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ブルーオーシャン戦略とは?

世の中にはブルーオーシャン(青い海)とレッドオーシャン(赤い海)が存在します。

既存の製品やサービスを「改良」しながら、既存市場で勝負する、競争で生き抜くことで企業の存続が決まるレッドオーシャンがあります。

世の中のほとんどの企業はレッドオーシャンの住人であり、日々競争のための戦略とその実行によって利益を生み出してきました。

ブルーオーシャンでは、レッドオーシャンに比べて利益率の高いビジネスが期待できますが、レッド・オーシャンの枠組みや仕組みが通用しません。

あなたはレッドオーシャンの住人ですか?それともブルーオーシャンの住人でしょうか?

ブルーオーシャンとは

ブルーオーシャンを知る前に、その対比として名付けられたレッドオーシャンを理解しなくてはなりません。

レッドオーシャンを理解する

レッドオーシャンは、みなさんの目の前にある既存市場です。

ビジネススクールや市販の書籍で学べる競争戦略のほとんどは、レッドオーシャンにあてはまります。レッドオーシャンにおける市場の枠組みと、競争のコツはよく知られています。

レッドオーシャンでは、既存の市場需要の中でより多くのシェアを獲得を目指します。競争相手が増えれば増えるほど、競争が激しくなると同時に、企業の成長が遅くなり収益性が悪くなります。

レッドオーシャンの競争を繰り返すことによって、市場における製品やサービスの特徴が薄れコモディティ化が進み、競争がより激しくなり、海はより赤くなります。

レッドオーシャンでは、企業が長年に渡って存続するためには、どうしても競争と戦略が欠かせません。

ブルーオーシャンには無いもの

ブルーオーシャンはまだ知られていない市場であり、誰もがブルーオーシャンの住み方を知りません。

レッドオーシャンでは目の前にある市場需要を競争によって勝ち取りますが、ブルーオーシャンでは市場需要から市場そのもの(ブルーオーシャン)を自ら創り出します。

競争とは無縁に、既存の製品やサービスを「進化」させながら新規市場を創造するアプローチが、ブルーオーシャン戦略です。

競争を中心としないブルーオーシャンでは、成長の機会は無限にあり、収益性もレッドオーシャンよりより多く期待できます。

ブルーオーシャンでは「価値創造」が全てです。

ブルーオーシャンの作り方

レッドオーシャンでは、企業戦略の根本にある企業や製品の提供価値や市場価値(バリュー・プロポジション)と、市場価値を提供するためのコストを調整しながら、競合と市場のシェアを奪い合います。言い換えれば、差別化と低コスト化がすべてです。

レッドオーシャン戦略では、差別化戦略と低コスト戦略は二者一択であり、両立することは基本的にありえませんでした。

しかしブルーオーシャン戦略では、差別化戦略と低コスト戦略を同時に実現しながら、市場を作り出します。

プルーオーシャン戦略を実現した企業の例

差別化戦略と低コスト戦略を同時に実現するブルーオーシャン戦略の例をみてみましょう。

ユニクロのブルーオーシャンの例

ユニクロの高付加価値機能衣料はブルーオーシャンの一例です。

ヒートテック、シルキードライなど、ユニクロは、それまでの衣類には無かった機能性の高い製品を提供しています。同時に、製造から販売までを自社で一貫して行い流通や仕入れ・買い付けなどのコストを削りました。そして、新たな市場を作りながら、市場での需要を掘り起こし、彼らのブルーオーシャンを創り出しました。

ユニクロは差別化と低コスト戦略を、ユニクロにとって最適な形で自社のビジネスモデルと結びつけたと言えます。

IKEAのブルーオーシャンの例

IKEAもブルーオーシャンの例です。

IKEAはモダンなデザインの家具を、非常に早い納品スピードで提供します。消費者は、IKEAのモデルルームのような売り場で、利用イメージを目の前で体感しながらIKEAの家具が購入できます。このような消費者のメリットが、従来の競争相手からの差別化につながっています。

IKEAの家具は全て組み立てであり、耐久性を落として家具は一生ものという常識を覆しました。同時に、製品ラインナップを減らすだけでなく販売店舗数もあまり多くありません。これらはすべて低コスト戦略にあたります。

従来からデザインから企画・製造・販売まで手がけていたIKEAが、自社にとって最適な形で、差別化と低コストを結びつけ、ブルーオーシャンを創りだしました。

ブルーオーシャンでは競争が生まれにくい

ブルーオーシャンを見つけた企業や製品を競争ではなかなか打ち負かせません。実際にユニクロのヒートテックやIKEAの家具は、似たような性質の製品が市場にあるものの、それでもこの二社はかなり有利な競争をしています。

ブルーオーシャン戦略を採用すると、一瞬にして多くの顧客を獲得できるため、短期間でスケールメリットが生まれます。同時にブルーオーシャン戦略で優れたバリュー・プロポジションを持つ製品は、ブランドを確立するだけでなくブランド・ロイヤリティも生まれます。当然追従する模倣者は、顧客の心をつかむ上で圧倒的に不利な状況に追い込まれます。

それだけではなく、既存の企業がこれらの企業や製品のブルーオーシャン戦略を真似する場合には、自社の事業の構造を抜本的に改革しなくてはなりません。抜本的な社内改革は、従業員の抵抗にあいやすく、社内改革の実行はなかなか困難です。従業員のモチベーションを維持したままの社内改革に成功した企業はほんとうにわずかです。

まとめ|ブルーオーシャン戦略

ブルーオーシャン戦略は最近よく見られる戦略ではありません。古くは19世紀初頭のフォード車のT型フォードの例もあります。その後ずっと、ブルーオーシャンとレッドオーシャンは共存してきました。

最近では情報やモノが溢れ、ブルーオーシャンを創る必要が増えています。

しかしながらマーケティング戦略でもレッドオーシャン向けの理論や解説が中心です。そのためブルーオーシャンが見つけにくくなっている事実は否定できません。

あなたは赤い海の住人ですか?それとも青い海の住人でしょうか?