開封率50%超を目指すメルマガの配信リストの作成方法

メールの配信リストは、メールマーケティングの効果を左右する重要な要素の1つです。
メールの配信リストは、あなたのビジネスに収益をもたらす集団を特定できて、はじめて効果的と言えます。継続的に成果をあげているマーケターが着目しているポイントです。
あなたが配信するマーケティングメールで十分に配信リストに気配りしていますか?メールの配信リストには多くの改善のポイントがあるはずです。
この記事のもくじ
1.セグメンテーションをおさらいしよう
マーケティングではセグメンテーションは最も基本的な事項であり、セグメンテーションには多くの方法があります。
メルマガ配信で言えば、メルマガの配信リストがセグメンテーションにあたります。
1-1.セグメンテーションの概要
セグメンテーションとは、不特定多数の顧客を似通ったニーズや特徴を持った複数のグループに分類することです。
マーケターのみなさんに覚えておいていただきたいセグメンテーションの基本的なことは「マーケターなら必ず抑えておくべきセグメンテーションの基本事項|カイロスのマーケティングブログ」にまとめてあります。あわせてごらんください。
マーケティングの現場では、年齢・性別・年収、業種・地域など、見込み客のデモグラフィックに基づいてセグメンテーションをすることが一般的です。商品開発、広告・宣伝など、マーケティングミックスのあらゆる場面でデモグラフィック属性を活用しています。
マーケティングミックスは、マーケティング業務の概念を示す有名なフレームワークです。製品(戦略)、チュウチュウ、広告・宣伝、価格の4つを指しています。詳しくは「マーケティングミックス(4P)を実践レベルで使う7つのコツ|カイロスのマーケティングブログ」が参考になります。
しかし、売上アップを目的としたマーケティングでは、デモグラフィックを活用したメール配信リストでは思ったように効果が出ないことがあります。
マーケティング効果が売上に直結する企業マーケティングでは、デモグラフィックの特徴よりも、価値観や選好などの特性の方が購買行動への影響が大きいことが原因です。
メールを活用したマーケティングにおいて、デモグラフィックを活用してメール配信リストを作成することは、手法としては不十分といえるかもしれません。
1-2.メール配信リストに活用したいセグメンテーション
マーケティングでは、一般的に、サイコグラフィックが注目を集めています。サイコグラフィック属性とは、お客さまの嗜好や価値観などの特性をさします。サイコグラフィックは商品開発、企業のブランディングや広告戦略で有効なセグメンテーションの方法です。
BtoBマーケティングの領域では、サイコグラフィックによるセグメンテーションは、ある見込み客の購買における意志決定に大きな影響を与えることができるでしょうか?また、サイコグラフィック属性を取り入れたメール配信リストは、十分な効果があるでしょうか?
BtoBマーケティングは、購買に複数の関係者が関わり、合理的に購買を判断する特徴があるため、サイコグラフィック属性によるセグメンテーションを活用して、見込み客の嗜好や価値観を刺激して認知度や好感度への影響を与えることができます。
BtoBマーケティングは、マーケティング書籍によく取り上げられる消費者マーケティングとくらべて、数多くの特徴があります。BtoBマーケティングの特徴は「教科書が教えないBtoBマーケティングの実際|カイロスのマーケティングブログ」にまとめました。
しかし、このような購買者の感情が最終的な意志決定とは関係性が薄いため、購買の最終的な判断の大きな要因となりません。
このような理由からサイコグラフィック属性は、企業の購買行動プロセスや意志決定の根拠になるとはいえません。
2.売上アップにつながるメール配信リスト作成の原則
メルマガやその他のメールを使ったマーケティングにおけるセグメンテーションで着目すべきは、見込み客の購買行動です。見込み客の購買行動のデータを注意深く分析すれば、購買の意志決定につながる特徴を見出すことができます。
その上で、購買行動中の見込み客にメルマガの配信リストで、あなたのメッセージを届けるために有効なセグメンテーションは、
メルマガで有効なセグメンテーション(配信リスト)の必要条件
購買につながる特徴あるニーズでまとめることができる あなたのメッセージを届けることができる 自社の優位性を見いだせる
を注意しましょう。
セグメンテーションの本来の役割は、見込み客の購買行動の中から特徴やパターンを見出し、それをまとめることにつきます。
そして、以下の3つについて考えれば、さらに実用性の高いメール配信リストを作成できるでしょう。
実用性の高いセグメンテーション(メール配信リスト)で考慮するポイント
商品の特徴のうち、お客さまにとって最も需要なものは何か? 高い賞金を支払ってくれるのはどのお客さま?低価格を求めるお客さまは? あなたの既存顧客の長所と短所は何か?
