サンクコスト(埋没費用)とは

2017年04月18日

サンクコスト(埋没費用)はファイナンスや経済学でよく使われる言葉です。しかし、営業やマーケティングの意思決定の場面でも、サンクコストは覚えておきたい言葉の1つです。

サンクコストは、サンクコストは私たちの仕事や日常生活のあらゆる場面で発生します。サンクコストが心理的に働き、BtoBでもBtoCでも意思決定によくない影響をもたらすことが多くあります。

1.サンクコスト(埋没費用)の概要

サンクコストとは、既に回収が不可能であるコストを意味します。

サンクコストは英語で「Sunk Cost」と言います。Sunkとは沈むという意味であり、沈んでしまって取り返すことのできない状態であることを示しています。ですので、サンクコストは「埋没コスト」と呼ぶこともあります。

サンクコストの「コスト」は日本語の費用に当たります。お金の費用や、労力などの人的コストです。

サンクコストは、わかりやすい言葉で言うと、「どうやっても取り返すことのできないコスト」となります。すでに支払ってしまった費用、取り返すことのできない過去の時間はサンクコストの対象です。

では、例をみながらサンクコストについて理解を深めていきましょう。

2.例でサンクコストを考える

サンクコストの例はみなさんの日常生活でもよく発生します。それくらいサンクコストはよく見かけることがあります。

2-1.サンクコストの例:前売りチケットを忘れて会場にやってきた

最初のサンクコストの例は、事前にチケットを購入したにもかかわらず、そのチケットを忘れて会場に到着してしまった話です。

サッカーの日本代表戦の試合のチケットを買いました。チケットは事前販売で7,000円でした。1万円までなら日本代表戦のチケットを買っても良いと思っていたため、即買いました。

残念なことに、サッカーの試合の当日、スタジアムに到着してからチケットを自宅に忘れてきたことに気づきました。このままではサッカー日本代表の試合を見ることができません。

しかしラッキーなことに、スタジアムでは当日券を売っていました。偶然にもその費用は7,000円でした。(多分、実際にはこんなことはないと思います。)

この当日券を買うと、本来なら7,000円でサッカー日本代表の試合を見ることができたのですが、合計14,000円支払うことになります。あなたは合計14,000円を支払ってサッカー日本代表の試合を見ますか?それとも家に帰りますか?

あなたが少しでも判断に迷ったら、サンクコストが意思決定を鈍くしていると言えるでしょう。

2-2.すでに支払ったチケット費用がサンクコスト

サンクコストが意思決定の邪魔をする例はいかがでしたか?

先ほどのサンクコストの例は、経済学の観点で言えば、あなたはもう一枚のチケットを買うべきです。

あなたはサッカー観戦に1万円を支払って良いと考えています。つまりあなたがサッカーを見て得られる便益は1万円です。

経済学と便益について
経済学では便益という言葉をよく耳にします。便益は、マーケティングでいうとメリットや価値などが最も近い言葉でしょう。

あなたがスタジアムに到着して前売りチケットを忘れたと気づいた時、忘れたチケットは何をしても取り返すことができません。つまり、忘れたチケットに費やしたコストは、スタジアムに到着したあなたにとってどうやっても取り戻すことができないため、明らかにサンクコストです。

ですので、スタジアムに到着して当日券を買うかどうかの意思決定に1枚目のチケットのコストについては無視すべきです。新たなチケットの購入という意思決定にサンクコストは全く関係がないからです。

スタジアムに到着した段階では、まだ当日券が7,000円で手に入ることが分かっています。この時点であなたが日本代表の試合を観戦するためのコストは7,000円であり、あなたがサッカー観戦に支払っても良いという金額、つまりサッカー観戦で得られる便益の1万円は当日券の購入金額を上回っています。したがって、スタジアムで当日券を買うべき、という判断になるはずです。

2-3.サンクコストの例:ビジネス街レストランの土日営業

サンクコストの2つ目の例は、レストランです。レストランのオーナーになった気分で読んでください。

あなたはレストランを経営しています。あなたのレストランはオフィスビル街の真ん中にあります。平日は昼夜問わず多くのお客さまがあなたのレストランに訪れます。しかし残念ながら、土日祝日などの休日はお客さんが少なくなります。

レストランは土日休日も開店すべきかどうか、あなたはどのように意思決定しますか?

2-4.家賃、備品、設備はどうやって考える?

レストランでは、家賃、テーブルやイスなどの内装、食器や調理器具など多くの費用はレストランの営業時間や営業日に関わらず必要です。土日休日に店を開いても閉めてもこれらの費用は減りません。つまり、サンクコストになります。

せっかく道具がそろっているのだからレストランを営業すべきだ。という意思決定は、サンクコストが悪い影響をもたらしていると言えます。

あなたがランチタイムに店を開くかどうかの判断は、その他の費用(サンクコスト以外の費用)、つまり、食材、人件費、冷暖房費などが、休日の少ない客数からの売り上げでまかなえるかどうかに依存します。家賃などのサンクコストを考慮する必要はありません。

サンクコストは、季節変動があるリゾート地でのビジネス、居酒屋のランチ営業などでも応用ができます。つまり、いつからいつまでを営業日とするか設定する際にサンクコストを除外して、利益が得られる日を営業日とすべきです。

3.日常生活にもサンクコストがいっぱい

サンクコストは、どうやっても取り戻せないため意思決定の際に無視すべきであるにも関わらず、意思決定の場では、「せっかく◯◯なのに」と、心理的な影響によって無視することができなくなってしまいがちです。

もう使うことのない古いパソコンが自宅や会社の倉庫に保管されていたりしませんか?古いパソコンはもう使うことがなく、捨てるしかないわけですから、捨てるかどうか悩むことそのものが無意味です。

注文して運ばれてきた料理の味が思っていたものと違って食べたいと思わなかった時、あなたはどうしますか?注文した時点で支払うことが確定しています。合理的に考えるのであれば、すでに支払いが確定した料理のことは忘れて別の料理を注文すべきです。

「もったいない」と思いサンクコストを意思決定の要素として取り入れてしまうと、誤った判断をしがちです。

4.まとめ〜サンクコスト(埋没費用)とは

サンクコストは、組織や個人に関わらず意思決定に心理効果として働きます。既に支払ってしまったものを簡単に捨てられません。

あなたの自宅にも、古くて到底着れない洋服、古いパソコン、など二度と役に立ちそうにないものを取ってありませんか?それらはサンクコストで何をどうしても回収できません。

サンクコストを考えた場合、捨てるしか無いのですから、捨てるかどうしようか悩むことそのものが無意味になります。

サンクコストは組織でも同様に心理的に働きます。

「これだけ費用をかけたから、もう少し出費することによってこれまで払った費用が丸々損しないで済む」、と考えて赤字の事業が続けられることもあります。しかしこの経営判断は、「損している上に、もっと大損しよう」と判断しているのと同義です。過去に使ってしまって回収できないお金は既にサンクコストです。

サンクコストに打ち勝つためには「勇気を伴うあきらめ」が必要です

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