マーケティングオートメーション活用で得られる効果とは?

この記事では、 BtoBマーケティングにおけるマーケティングオートメーションの活用で得られる効果についてご説明します。
マーケティングオートメーション活用の効果を始めとし、マーケティングオートメーション導入の目的や役割を明らかにしながら、効果を出すための運用のコツをご紹介していきます。
本記事のまとめ
マーケティングオートメーションは見込み客の「管理」「獲得」「育成」「抽出」の機能がある マーケティングオートメーションで長期的な顧客育成により新規の案件を獲得できる マーケティングオートメーションで既存顧客からのアップセル・クロスセルが実現できる マーケティングオートメーションでマーケティング活動全体のROIを可視化できる
この記事のもくじ
マーケティングオートメーションの概要
マーケティングオートメーションの効果について知るために、まずはマーケティングオートメーションの概要について復習していきましょう。
マーケティングオートメーションとは
マーケティングオートメーションは、これまでバラバラに存在していたデジタルマーケティングに必要なツールが1つのクラウドサービスにまとまったものです。
顧客の興味関心に合わせたコミュニケーションを実現することで顧客との長期的な関係が構築できるようになります。
日々の膨大な作業を簡素化・自動化し、さらには施策がどのように成果につながったのかまで測定することができます。販売促進施策を少ないリソースで成果につなげて、営業活動に必要な情報を可視化するツールと言えます。
マーケティングオートメーションについて基本からお知りになりたいかたは「たった5分で理解するマーケティングオートメーション」に分かりやすくまとめてありますので、合わせてご覧ください。
マーケティングオートメーションの主な機能
マーケティングオートメーションには様々な機能がありますが、以下のような機能があります。

マーケティングオートメーションの機能についてお知りになりたいかたは「マーケティングオートメーションの機能のまとめ」に分かりやすくまとめてありますので、合わせてご覧ください。
マーケティングオートメーションでできること
マーケティングオートメーションでできることについて、マーケティング活動の全体像から解説していきます。
マーケティング活動は大きく分けて3つのプロセスに分解することができます。
まず「見込み客を獲得」してきて、情報提供をして「見込み客を育成」して、最後に営業に引き渡す「見込み客を抽出」します。
見込み客の管理
見込み客の情報である「個人情報(属性情報など)」「オンライン行動履歴」「オフライン行動履歴」を一元管理できます。
この見込み客管理のデータベースが、「リードジェネレーション」「リードナーチャリング」「リードクオリフィケーション」の全ての基盤となります。
見込み客の獲得(リードジェネレーション)
マーケティング活動により顧客の連絡先情報や基本情報などを獲得します。
見込み客情報の獲得方法には、オフラインであれば展示会やセミナーへの参加、営業担当者による名刺交換があります。
オンラインであればWebサイトからの問合せや資料請求、無料PDFダウンロード資料、メルマガ登録などで見込み客情報を獲得します。
リードジェネレーションで、マーケティングオートメーションの効果を高めるには、ツールのフォーム作成機能を使うことがおすすめです。
見込み客の育成(リードナーチャリング)
集めた見込み客の購買意欲を高めて、見込み客を育成していきます。
見込み客の属性や関心に合わせて、適切なコンテンツを適切なタイミングで配信し、購買意欲を高めていきます。
リードナーチャリングはマーケティングオートメーションの、顧客管理機能やメール配信機能、シナリオ機能を使って行います。
見込み客の抽出(リードクオリフィケーション)
見込み客の中から、優先的にアプローチすべき顧客を抽出し、営業部門に案件として渡します。
リードクオリフィケーションには、マーケティングオートメーションの顧客管理機能やスコアリング機能を使って行います。
マーケティングオートメーション導入の目的
マーケティングオートメーション導入の目的を考える前に、BtoBにおける購買プロセスの特徴を振り返ってみます。