これらのセグメンテーションのアプローチをメール配信リストの作成で考慮すれば、実用性の高いセグメンテーションを見いだせるだけでなく、事業戦略や営業戦略上で最も重要なメール配信リストを素早く見つけることができるでしょう。
3.見込み客の行動をメール配信リストに活用してみよう
企業のマーケティング活動では、見込み客の興味・関心を、ターゲットのペルソナや、業界、役職、部門、地域などのデモグラフィックを軸にしたセグメンテーションのみから「推測」していました。
このやり方には改善できる点が多くあります。
3-1.行動履歴が教えてくれること
ここまで紹介してきたとおりに適切なメール配信リストを作成できれば、あなたの見込み客の購買行動プロセスを加速して、売上が増えるはずです。
見込み客の購買行動には、効果の高いメール配信リストの作成に関する多くのヒントがあります。
Webサイトの閲覧履歴やメール本文内のリンクのクリックは、見込み客の購買行動にあたります。これを記録して、見込み客のニーズやウォンツを読み取り、見込み客の興味・関心に合わせたメルマガを提供すれば、見込み客の購買行動を加速できます。
一方、見込み客の行動の履歴は、Webのログやメール配信システムから、それぞれ断片的に獲得できます。このように得られる見込み客の行動履歴には、見込み客のニーズやウォンツのヒントとなる情報を多く含んでいます。
例えば、「展示会 見込み客 フォローアップ」という検索キーワードでWebサイトへと訪れて、「展示会のお礼メールの書き方」というページを見た上で、「展示会で得た見込み客情報から売上につなげる」という無料ガイドブックをダウンロードした見込み客のニーズは容易に推測できるはずです。
メールを活用したマーケティングでは、見込み客の行動履歴からメール配信リスト作成すれば、自然と最適なメールマーケティングが実現できるわけです。
3-2.意志決定に有益な行動ターゲティング
見込み客の行動を購買行動モデルと照らし合わせることによって、購買段階のレベルが把握できます。
それにくわえて見込み客の行動履歴、つまりアクセスしたWebページや検索キーワードから「何に」興味関心があるかを推測できます。
BtoBマーケティングに関する見込み客の購買行動プロセスは「5分で覚える購買行動プロセスの解説〜BtoB営業・マーケティング担当者なら必ず覚えるべき基本事項|カイロスのマーケティングブログ」にまとめました。合わせてごらんください。
見込み客の行動履歴を見れば、見込み客の興味関心、悩みや解決すべき課題が精度よく推測できます。これらの情報があれば、あなたがすべきマーケティング・アプローチや営業アプローチはかなり明確になります。
従来のマーケティング手法の中心であった、業種や役職、部門、企業規模の情報などのデモグラフィックをターゲットとしたアプローチでは、マーケティング担当者の経験と勘によって、見込み客のニーズを見抜いていました。
しかしWebでの行動履歴や検索キーワード、メール配信への反応などのデータがあれば、今すぐアプローチすべき見込み客(ホットリード)を探し出せるだけでなく、ホットリードのニーズとそれに対する適切なアプローチが見いだせます。
3-3.見込み客の行動をメール配信リスト作成に取り入れるの例
見込み客のどのような行動がメール配信リストのキーとして使うことができるでしょうか?
例えば・・・
メール配信リスト作成で着目すべき見込み客の行動の例
開封やクリックなど反応したメールの種類 反応するオファリングの種類やタイプ Webアクセスやメール配信への反応など最後に行動履歴がみられる日時 最も良く反応している見込み客 SNSのシェアやメンションなど 訪問のきっかけになった検索キーワード 閲覧したWebページの種類やタイプ、ページ数など 登録したフォーム ダウンロードしたコンテンツの種類やタイプ
のような行動があります。
このような特定行動に着目して、メール配信リストを作成すれば、より実用性が高く効果が見込めるメールマーケティングが実現できるでしょう。
4.行動に着目したメール配信リストを作成してメールの開封率を改善する
メルマガの配信リストを、見込み客の行動履歴に着目した場合の効果を見ていきましょう。
4-1.メルマガの開封率について
みなさんのマーケティング活動の中で、メルマガの開封率はどの程度でしょうか?
