーマップのフレームワーク

    カスタマージャーニーを最も簡単にすれば、「気付き」「検討」「意思決定」の3つのフェーズに分けることができます。もっと詳しくカスタマージャーニーを決めたい場合には、BtoBの購買行動プロセスを参考にしてください。
    参考 BtoBの購買行動プロセスの詳しい解説|カイロスのマーケティングブログ

    1.気付きのステージ

    カスタマージャーニーの気付きのステージにいる見込み客は、自分自身の具体的なニーズに気づいていません。もちろん提供側の企業も同じく、見込み客の具体的なニーズに気付いていません。

    カスタマージャーニーの「気づき」のステージにいる見込み客は、主に検索エンジンを利用して情報収集をします。この際に利用する検索キーワードは、最も一般的な語句を利用する傾向にあります。

    例えば、このブログの記事のように、カスタマージャーニーマップの作成をしたいと思っている見込み客がいるとします。この見込み客は、カスタマージャーニーの「気づき」のステージでは、検索キーワードに「カスタマージャーニーマップ」と入力して情報検索をします。

    カスタマージャーニーの「気づき」のステージにいる見込み客は、自身のカスタマージャーニーの中で知識やリテラシーを高めるためのハウツー系の教育マテリアルや導入の効果がわかる顧客の事例、などを探す傾向にあります。

    マーケターのあなたは、こうしたコンテンツをWebサイトに用意しておかなくてはいけません。

    当然、まだニーズが明確になっていないこの段階の見込み客には、製品やサービスの売り込みではなく、商談のための教育系のコンテンツを提供して、製品やサービスの周辺知識を高めてもらうようにしましょう。

    カスタマージャーニーの「気づき」のステージにいる見込み客は、このようなコンテンツを読んでいろいろと学び、そして自身のニーズが徐々に明確になっていきます。同時に、ニーズの中でも優先順位が定まります。ここで固まる見込み客のニーズは、後の商談の業者や製品選定の基準にもなります。

    2.検討のステージ

    カスタマージャーニーの「検討」のステージにいる見込み客は、商談にむけて連絡をとる業者を通常3〜4社程度に絞り込みます。

    もっと多くの業者に連絡することもありますが、その場合はまだまだ自身の具体的なニーズを絞り込めておらず、カスタマージャーニーの「気づき」のステージにいる可能性が高いといえます。

    このステージにいる見込み客は、商談のために業者に連絡を取りますが、その業者の製品やサービスのスペックの詳細を各社のWebページでくまなく調べ、ニーズを満たすしようかどうかを確認します。

    そして絞り込んだ業者の営業担当者に商談の依頼をします。

    カスタマージャーニーの「検討」のステージにいる見込み客を見つけ出すには、マーケティングオートメーションスコアリングなどの機能が便利です。あなたの製品ページの詳細を閲覧する見込み客を探しだして、チャンスを逃さないようにしましょう。
    参考 スコアリング機能|マーケティングオートメーション「Kairos3」|カイロスマーケティング株式会社

    カスタマージャーニーの「検討」のステージでは絞り込んだ業者に連絡を取る一方で、購買の理由の正当化を始めます。機能や仕様が満たすニーズの度合いと、製品やサービスのコスト比較で、導入後の対投資効果の期待値を把握します。

    3.意思決定のステージ

    カスタマージャーニーの最後は「意思決定」です。見込み客は自分のニーズを最も満たし、価格的にも最適な製品やサービスを最終的に選びます。

    カスタマージャーニーの「意思決定」のステージでは、単に導入する製品やサービスを選ぶだけではありません。自社への導入後に、あなたの製品やサービスをもっとよく使おうと、まだまだいろいろな調査をします。

    もっとよく使ってもらうために、導入後の満足度をあげてもらうために、便利な使い方をドンドンアドバイスして、あなたの製品やサービスをディープに使っていただくようにしましょう。

    このようにしてあなたの製品やサービスを気に入ってくれたお客さまは、他のお客さまを連れてきます。知人からのお薦めは非常に強力です。あなたの製品やサービスを一流ブランドと同等の扱いで他の製品と比較検討するからです。そのため、営業活動での案件のクロージングが非常に楽になります。我々カイロスマーケティング株式会社もお客さまからの紹介には随分と助かっています。

    そのため、カスタマージャーニーの「意思決定」フェーズの導入やそれ以降のサポートでも決して手を抜いてはいけません。

    まとめ〜カスタマージャーニーマップの作り方

    カスタマージャーニーの理解は深まりましたでしょうか?

    カスタマージャーニーマップは、最初はシンプルに作りましょう。何もかもカスタマージャーニーマップに入れ込むと、何がポイントかわかりにくくなります。

    カスタマージャーニーマップの目的の1つは、あなたが作成したカスタマージャーニーマップをみて、カギとなるタッチポイントを理解し、そこで優先して満たすべき見込み客のニーズを明確にすることです。

    さっそくカスタマージャーニーを作るために手を動かしてみましょう。

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