BtoBの購買行動プロセスは、BtoCの購買行動プロセスとは異なり、最適化された企業活動の一部として機能します。主な特徴としては以下の3つがあげられます。
購入する製品やサービスの規模に応じて、担当者から管理者、経営層までが購買意思決定に携わります。さらに立場によって検討する事項も異なってきます。現場担当者は使いやすさや現状の煩雑な業務が改善できるかを、経営層に近くなるほど費用対効果や中長期の経営戦略との関係性を考えることが多くなります。
多くの人が意思決定に関わるため、購入決定まで時間がかかることが多いことが特徴です。現場担当者から稟議をあげ、決裁がおりてから実際の納品まで数ヶ月、年単位での時間がかかることもあります。また、企業では予算が決まっているため、社内の調整により次の時期まで先送りされてしまうケースもあるでしょう。
一度取引が始まればその後も関係が継続していくことが多いのが特徴です。企業が抱える問題を解決する課題解決型のサービスや製品を求めている場合が多く、サービスや製品力に加えて提案力や担当者による対応力によってその後の信頼関係構築が左右されます。このポイントを押さえていれば、取引先選定の手間やコストを考えて、長くお付き合いをする関係性の方が合理的と言えます。
BtoBの購買行動プロセスについて基本からお知りになりたいかたは「 BtoBの購買行動プロセスの詳しい解説」に分かりやすくまとめてありますので、合わせてご覧ください。
本題のBtoB企業がマーケティングオートメーションを導入する目的をご説明していきます。

企業における購買習慣の変化に対応する
インターネットの普及により、顧客は情報収集が簡単に行えるようになりました。わざわざ営業担当を呼んで情報収集する必要がなくなっているのです。営業担当にコンタクトをする前に、約6割の顧客が検討段階を終えているという調査結果もあります。購入検討の際の情報収集手段としては、インターネットで企業サイト等を確認する割合が最も多く占めています。資料請求などを通して詳細な情報を取得するとともに、競合企業からも情報を取得して比較検討を行い、最適な業者を選定するという流れとなります。こうした顧客の購買習慣の変化に対応して、アウトバウンド型からインバウンド型の営業手法への切り替えが必要になってきています。
見込み客データベースの管理を強化する
これまで多くのBtoB企業では、商談の情報管理はできていたものの、名刺情報や展示会で獲得した見込み客のリストを整備して、管理分析することまでは行えていませんでした。そうした見込み客の情報を一元管理できていなかったことによって、商談の掘り起こしや 休眠顧客の掘り起こしが行えず、機会ロスが発生していたとも言えます。見込み客の情報を一元管理し、案件につながりそうな顧客を探すことが、効率的な営業活動には必要となってきています。
One to One マーケティングの実現
市場の変化が激しく、ニーズが多様化している現在では、見込み客一人一人のニーズを的確に把握して、それぞれに合わせた課題解決の提案をする One to Oneマーケティングの実施が必要となっているのです。
マーケティングオートメーション導入による効果
マーケティングオートメーション導入によってどのような効果が得られるのかご紹介していきます。
過去に案件化・受注しなかった顧客からの受注
見込み客を獲得してから成約に至るまでの歩留まりをみてみると多くの場合、成約率は10%以下となっています。せっかく見込み客を獲得しても90%以上の顧客は成約に至っていないのが実情です。しかし過去にニーズがなくて案件化や受注に至らなかった顧客でも、その後、ニーズが顕在化した際には必ずと言っていいほどWebサイトに訪問します。そのタイミングを逃さずに、再度案件化や受注に繋げることができるようになります。
長期的な顧客育成により「まだまだ客」から案件を獲得
今すぐには製品の導入・購入に至らないような潜在顧客層でも、継続的に関係を保っていくことは購買プロセス上重要です。今すぐ購買につながらない見込み客のうち、およそ8割は2年以内に自社もしくは競合から購入するというデータもあります。(出典: Sirius Decision)定期的なメール配信を行い、顧客の購買意欲を高め、顧客との接点を持ち続けていけば、2年以内には受注に至る可能性があるということです。
