マルチパートメール配信でHTMLメールの開封率をアップしよう

企業のマーケティングメールでもHTMLメールが増えました。HTMLメールは、リッチな表現ができる一方で、マーケティング担当者の悩みのタネにもなっています。
ある日お客さまから、「あなたのところから空メールが届いたのだけど・・・」なんて例も少なくありません。このような事象はなぜ発生するのでしょうか?
ここで紹介するマルチパートメールを使えば、このような事象を避けることができます。
この記事のもくじ
1.マルチパートメールの基礎
まずはマルチパートメールの概要と、マルチパートメールが必要となった背景について解説します。
1-1.なぜHTMLメールなのか?
マーケティング目的のメールは、HTML形式が急速に普及しています。
HTMLメールは従来のテキストメールに加えて、画像を挿入したり、文字の大きさやレイアウトを変更できたりするため、メールの本文をリッチに表現できます。
例えばHTMLメールでは、文字を大きくしてキャッチコピーを目立たせたり、画像を挿入して商品に興味を引かせたりできます。
また、HTMLメールでは、本文に画像などのオブジェクトを埋め込んで、そのダウンロードの有無を調べることで、メールの開封が確認できます。
HTMLメールで受信者の開封を確認する方法については、「【総集編】メルマガ開封率の平均とメルマガ開封率を最短で改善する方法|カイロスのマーケティングメール」でまとめてあります。こちらの参考にどうぞ。
HTMLメールのメリットは、表現のリッチさと、開封の確認にあります。そのため、マーケティングの現場では最近HTMLメールをよく使うようになりました。
HTMLメールのメリット
画像を挿入・文字やレイアウトの変更ができるため、イメージや文字の大きさで受信者の興味をつかみやすい 画像などを使うことで、メールの開封を計測できる
1-2.HTMLメールに潜む問題点
弊社ではマーケティングオートメーション「Kairos3」を提供しています。もちろんメール配信もマーケティングオートメーションの1つの機能です。弊社のお客さまからも、こんな質問を時々みかけます。
弊社からのメールを受け取ったお客さまから「メール本文が真っ白でした」と言われました
これはHTMLメールの受信をブロックしていたり、そもそも端末がHTMLメールをサポートしていない場合に起こります。iPhoneでもMMS(メッセージアプリ)でメールを受信する仕様となっている通信事業者の場合、この現象が発生します。
この問題を解決するのが、マルチパートメールです。
1-3.マルチパートメールとは
マルチパートメールとは、1つのメール本文で「HTML形式」と「テキスト形式」の両方のメッセージを同時に送るメールのことです。
マルチパートメールでは、HTMLメールが表示できない受信者の環境の場合に、自動的にテキスト形式の本文を表示します。HTMLメールを受信できる環境の場合には、HTMLメールを表示します。
マルチパートメールの詳細については、次章から説明していきます。
2.マルチパートメールの仕組み
マルチパートメールの仕組みについて、もう少し詳しく理解していきましょう。
2-1.マルチパートメールの概要
マルチパートメールは、1つのメールの中で、テキスト本文とHTML本文の2つが存在します。通常では、HTMLメール本文を優先して表示します。
マルチパートメール本文内で、HTML形式かテキスト形式の表示を決めるのは、受信者のメールソフトです。HTMLメールを優先して表示しますが、メールソフトの設定などが理由でHTMLメールを表示出来ない場合には、テキストメールの本文を表示します。
マルチパートメールはこのように、テキスト形式とHTML形式の2つのメールを一度に配信するような形でメールを届けます。
2-2.マルチパートメールの構造
次に、マルチパートメールをもう少し詳しくまなびましょう。
まずは一般的なテキストメールの構造です。
通常、メールのヘッダがあり、それに続く本文があります。メールヘッダで、文字コードやメールコンテンツのフォーマットを指定します。それが、「Content-type」です。
テキストメールでは、「Content=type: text/plain」となっています。
マルチパートメールもテキストメールと同様に、メールヘッダとメール本文に分かれています。しかし、メールヘッダの「Content-type」が「multipart/alternative」となります。
