サンクコスト(埋没費用)とは

2015年03月05日

サンクコスト(埋没費用)はファイナンスや経済学でよく使われる言葉ですが、マーケターも知っておきたい言葉の1つです。

サンクコストがマーケティングでも重要な理由は、サンクコストは私たちの日常生活のあらゆるところで発生するからです。サンクコストが心理的に働き、BtoBでもBtoCでも意思決定に大きな影響をもたらすことが多くあります。

まずはサンクコストの概要からみていきましょう。

サンクコスト(埋没費用)の概要

サンクコスト(Sunk Cost)とは、既に回収が不可能であるコストを意味します。サンクコストの「コスト」は文字通りお金の費用であったり、労働力などの人的コストの場合もあります。

既に支払ってしまっているなど、どうやっても取り返すことができないコストは、サンクコストとなります。

サンクコストは、どうやっても取り戻せないため意思決定の際に無視すべきであるにも関わらず、実際の意思決定で心理的になかなか無視できません。

さて、いくつかサンクコストの例をみて理解を深めていきましょう。

サンクコストの例〜前売り券を忘れてしまった

サンクコストは、個人の意思決定でも、会社や組織の意思決定でも無視すべきですが、意思決定の場面ではサンクコストが心理的にひっかかってしまいます。

サンクコストが意思決定に及ぼす例で考えてみましょう。

あなたは、サッカー日本代表の試合のチケットに1万円支払ってもよい、と考えているとします。

あなたはサッカー日本代表のチケットを7,000円で購入しました。しかしスタジアムに到着したところで、チケットを自宅に忘れてきたことに気づきました。スタジアムでは当日券が7,000円で売られています。あなたはもう1枚のチケット、すなわち当日券をスタジアムで買って、合計14,000円支払うべきでしょうか?それとも家に帰るべきでしょうか?

サンクコストを経済学の観点で考えれば、あなたはもう一枚のチケットを買うべきです。

あなたは、サッカー観戦に1万円を支払って良いと考えています。つまりあなたがサッカーを見て得られる便益は1万円です。

あなたがスタジアムでチケットを忘れたと気付いた時には、忘れたチケットは何をしても取り返すことができません。したがって、1枚目のチケットに費やしたコストは既に取り戻すことができないため、サンクコストです。ですので、スタジアムに到着して当日券を買うかどうかの意思決定に1枚目のチケットのコストは関与すべきでありません。(でも、人間はそう簡単に割りきれません・・・)

スタジアムに到着した段階では、まだ当日券が7,000円で手に入ることが分かっています。この時点であなたが日本代表の試合を観戦するためのコストは7,000円であり、あなたがサッカー観戦に支払っても良いという金額、つまりサッカー観戦で得られる便益の1万円は、当日券の購入金額を上回っています。したがって、スタジアムで当日券を買うべき、という判断になるはずです。

サンクコストの例〜客の入りが少ない時間帯のあるレストラン

サンクコストの例として、レストランの経営を考えてみましょう。

あなたはご自身のレストランを経営していますが、ランチタイムに全く客が入らないことが分かっています。このような場合、どのように意思決定をしたら良いでしょうか?

レストランでは、家賃、テーブルやイスなどの内装、食器など多くの費用はレストランの営業時間に関わらず必要です。ランチタイムに店を開いても閉めてもこれらの費用は減りません。つまり、サンクコストになります。

あなたがランチタイムに店を開くかどうかの判断は、その他の費用(サンクコスト以外の費用)、つまり食材、人件費、冷暖房費などが、ランチタイム時の少ない客数からカバーできない時に限ります。

サンコストを無視して、時間帯別に売上がサンクコスト以外の費用をカバーできるなら、その時間帯は営業すべきです。このようにして、あなたのレストランの営業時間を決めるべきです。

サンクコストは、季節変動があるリゾート地でのビジネスでも応用ができます。つまり、いつからいつまでを営業日とするか設定する際にサンクコストを除外して、利益が得られる日を営業日とします。

まとめ〜サンクコスト(埋没費用)とは

サンクコストは、組織や個人に関わらず意思決定に心理効果として働きます。既に支払ってしまったものを簡単に捨てられません。

あなたの自宅にも、古くて到底着れない洋服、古いパソコン、など二度と役に立ちそうにないものを取ってありませんか?それらはサンクコストで何をどうしても回収できません。

サンクコストを考えた場合、捨てるしか無いのですから、捨てるかどうしようか悩むことそのものが無意味になります。

サンクコストは組織でも同様に心理的に働きます。

「これだけ費用をかけたから、もう少し出費することによってこれまで払った費用が丸々損しないで済む」、と考えて赤字の事業が続けられることもあります。しかしこの経営判断は、「損している上に、もっと大損しよう」と判断しているのと同義です。過去に使ってしまって回収できないお金は既にサンクコストです。

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