既存顧客からのアップセル・クロスセルの実現
マーケティングオートメーションツールは、新規の顧客獲得のためだけにあるものではありません。既存顧客に対するアプローチにも効果的です。既存顧客とメール配信で継続的な関係を保ち、顧客のニーズの高まりを見逃さずにアプローチすることで、アップセルやクロスセルを実現することが可能です。
マーケティング分析でROIを可視化し最適にする
ウェブやメールのリンクのクリック分析だけでなく、あらゆる見込み客の行動の追跡と分析からマーケティング活動全体の改善を行うことができます。オンラインの行動だけではなく、展示会やセミナー参加のオフラインの行動もスコアとして記録することができるので、マーケティング分析により施策のROIを可視化することができます。
マーケティングオートメーションの機能について基本からお知りになりたいかたは「マーケティングオートメーションの成功事例にみる使い方の特徴」に分かりやすくまとめてありますので、合わせてご覧ください。
効果を出すための導入時の注意点と運用のコツ
マーケティングオートメーション活用によって大きな効果を得るためには、どのような点を注意して導入し、運用していけば良いかポイントをご説明します。
導入における注意点
マーケティングオートメーション導入による効果を最大限にするために、あらかじめ考えておきたい注意点は以下の3点です。
マーケティングオートメーション導入で何が実現したいのかという目的意識とそのための戦略が欠かせません。運用していけるだけの知識や連携力、リソースが十分か確認しましょう。
自動化できるのはマーケティング担当者の「行動」部分のみです。
「どの顧客と、どのタイミングで、どのようにコミュニケーションを取るか」といったシナリオを考えることや、施策のストーリーそのものを考えることは人間が行わなければいけません。
導入のみのサポートであったり、運用のサポートがあっても対応方法はベンダーによって異なったりすることが多いため、あらかじめ確認しておきましょう。
効果を出すための運用のコツ
マーケティングオートメーション導入による効果を最大限にするためには、以下の4点が運用していく上での重要なコツとなります。
顧客データベースに抜け漏れがあると、せっかくのマーケティング活動が機会ロスにつながることも考えられます。獲得した見込み客情報は忘れずにデータベースへ登録しましょう。最近では名刺管理システムとの連携が可能なマーケティングオートメーションもあります。
提供するコンテンツは「情報収集用」「ソリューション比較用」「製品説明用」など、BtoBの購買プロセスに対応できることが望ましいです。もしもコンテンツがまだ準備できていないということであれば、社内に転がっている顧客にとって有益な情報を集めてコンテンツや文章にまとめると良いでしょう。
マーケティングオートメーション導入により、業務が効率化するのは事実ですが、これまでのプロセスが変化するということを理解し業務フローを整備しておく必要があります。加えて既存のツールとの連携も考えておきましょう。どこまでをマーケティングオートメーションでカバーするのかを設計しておきます。
営業とマーケティングの意識をすり合わせ、同じ目的意識をもって連携できる環境を作り上げておくことが重要です。例えば、営業に案件として引き渡すホットな見込み客の判定基準も、「使えないリスト」にならないよう認識を合わせて設定しておく必要があります。
マーケティングオートメーション運用のコツについて基本からお知りになりたいかたは「マーケティングオートメーションの導入で知っておきたい知識と運用のコツ」に分かりやすくまとめてありますので、合わせてご覧ください。
さいごに
マーケティングオートメーションの活用によってどのような効果が期待できるかを、導入の目的や運用のポイントを交えてご紹介してきました。これからマーケティングオートメーション導入をご検討されている方や、なかなか効果が実感できていない方にお役立ていただけますと幸いです。
このブログの記事では、みなさんのBtoBマーケティングの参考となる情報を集めました。役に立つと思ったら、同僚やお知り合いにもご共有くださいませ。