それに続く「boundary」で、テキストメール本文とHTML本文の境目を指定します。
マルチパートメールでは、メール本文部分に、HTMLメールの内容とテキストメールの内容が両方入っています。これをみて、メールソフトがどちらのメールを表示するかを決めています。
3.マルチパートメールのメリット
マルチパートメールのマーケティング利用は年々増えています。以前はメール配信といえば、テキストメールが中心でしたが、今では端末やメールソフトウエアの機能が充実してきており、多くの企業でHTMLメールやマルチパートメールを利用しています。
さて、なぜ多くの企業でマルチパートメールを使っているのでしょうか?マルチパートメールを送るメリットについて触れていきたいと思います。
3-1.マルチパートメールでHTMLメールが受信できない環境にもメールを届ける
HTMLメールの受信環境が増えている一方で、古いタイプのケータイや、スマホでも携帯電話会社が提供するメールアドレスをSMS/MMSのメールアドレスで読む場合など、HTMLメールを受け入れない環境のお客さまがいらっしゃいます。
メールソフトで、HTMLメールをあえてブロックするお客さまもHTMLメールが受信できない環境といえます。
マルチパートメールを使えば、HTMLメールを受信できない環境にあるお客さまに、テキストメールを届けることができます。その結果、より多くのお客さまにメールが届くようになります。
HTMLメールを受信できない環境でHTMLメールを受信すると、多くの場合メール本文が真っ白になるようです。お客さまは、あなたの会社が間違えて空メールを送ってきたと思い、あなたの会社に苦情を告げるかもしれません。このような事態をさけるためにもマルチパートメールを日頃から活用しましょう。
3-2.メールの開封率を測定できる
あらゆるお客さまにメールを届けるためには、テキストメールが便利です。先ほどのようなHTMLメールを受信できない環境にあるお客さまにもメールを届けることができるからです。
しかしHTMLメールを使えばリッチなコンテンツを作成でき、あなたのメッセージをより明確にお客さまに伝え、お客さまの購買意欲を刺激することができます。
それだけでなく、HTMLメールを使えばメールの開封率など、メール配信の結果を評価する指標がわかります。これは企業のマーケティングには重要です。
HTMLメールでは、メール本文に開封計測用のオブジェクトを埋め込むことで、メールの開封をチェックできます。くわしくは「【総集編】メルマガ開封率の平均とメルマガ開封率を最短で改善する方法|カイロスのマーケティングメール」でまとめました。合わせてごらんください。
マルチパートメールを使うと、企業マーケティングにとって大事なメール配信結果がわかると同時に、より多くのお客さまにメールを届けることができます。
3-3.マルチパートメールで受信ブロックを減らす
マルチパートメールは、迷惑メールフィルタにかかりにくいという諸説もあります。実際のところ、迷惑メールフィルタの仕様は各社で異なりますし、その実装も日々変化しています。また、迷惑メールフィルタの仕様が公開されていない以上、あくまで諸説としました。
テキストメールが最も迷惑メールフィルタにひっかかりにくい形式ですが、マルチパートメールはHTMLメール部分がある以上、HTMLメールとくらべて、フィルタに引っかかる割合はあまり変わらないものと推測します。
4.マルチパートメールの作り方
マルチパートメールを自分で作ることは極めて難しいです。通常のメールソフトでは、メールのヘッダ部分の編集ができません。
マルチパートメールの送信には、メール配信専用のツールを使うことが一般的です。
マーケティングオートメーション「Kairos3」の場合、コンテンツ作成画面で、文章だけのHTMLメールの場合、HTML形式で作成した本文をテキスト形式本文にコピーするだけです。
たったこれだけで、マルチパートメールが完成し、あなたのメールの開封率が測定できると同時に、より多くの環境にあなたのメールが届くようになります。
5.さいごに
マルチパートメールは、多少の手間でも必ず設定するようにしておきましょう。全てのマーケティングメールでは、マルチパートメールを設定する運用フローを確立しておくとよいでしょう。
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