「エコシステム」のやさしい解説

2014年01月22日

「エコシステム」という言葉をニュースやビジネス・経済の雑誌などでよく耳にするようになりました。

エコシステムは「Ecosystem」であり、もともとは自然界における生物と、それを取り巻く環境が相互作用しながら存続する、生産・消費・分解による循環から成り立つ、バランスのとれたモデル全体を表現しています。

最近では、特にIT系企業の新しいビジネスモデルや戦略を説明する場合を中心として、「エコシステム」が頻繁に使われます。この「エコシステム」という言葉は、ビジネスや経済で使われた場合、いったい何を意味するのでしょうか?

例を示しながら、「エコシステム」という言葉の意味を考えていきます。

エコシステムとは?

エコシステムという言葉が、ビジネスでどのように使われているかを見てみましょう。

エコシステムという単語の画像検索結果をみてみましょう。

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なにやらつながりを表現する図が多いように思えます。どうやら、エコシステムは何かのつながりを示しているようです。

生態系を示す「エコシステム」もつながりから成り立つモデルであることから、ビジネスでもおおむね同じ意味合いで使われていると言ってもよいでしょう。

IT分野の歴史からみるエコシステムの意味

1990年代から、ビジネスでもITが急速に普及してきました。インターネットが登場してからは、コンピューティングとネットワークの組み合わせにより、提供できるサービスの幅が格段に広がりました。

かつては国内でも海外でも大手企業が完全セットのサービスを提供してきましたが、急速な技術の発展とグローバル化の中で競争力を保てなくなりました。

コンピューターの歴史でも、かつての垂直統合型の古いアーキテクチャから、インテル、マイクロソフト、シスコシステムズなどがそれぞれ提供するサービスの組み合わせによって、安く便利で広く普及した現在のサービス形態の基盤(プラットフォーム)となりました。広義で使われるインターネットとも言えるでしょう。

インターネットは、その後、イノベーションの基盤として、世界中のいろいろな企業が技術やサービスモデルを持ち寄り、共存共栄と相互作用をしながら、現在のインターネットの形となりました。イノベーションは、継続性のあるビジネスを提供する上で必要不可欠です。

ビジネスにおけるエコシステムは、「協業」だけでなく「分業」も組み合わせてイノベーションの基盤を作っています。「協業」も「分業」も企業やサービスのつながりですので、エコシステムを画像検索した時に、つながりを示す図が多かったのも納得できます。

よく聞く事例からみるエコシステム

エコシステムの例は非常にたくさんあります。いくつかのよく聞く例をとって考えてみましょう。

アップルのエコシステム

アップルのエコシステムは、アップルの製品群、端末、アプリなど、それぞれが考えられます。

iPhoneでは、チップセット(シリコン)、内臓カメラ、スクリーン、組み立て、販売など、多くの企業が携わっております。このように製造でも協業と分業が成り立っており、ひとつのエコシステムと言えます。

また、iPhone、iPad、iMac、MacBook、iTunes、Apple TVなど、製品それぞれの持つ役割と提供価値(バリュー・プロポジション)によって、消費者のデジタルライフにおける、ひとつのエコシステムを提供しています。

iTunesでは、アップル以外の企業が提供するアプリケーションや楽曲、映画なども組み合わせてエコシステムを形成しています。

いずれの例でも、アップルが中心となって協業と分業により、多くの消費者の心を鷲掴みにするエコシステムを作っています。

クラウドのエコシステム

エコシステムのもう一つの例で、クラウドを考えてみましょう。先ほどのアップルの例と異なり、クラウドは企業ではありません。

クラウドのエコシステムは、非常に早い技術の発展と仕組みの変化が特徴です。ネットワーク、ハードウエア、OS、ミドルウエア、アプリケーション、仮想化の仕組みなど、多くの協業と分業が入り交じっています。

クラウドのエコシステム上の企業は、インタフェースを介して関連技術やサービスを連携をしています。このインタフェースの決まりに独自性が少なければ少ないほど(オープンであるほど)、エコシステムが広がりやすくなります。

このようなエコシステム上では、絶えずイノベーションがおこり、新たな技術やサービスが生まれます。

エコシステムの増殖は、市場の規模によって制約を受けます。市場が大きければ、競争優位性を求めて分業と協業が広がります。それに加えて、市場の質(成長速度)にも影響がありそうです。

エコシステムのまとめ

エコシステムは最近では協業モデルを表す言葉として、少々バズワード化していると揶揄されています。ただ、この言葉の裏にある文脈を考えてみると、なるほどなぁ、と思わされます。

ビジネスにおけるエコシステムは、協業・分業・イノベーションがキーワードですが、その裏で消え行くプレイヤーがいることも忘れてはいけません。生態系の変化を読み取り、企業がその変化に如何に追従していくか、はまさに生態系そのものですね。