メルマガのの開封率、開封計測の仕組みなどは「【総集編】メルマガ開封率の平均とメルマガ開封率を最短で改善する方法|カイロスのマーケティングブログ」でまとめました。是非参考にしてください。
メルマガの配信で自社の持つ全ての見込み客を対象とした場合、メルマガの開封率はおおよそこのデータどおりの10%前後に落ち着くでしょう。
4-2.メルマガの配信リストに行動の概念を取り入れると
しかし、業種や役職などのデモグラフィックの情報からメール配信のターゲットを絞り込むと20%近くのメルマガの開封率が期待できます。
フォームの登録や特定PDFやホワイトペーパーのダウンロードをした見込み客へのメールの開封率は、弊社カイロスマーケティング株式会社の場合ですと、倍以上のメールの反応がありました。
メルマガの配信リスト作成で、行動履歴によるセグメンテーションに着目するだけで、このようにメルマガの開封率は向上します。
みなさんも是非お試しください。
4-3.メルマガの配信リストを工夫しよう
このように見込み客の行動履歴によって自社の顧客リストをセグメンテーションしてメルマガ配信リストに反映させると、売上につながる良質な見込み客の抽出が可能になります。
メルマガの配信結果をみながら、見込み客の行動を調べセグメンテーション化してメルマガの配信リストに改善を繰り返すと、このようなセグメンテーションに到達するでしょう。
行動履歴に基づいたセグメンテーションの例
特定期間内に料金表のWebページを2回以上閲覧した Webの問合せページを2回以上閲覧している(が、問合せはしていない)
行動をターゲットとしたメール配信では、見込み客の反応、つまりメールの開封率やクリック率が向上します。したがって、行動をターゲティングしたメール配信は、リードナーチャリングなどでは欠かせません。
4-4.より大きな成果を上げるために
行動に着目したターゲティングを設定してマーケティング活動を展開すれば、デモグラフィックに基づいたマーケティングよりも効果があります。特にWebの行動に着目したターゲットを設定した場合、あなたのメルマガで高い反応を得ることができます。
従来のメール配信システムでは、メルマガの開封やクリックスルーのみに着目しています。Webでの行動履歴に着目してターゲッティングはより大きな効果があるものの、まだ取り組んでいる企業は多くはありません。
その一つの理由に、従来のメール配信システムでは、Webでの行動履歴が追跡できなことがあげられます。
マーケティングオートメーションは、従来のメール配信システムが持つ課題を解決します。
マーケティングオートメーションは、メールやソーシャルメディア、Webなどを活用して、企業のマーケティング活動の効果をより高くしながら運用効率よくすることを目的としたソフトウエアです。日本では「マーケティングオートメーション」や、Marketing Automationを略して「MA(エムエー)」などと呼びます。
より大きな効果をもたらすメール配信リストを作成するためには、見込み客の行動に着目すべきです。例えば見込み客の以下の行動に注目します。
業種、会社名、役職、部門などのデモグラフィックデータ メールの送信、開封、クリック、エラー、解約などの履歴 Webの訪問履歴、資料のダウンロード、検索キーワード 展示会への来訪やセミナーの参加などのオフラインの履歴 購買履歴や(競合の)利用製品などの情報
このような行動履歴を顧客管理データベース(CRM)に記録しておきます。
顧客管理はマーケティング活動には欠かせません。顧客管理についてもっと理解を深めたい場合にはまずは「顧客管理とは?〜顧客管理の基本を学ぼう|カイロスのマーケティングブログ」が参考になります。
顧客管理データベース(CRM)の情報に、ある条件に基づいてフィルタリングしながら、特定行動に基づいたターゲティングを行います。ある特定期間にFAQを2回見た見込み客などのフィルタリングに基づくターゲティングをします。
メルマガで適切なセグメンテーションをすれば、開封率50%程度の高い開封率のメルマガも夢ではありません。詳細は「【総集編】メルマガ開封率の平均とメルマガ開封率を最短で改善する方法|カイロスのマーケティングブログ」にまとめました。合わせてごらんください。
5.常に消費行動の変化を的確に捉えメルマガの配信リストを作りなおそう
企業のマーケティングでメールを活用する場合には、セグメンテーションが大事です。セグメンテーションとは、あなたの将来のお客さまの購買行動プロセスに関わる実像を総合的に描き出す大きな仕事です。
このようなセグメンテーションの方法を活用して作成するメールの配信リストは、継続的な仕事です。
メールマーケティングにおける優れたセグメンテーションは、絶えず変化するお客さまのニーズや行動に着目しなくてはなりません。景気の変動や新たな市場や技術の登場など、あなたのビジネス環境の変化に応じて変更すべきです。
メールの配信リストは、1つか2つの要素に的を絞ってセグメンテーションするため、時間の経過とともに意味が薄れてきたら、新たに考えなおす必要があります。